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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第四章・第三話 盗賊と巨漢が決勝戦を戦うんだけど、どいつもこいつも盗賊よりずっと強くて勝ち目がない
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169 盗賊に出来ることを積み重ねたんだけど、二度目の会話シーンに疑問が止まらない

クリスマスも終わったので、決勝戦再開です!

しばらく、シリアスなバトル進行でお届けします。

「両者一歩も引かず、なおも激しい攻防が続いています!

 息をつかせぬ素晴らしい戦いですね」

「そうだな。

 ハゲ坊主の使った謎のスキルだが、準決勝の様子からすると相手の防具を脱がせるもんか?」


 実況席でコメントするおっさんが、実際に試合で使われた鎧姿のオスティンに尋ねる。

 それを受けたオスティンは、少し首をひねった後に小さく頷いた。


「よく分からないが、多分そうだろう……ということですね!

 確かに、推薦枠選手の鎧兜が落ちてましたもんねー」

「ああ。兜の中でも顔に包帯巻いてたのは、徹底してんなーと思ったがな!」


 今度は、小さく首を横に振るオスティン。

 否定か謙遜かはよく分からないが、会話を続ける二人は特に気にしない。


「鎧の脱げた推薦枠選手の時と違って、ハルト選手の場合は見たところ影響なしでしたね」

「そりゃぁ、坊主が最初から鎧を着てないからだろ。

 服までは脱げないみたいだから、これで嬢ちゃんが戦っても安心だな!」


 にやにやしながら言うおっさんのセクハラ攻撃に、実況の女の子が憤慨した様子を見せた。


「ええーっ、プルエはアイドルですから、そんなの禁止です、断固禁止ですよ!

 全国371人のプルエファンも、黙っちゃいませんからね!」

「自称アイドルなのに、妙に具体的で控えめなファンの数がなんか悲しいな……すまん」

「そこ謝らないでっ!?」

「でも371人だったら、ハゲ坊主やオレのファンよりも少ないだろうなぁ……まじで悲しいな?」

「悲しいって言いながらげらげら笑わないでっ。

 みんなー、プルエに愛の手を!」


 無言で、ぽんと手を打つオスティン。


「それは合いの手っ!」


 いや、実況席楽しそうだな!?

 こっちは緊迫した試合してるんですけどー。




 ガンゼイオーのスキルは、防具だけじゃなく武器や道具も禁止するものだ。

 勇者であれば、いや普通の大会出場者であれば、厳しい制約となるガンゼイオーのスキル、雄闘心身血(おとこみち)

 だが、最初から木刀しか使っていないオレにとっては、むしろ熟練度による戦闘力の底上げにより制約どころか強化スキルとなっていた。


 もちろん、三回戦以降はそれを見越して木刀を使ってきたわけだ。

 アズサと特訓したり、試合で折れないことを確認したのも全てはこのためである。


――いや嘘です、全てがこのためではないな。木刀を使い続けたのは、ガンゼイオー対策が半分くらい。

 もう半分は、セーナの真似と、ゲームのシステム的な効果がどこまで及ぶのかなーって好奇心でした、ごめんなさい!

 でも試合のためって気持ちもあったのでセーフです、セーフ。



 そんなわけで、自分でも予想以上に善戦できていると思う。

 オレの振るう木刀も、拳の一撃では止めきれずに徐々に相手の体力を削れている、はずだ。


 もちろん、こちらの攻撃を無視して逆にカウンターをされれば、オレの方がダメージは大きい。

 相手は天然ものの筋肉アーマーだが、こっちは貧弱(・・)アーマーだからなぁ……

 貧弱ってほどでなくとも、しょせんは一般的な体型。この世界に来てからまだ一ヶ月少々、たるみはなく引き締まったとは言え、アーマーと呼べるような筋肉はない。

 つまり、攻撃力では若干勝っていても、防御力が大違いということですな。あとHPも大違いのはず。

 なので、お互いに全部の攻撃が直撃し続けたら、先にオレがダウンすると思う。思うというか、間違いないね。



 攻撃力は試合開始時より上がっているが、防御は据え置き。

 だからこそ、防御や回避にしっかりと重点を置き、改めて丁寧な戦いを心がける。

 特に、相手のスキルは喰らわない。しっかりと躱すか、攻撃をぶつけて相殺する。

 その基本を守れば、あとは持久戦だと思って戦い続ければいい。


 ガンゼイオーの体力が、どれほど無尽蔵かは分からないが──少なくとも、無限ではない(・・・・・・)

 倒せることは可能である。それはゲームによって保証されているのだから、少しずつでも戦い続けるだけ。

 例えダメージが1点だとしても、百発当てれば100ダメージだ!




 それから、どれほど多くの刀と拳を打ち交わしたことか。

 疲労により、少しだけ被弾が増え。それでも、大きな攻撃だけは避けて、小さなダメージを積み重ねる。

 そんな張り詰めた空気の中で、再びガンゼイオーが口を開いた。



「ハルトよ。

 お前の刀に、迷いや曇りがないことは認めよう」


「二度目の会話シーン?

 え、なんで?」


 決勝での会話シーンは、雄闘心身血(おとこみち)を使う前の一度だけだ。

 とどめの前の死刑宣告が、現実世界だとロングバージョンってことなのかな?


 言ってて嫌になるなぁ。

 ガンゼイオーが搦め手とか使うわけはないが、まさか第二形態とかしないよね?


「ならばこそ!

 何故、約束を果たさず、この地に留まるのだ!」


──と、ガンゼイオーが意味深なセリフを吐いたところで、今年の更新はここまで。


一年には少し満たぬものの、3月から早10ヶ月。ここまでお付き合い下さった読者の皆様に、深い感謝を捧げます。

本当にありがとうございました。


作品は、もうちょっとだけ続けたいので。

今しばし、お付き合いいただけますと幸甚にございます。

次回『言った言葉が嘘と即断されたんだけど、盗賊にはこの世界で生きた記憶はない』で、またお会いしましょう。

それでは皆様、良いお年をお迎えくださいませ☆

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更新乙 ガンゼイオー「このガンゼイオーは変身する度にパワーがはるかにます・・・その変身をあと2回もオレは残している・・・その意味がわかるな!!」 フリー○かな???
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