122 次は第二の試練なんだけど、盗賊が挑戦することを僧侶は許してくれない
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前に立つオレ達に、感情のない目を向けてくるパンツの妖精M。
しばし無言でたたずんだ後、首を傾げて小さく呟いた。
「じゃ、試練始めて」
「いやいやいや、説明はともかく、試練の準備だけはしてくれよ!」
パンツの妖精が準備をしてくれないことには、試練を始めることはできない。
「楽しみにしてたんだから、早くよろしく!」
「ちぇー」
だるそうな声を漏らすと、パンツの妖精は後ろを向いてしゃがみこみ、準備を始めた。
その様子を見守っていると、またもやくいくいと服の背中を控えめに引かれる感触。
「ハルトさん、つかぬ事をお伺いしますが」
「ん、どうしたんだセーナ」
振り返れば、眉間に少ししわを寄せたセーナの姿。
そんな姿でも綺麗だな、なんてのんきな事を思いつつも問い返すオレに、セーナは静かな声で質問を投げかけてきた。
「楽しみ、とはどういうことでしょうか?」
「……い、いや、あの」
こちらを見つめる眼差しは、睨むという程ではないが、ジト目。
さも、私はあなたを疑っていますと言わんばかりの表情に、やや背筋を震わせつつ一歩下がる。
「べ、別に大したことはない、よ?」
……無言で、二歩詰め寄られました。怖い。
「ほら、ここで試練をすれば、オレはばーんとパワーアップできるから!
明日の試合に間に合うように帰らないといけないし、準備とかもろもろあるからね。
早く試練やりたいよね、うん」
「そうですか」
淡々とした口調のセーナに、なぜか言い知れぬ迫力を感じ。
けれど、いつの間にかしっかりと服を掴まれており、下がるに下がれない。
「では、なぜ逃げようとするのでしょうか?」
「セーナがこわぃやいやいや、そうじゃなくてね!
別に逃げたりはしてないけど、その、ほら!
セーナが綺麗過ぎるから、間近で見つめられると緊張しちゃうだけでね!」
「う……」
オレの言葉に、不意を打たれたように言葉に詰まって俯くセーナ。
お、これは乗り切れ
「おっけー。
じゃ、パンツ神経衰弱、はじめてー」
あくまでマイペースなパンツの妖精Mにより、試練の開始が宣告され。
「……ぱんつ、しんけい、すいじゃく?」
「そーだよー。
知り合いの女の子のパンツ集めたから、裏返しのパンツで神経衰弱してー?」
一切の躊躇いなく、配慮なく、慈悲もなく。
パンツの妖精Mは、何一つ包み隠さずにセーナに試練の内容を説明した。
裸体を包み隠すべきパンツの妖精のくせに!(ちょっとどや顔)
「なぜかどや顔のハルトさん、試練の内容を知ってましたね?」
「いえっ、あのですね!
そこは高度な知的活動の集積による集合知からの学びとして過去の経験に基づいて判断する所存でありまして!」
ちらりと横目で見る、パンツの妖精Mの向こう側。
そこには10枚以上の女性のパンツ達が、裏返し、つまりお尻側を向けて床に綺麗に並べられていた。
うおー、あのレースのはミリリアの!
小っちゃくて細いのがターシャので、その隣の純白のはせー
「は、る、と、さん?」
「ひゃい!
私は女神の預言者として清廉潔白を志とし、世界を救うべく粉骨砕身する所存であります!」
第二の試練、セーナが一人でクリアしちゃいました……
セーナがパンツ神経衰弱をしている間、オレは目隠しされて床に転がされてました……
うあーん、せっかくのパンツがーーっ!!(でも怖くてセーナには逆らえない)
~ 緋色の盗賊 三段変身 ~
セーナが綺麗過ぎるから、間近で見つめられると緊張しちゃうだけでね!
↓
うおー、あのレースのはミリリアの!
↓
私は女神の預言者として清廉潔白を志とし、世界を救うべく粉骨砕身する所存であります!
――こうして彼は、目隠しをされて床に転がされたのでした