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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第四章・第一話 盗賊はレベル1じゃなくなったんだけど、強敵ひしめく武闘大会は一筋縄ではいかない
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148 特殊レシピは錬金協会に登録申請が可能なんだけど、再現性がないと受け付けてもらえない

わりとがっつり、錬金の説明回。

素材を組み合わせてちまちまとレシピを探すとか、たまにはそういう製作作業に没頭したくなりますね!

もちろん、リアルじゃなくゲームの話で。


 試合に参加することを決めたのち、試合の運営も交えて一応具体的なルールを取り決めた。


・ 降参宣言はなかった事として、改めて試合を行うこと

・ お互いに、試合で全力を尽くすこと

・ オレが勝った場合、アズサが受け取る超越魔結晶(賞品)を譲り受けること

・ アズサが勝った場合、無理のない範囲でオレがアズサの願いを一つ叶えること


 2つ目は、どうせ戦うのだから、しっかり本気でやってくれという話。

 特に実力を隠したいとかそういうのでもないし、超越魔結晶さえ手に入るなら勝っても負けても構わない。


 4つ目は、アズサが勝った場合にもご褒美が欲しい!ということで付け加えさせられた。

……戦えるだけで満足じゃなかったんですかね、アズサさんや?

 でもミリリア以外の皆が冷たい目つきでしたので、聞き入れざるを得ませんでした。盗賊は弱いんです。


 あとは、一度降参した試合の再開にあたり、観客へ事情説明が必要になる。

 今更感はあるけれど、エリクサーのレシピを大衆に明かすわけにいかないため、生き別れの兄妹であることを公表しますと言われた。

 オレとしては、この世界での記憶もないし、表立ってアズサを妹と扱うのは何とも言えないんだけど……

 でもアズサ視点では説明の通りみたいなので、ここは許容しました。

 髪と目の色は同じなので、そこそこ説得力はあると思う(そもそも東方人はデフォルトが黒髪だ)



 これで、試合に関する取り決めや説明内容は決定。

 オレ達の試合開始まではまだしばらく時間があるので、運営委員長と副委員長だけミリリアの指示で退室させられ、残ったメンツでお茶を飲みながら休憩。


 なお、入れ替わりで開始されたガンゼイオーの試合は、数分で決着したらしい。

 もちろん結果は、第一シードの前回優勝者を拳一つでぶちのめし、ガンゼイオーが勝利している。

 準決勝でアレと戦うオスティンさん、ご冥福をお祈りします。なむー。



「ところで、ハルト様」

「ん、なぁに?」


 ミリリアと過ごすゆったりとした時間。ただのお茶さえ美味しく感じつつ、問いかけに顔を上げる。

 ちなみに、もちろん他のみんなもいます。ベルとターシャが競うようにお菓子食べてます。子供ね。


「エリクサーのレシピをご存じとのことですが、錬金協会に登録されるのでしょうか?」



 鍛冶や裁縫と並び、拠点で行える生産活動の一つが錬金だ。

 錬金を行うと、素材を組み合わせて各種のアイテムやアクセサリー、一部イベントアイテムも製作可能である。


 錬金術の具体的な実行方法だが、それぞれの素材毎に、錬金の効果を表すシンボルが設定されている。

 一方、錬金で製作するアイテムのレシピにも、必要なシンボルと数量が定められている。

 錬金では、素材のシンボルをレシピ通りに組み合わせることで、欲しいアイテムを作り出すのだ。


 例として、近場の森でたくさん採れるいやしキノコのシンボルは【癒1】

 最もランクの低い回復薬である『下級ポーション赤』のレシピは【癒8】となる。

 なので、最低ランクの錬金術師が製作する場合、いやしキノコ8つでポーションが1つ作れるわけだな。

 予選でとてもお世話になったフリクションオイルなら、シンボルは【粘4油4】です。


 錬金のレベルが上がるほど、一度に扱える素材の数と、素材のシンボル数量が加算されていく。

 具体的には、レベル1だと、素材2種類・上限10個・シンボル数量1倍。レベル3なら4種・30個・3倍だな。


 レベル3=シンボル3倍になると、いやしキノコ3つで合計【癒9】となってポーションが一個作れる(シンボル1つ分無駄になるけど)

 そういうわけで、消耗品をたくさん使うなら高レベル錬金術師の存在が必要不可欠ってことだ。

 ゲーム内のベルとか、MP回復のためにポーション青をがばがば必要とするからなぁ。錬金術師(ディーア)のバックアップが大事なわけです。


 レシピのヒントは各地の書籍や錬金協会で買えるレシピ情報で知ることが出来るんだが、情報を知らなくてもフリー錬金で好きに素材をぶちこんで錬金することも可能。

 そんな感じで、各地でレシピのヒントを集め、素材を組み合わせて自分でレシピを見つけ出し、様々なアイテムを製作してレシピノートを埋めていくのが錬金の楽しみ方だ。

 ディーアが自宅で錬金の研究や実験をしているというのも、ゲーム的にはフリー錬金でまだ見ぬレシピを探したり、シンボルを1ずつ減らして素材の必要最低数を調べたりってことだね。

 各地で読める書籍も、だいたいは『○○と何かを入れて××が出来た』みたいなヒントのみなので、そのものズバリの最適レシピを教えてくれることは稀なのです。



 とまぁ、ここまでが一般的な錬金の話。

 今まで話した一般的な錬金とは別に、特定の素材を既定の数量あわせた場合にのみ製作可能な、特殊レシピというものがある。

 特殊レシピはシンボル関係なく決められた素材そのものを必要とするので、同じシンボルの上位アイテムを使おうが製作は不可能。

 あくまで、特定の素材を、規定の数量必要とするわけです。


 ここで、錬金に成功した特殊レシピについては、錬金協会に登録申請が可能となっている。

 登録し再現性が認められると、ご褒美とともにそのアイテムが一部のNPCショップで販売されるようになるのだ。

 お値段は割高だが、一部の地域でしか手に入らない素材を材料としている場合もあるので、ゲーム内日数の短縮に役立つわけです。



 長々と説明してしまったが、ようするにどういうことかと言うと


「伝説のエリクサーのレシピを発見したとなれば、それは歴史に名を残すほどの偉業。

 ハルト様の名声も世界に轟く事となるでしょう」

「そうだねぇぇ、ハルト君は大したことないと考えているようだけど、そりゃぁもうとんでもないことなんだよー?」


 錬金術の話ということで、こちらを覗き込むディーアが好奇心溢れた笑顔で小首をかしげた。

 可愛らしいけど、その心の内ではマッドサイエンティスト旋風が吹き荒れていることんだろうなぁ。


 ディーアの視線がとっても危険なので、ことさら気軽な雰囲気で否定する。


「いやいや、そんな大したことじゃないって。


 それに、ディーアなら分かるだろ?

 協会に登録しようとしても、素材がないから再現性が確認できないと言われて、登録拒否されるよ」

「ああ、それは確かにありそうだねーっと」


 先ほどの登録条件、『再現性が認められれば』という条件がネックで、錬金協会に素材がない場合は再現性の確認ができない。

 そのため、貴重な素材を必要とするゲーム後半の特殊レシピは、登録を断られるケースが多かったわけだ。


 ぶっちゃけると、『お金でエリクサーを量産はさせねーぜ』という開発会社の防御策だと思います!


 オレ自身は別にレシピを秘匿したいわけじゃないんだけど、こればかりは仕方ないことだろうね。

 エリクサーの素材は、ゲームを進めていく主人公ならいくつか手に入るアイテムだとしても、街にいる錬金術師には簡単に入手できるものではない。

 普通の人が大精霊に会えるわけもないし、他にもあれこれと。


 大会の5~8位賞品になっている超越魔結晶なんて、むしろ入手しやすい方……いや、このレベルの敵なんて今は全然居ないんだけど。

 現在は入手困難だが、2年後には比較的入手しやすいアイテムになっている方だろう。あくまで、他の素材と比較した場合。


「なるほど……

 再現性の確認が認められるなら、登録することは構いませんか?」

「ああ。構わないよな、ディーア?」

「うちに聞かれても困るけど、うちは旦那様の忠実で便利な妻だからね。旦那様のご意向に従うよ」


 余裕の笑みを浮かべるディーアに、ミリリアの眉間にすごくしわが寄る。

 たまにはそんな顔をするミリリアも可愛いけど、できれば幸せそうな笑顔で居て欲しいなぁ。


 と言うかディーア、いちいち面白がって引っ掻き回すのやめなさい。ちょっぷ。


「……こほん。

 では、登録時にわたくしの方で素材を用意できれば問題なさそうですね」

「あー。

 エリクサーの素材は、王宮の宝物庫にもないと思うよ」


 ゲームで出てくる宝物庫ってどこも武具ばっかりだよね?

 ご褒美としてもらうためには主人公にとって有益じゃなきゃいけないんだろうが、もうちょっと平和的なアイテムが多くてもいいんじゃないかなぁ。


 というか、強力な武器を宝物庫に寝かせておいたまま、襲撃を受けてお城が落ちるとかすごく駄目だと思います!

 大事に保管するよりも、使ってこその武具。

 よくいる最初の町のNPCの『武器は装備しないと意味がないのよ』ってやつですね。フェイルアードにもちゃんと居ます。



「ご情報ありがとうございます。

 わかりました、わたくしにお任せ下さい」


 オレの返答に少し考えて、ミリリアが可愛らしく手を打った。


「エリクサーの素材が揃ってもすぐには製作をせず、わたくしの準備をお待ちいただけますか?」


 出来る限り早くクミちゃんの病気を治してあげたいけど……

 オレやジュネさんの気持ちを別にすれば、一日や二日で悪化するものではない。


「何日も掛かるわけでなければいいよ。

 というか、超越魔結晶以外の素材はもう揃えてあるんだ。あとは閉会式で賞品をもらえばすぐにも取り掛かれる」

「承知しました。

 それでは、閉会式の翌日には製作いただけるよう手配しておきますね」


 任せとけとばかりに、肘を曲げて両手を握り、小さく気合を入れるミリリア。


 力強さなんて全くないけれど、そんなの関係ないほど愛らしく、何よりもミリリア自身の元気や希望を感じさせる暖かい笑顔。

 ゲームとは違いミリリアが笑顔で居てくれる。それだけで、何の心配もなく何もかも全てを任せられるってものだ。


……それはそれとして、両腕に押し出された大きな胸が腕の動きにあわせて弾むのに視線が引っ張られるのは仕方ないと思います!


「ハルト様のえっち」

「ご、ごめん。

 その、レシピの事は、よろしくお願いします」

「はいっ、万事わたくしにお任せ下さいませ♪」


 謝罪しつつも横目でミリリアを見つめるオレに対し。

 視線を引き付けるのを知ってか知らずか狙ってか、ミリリアは自分の胸を叩き、胸を大きく揺らして力強く請け負ってくれた。




 あ、ちょっとベルとターシャ、両側から脇腹つねるのやめて?

 あとユティナさんも、耳たぶかすめるようにナイフ投げるの本当に心臓に悪いからやめて!?


作者はゲームタイトルを覚えられないほど耄碌しているので、連作ゲームはきちんと2とか3とかナンバリングして欲しい派です。

○○○のアトリエとか、テイルズオブ●●●とか、シリーズ多すぎて順番に並べられません……山手線ゲームかよ……

好きなんですけどね!


ということで、錬金術回でした。

次回から、東方の女武士との試合が始まるよー!

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更新乙 仲間に監禁される日が近そうな・・・ そしてあの手この手で情報を搾られる盗賊・・・ あれ?御褒美かな?
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