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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第四章・第三話 盗賊と巨漢が決勝戦を戦うんだけど、どいつもこいつも盗賊よりずっと強くて勝ち目がない
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168 装備も道具も搦め手も封印されたんだけど、盗賊だってただで負けていられない

 今日は後書きに、ちょっとした?お知らせありです!


 では引き続き、決勝戦をどうぞ。

「ま、待てガンゼイオー!

 我らの(もと)ってどういうことだ、それにどうして、お前はオレの名前を(・・・・・・)呼んだんだ(・・・・・)!?」


「問答無用。

 構えぬならば、こちらからゆくぞ!」


 突然飛び出した謎の発言の数々に混乱するオレに、ガンゼイオーが問答は終わりとばかりに拳を握る。


 ああもう、気になるところで会話シーンを終わりにしやがって!

 仕方なしに、改めてオレも木刀を構えた。



 オレを一瞥して、特に装備の変更や戦闘の準備が不要なことを確認したのだろう。

 小さく頷くと、待つのは終わりとばかりにガンゼイオーが踏み込んできた。


「ゆくぞ、ハルト!」

「ああちくしょう、来いっ」


 ガンゼイオーのスキルの影響下となったが、最初から木刀と布の服で戦っていたオレに装備の変化はない。

 基本は、それまでと変わらないのだ。

 一段階速く振るわれた拳に丁寧に木刀をあわせ、時に躱し、速くなった相手の動きをしっかりと見て安全に行動する。


 むしろ、スキルの内容も、ここからが本番ということも予めオレは知っていたのだ。

 心構えは負けてない。

 木刀を握りしめる拳に力を込めて、オレは小さく笑ってみせた。




雄闘心身血(おとこみち)


 武闘大会の決勝をどこまでもハードにする、ガンゼイオーをガンゼイオーたらしめる固有スキルである。


 コンセプトは、到ってシンプル。

 『修練により身に着けた(・・・・・・・・・・)力量』以外の禁止(・・ ・・・・・)、である。


 性能の高い装備品は、使えなくなる。

 ゲームでは、強制的に装備解除だ。現実でも、開催国推薦枠選手(オスティン)の身に着けていた鎧と兜が外れて地面に落ちた。

 例外は、攻撃力や防御力が1の、見た目装備のみ。

 つまり、木刀とか布の服、おもちゃの剣以外は全て使えなくなるのだ。

 もちろんアクセサリーも同様。身代わりの指輪などのステータスが増えないものでも、全面的に禁止である。


 オレは最初からスキルの仕様を知っていたので、決勝戦で身に着けている服も靴もちゃんとした装備品は使っていない。

 ただの街人が着ているような布の服、防御力は1だ。靴も同様。

 武器はもちろん木刀、これも攻撃力1。つまり、どれもガンゼイオーの雄闘心身血スキルによる使用禁止が掛からないもので揃えている。

 準決勝でオスティンがおもちゃの剣と盾を使ってたのも、オレが教えたからだな。

 同様に、オスティンが顔に包帯巻いてたのも、念のための身バレ防止。

 雄闘心身血(おとこみち)の装備禁止が現実世界だとどういう風に実行されるのか分からなかったが、装備の強制解除で兜や鎧が外されて落ちたので包帯巻かせて正解でした。



 スキルの効果として、他には道具の使用も禁止される。

 大会ルールでは身に着けている分のアイテムの使用はOKなのだが、ガンゼイオーの進む漢の道は大会のルールよりもっと厳しいんです。

 錬金術師の金に糸目をつけない戦い方は、漢らしくないってことですね。そりゃそーだ。


 スキルは使用可能だが、雄闘心身血(おとこみち)発動時点で掛かっている継続効果は、敵味方とも全て解除。

 スキルを使われる前にアイテムでドーピングしとこうぜ、みたいな小賢しい真似は、ガンゼイオーには通用しないわけです。


 ようするに『漢らしく戦えーい』ということだな!


 武器防具が解除・禁止になるかわりに、武器や防具の熟練度がキャラクターの強さに大きく上乗せされる、という効果もある。

 修行によって身に着けた強さを試すスキルなので、自らが身に着けた強さの影響がより大きく出るという話らしい。



 ただし。

 装備解除・道具禁止なので、例えばオスティンが聖剣を使って戦っていたら、それも封印される。


 聖剣を装備していないので、勇者の聖剣技は使用不可。

 道具禁止だから替えの剣を取り出すこともできないので、スキルの仕組みを知らずにガンゼイオー戦を始めると、拳での戦いを強要されてしまうのだ!



 相手の身に着けた強さを試すと言いながら、ひっどい罠である。汚いなガンゼイオーさすがハゲ汚い。

 こうして、二周目になって意気揚々と初年度の武闘大会に挑んだプレイヤー達は、突然の装備解除により熟練度ほぼゼロのパンチでガンゼイオーと戦い、敗れていった……

 オートセーブのため、やり直しとかできません。もう一周頑張ってね!

 実に悲しい物語であった。


 まあ、あまりにプレイヤーの怨嗟の声が酷くて、メーカー自らが『決勝戦では見た目装備使ってね!』と公式発表したくらいである。

 これにより、それまで誰も使わなかった聖剣・魔剣のレプリカ(性能1の見た目装備、分類は剣であり聖剣・魔剣)を皆が錬金術で作るようになったとかなんとか。

 懐かしいなぁ。


 そうだ、大会終わったらオスティンの聖剣も借りてレプリカを作っておこうっと(ゲーマー的コレクター魂)

 素材足りるかな?




「!」


 余計な思考を浮かべていたオレに、ガンゼイオーの太い足が唸りをあげて迫った。


 だが、慌てず騒がず、スキルを使ってその脛に木刀の切っ先を向け、カウンターで真正面から受ける!


「回蹴り!」

「平突き!」


 拳より強烈な蹴りスキルと、同じくスキルの刺突が、木刀の切っ先一点で激突した。


「ぐっ、ぅぅ。この馬鹿力め」


 ものすごい衝撃が両手を貫くが、ある意味で予想通り。

 弾かれた勢いで二歩下がり、こっそりと両手を振る。ガンゼイオーも同じように足を振って下がっていた。

 スキル同士は互角なようだが、相手は武器じゃなく肉体での激突だ。ちゃんとダメージ入ってるといいなぁ!


 休む間も入れず、今度はこちらから接近。

 木刀を振り下ろし、返す拳を躱しながら斜めに斬り上げる。

 ガンゼイオーの両手での攻めと守りは健在だが、長時間の戦闘によりその動きやリズムにも大分慣れてきた。


「一刀!」

「くぬっ」


 三太刀目にスキルを乗せて、ガンゼイオーの大樹の如き太ももを打つ。

 同時に放たれた拳によりオレも肩口を殴られて痛いが、向こうはスキルではない通常攻撃。こちらはスキルを当てたので、ダメージ交換としては良い結果だろうか?

 あと、通常攻撃だったってことは、そろそろ向こうはMP切れが見えてきたのかな?

 だったら嬉しいなぁ。



 戦っていて分かってきたが、今のオレの木刀での攻撃は、ガンゼイオーの拳での一撃の威力を上回っているようだ。


 オレは最初から装備品の性能を完全に捨てさり、木刀と布の服を装備して試合に臨んでいる。

 今は雄闘心身血(おとこみち)が発動しているため、装備の性能がなくなる代わりに熟練度によって刀の威力がアップしている状況。

 相手のスキルのおかげでかえって強くなるとは、嬉しい誤算だ。


「──このまま、攻め切る!!」


決勝戦のバトル展開が続く最中ではございますが──



 祝、1000ブックマーク達成!

 皆さま、本当にありがとうございます!



 というわけで、唐突ですが決勝戦は一旦棚上げして、感謝の特別編の開催決定です!

 明日公開、お楽しみに☆

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― 新着の感想 ―
更新乙 そろそろ小賢しい盗賊成分と 僧侶の激しいお仕置き成分が枯渇しそうですwww 特別編楽しみにしてます
主人公頑張れーとは思っているけれども でも、全額相手に賭けてるんだよなぁと思って なんとも言えない気分で読んでおります。
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