126 妖精が履いているのはふんどしなんだけど、広義の意味ではパンツに変わりない
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「誤解があるようだから説明してあげようう」
髪で胸を隠し、髪と同色のピンクのふんどしいっちょでオレ達の前に浮く美少女妖精は、わざわざオレの前まで来て胸を張った。
小ぶりです(何かが)
ちなみに、妖精の身長はターシャより少し大きいくらい。
ターシャとベルよりは大きいです(何かが)
「ふんどしが男性のものだという考えは、もはや古いと言わざるを得ないなな。
通気性や締め付けがなくリラックスできる事などにより、ふんどしの良さが見直され近年女性の間にも愛用者が増加しているのだよよ。
それを受けて、ショーツ型のふんどしやリボンで結ぶタイプ、果てはTバックふんどしなんてものも開発されているんだだ。
言うなればお洒落ふんどし、流行の最先端なのだよよ。
そもそもふんどしの歴史は非常に古く、紀元前どころか縄文時代にはすでにふんどしの原型があったとされているのだよよ。
まっこと素晴らしき日本の伝統文化、その命脈は人の営みの中で脈々と受け継がれているのだだ!」
「……じょうもん? にほん?」
「それ口にしたら駄目なやつぅ!」
興奮して熱く語る妖精のNGワードに、セーナが首を傾げる。
やばい、こいつ世界観がぶっとんでてやばい!
誰だこいつ作った開発スタッフぅ!
「おっと、少し口から謎の言語が漏れ出してしまったようだよよ。
漏らさないように、みんなもふんどしはしっかりと締めることだねね!」
「うまいこと言った顔してんじゃねーぞおい」
ちょうどいい位置にあったので、脳天にチョップ一発。
みぎゃああとか可愛い声をあげる妖精を無視して、オレは言葉を続ける。
「さあ、最終試練を始めようじゃないか。
オレとセーナで、愛の試練を突破してやる!」
床には、ほぼ大部屋いっぱいに描かれた大きな三角形。
どこからか現れたパンツの妖精三人衆が、その三つの先端に立つ。
宙に浮かぶ妖精に招かれるまま、その三角形のフィールドの上に立つオレとセーナ。
三人衆が手を上げる(ハニワだけは手が動かないので小ジャンプ)と、三角形の縁に沿って薄いバリアのような壁が張られた。
三角形に区切られたフィールドで、改めて目の前の妖精と対峙する。
「ここの試練は、最後の締めくくりにふさわしく、ボスである私との戦いだだ。
このフィールドから出ずに、二人で心をあわせて、私を倒してみせるがいいい」
「なるほど。
やっと分かりやすくなりましたね」
ちょっと安心したように言うセーナに、少しだけ罪悪感が浮かぶ。
――でも、仕方ないよね!
オレが決めたんじゃないし、あくまでディバイン・セイバーの開発陣が設定したことだし!
「ただし、このフィールドに居る私には、通常の攻撃や魔法は一切効きませんん。
試しに私へ攻撃を試みるのは止めはせんが、これは『愛の試練』なのだだ。
頭を使い、君たちの愛を示して、私に打ち勝ってみせたまええ!」
「愛……」
本来は尊いはずの言葉に、セーナが露骨に眉を顰める。
……この愛の神殿で、セーナの中で愛に対する認識がすっかり歪んでしまったようだなぁ。合掌(諸悪の根源)
「ハルトさん」
「なんだ、セーナ?」
「ハルトさんは、どうすれば勝てるか、把握してらっしゃるのですか?」
「まあ、もちろんだよ。
預言者だからね!」
もちろん分かっているさ。
ゲームで何度も、色んなキャラと来たからね!
そんな自信を見せるオレの姿に、セーナは大きなため息をついた。
「また……そういうやつですか……」
「そういうやつって何!?」
「さあ、作戦会議は終わりだだ。あとは戦いながら考えてくれたまええ!」
うなだれるセーナの姿に、なぜか嬉しそうに高らかに声をあげ。
オレとセーナの二人パーティに対し、愛の試練のボス敵が襲い掛かってきたのだった。
さあいくぜ、これがオレの初バトルだ――!
初バトルの相手はパンツ一枚。
よくある展開ですね!