121 二人目のパンツの妖精は女性声なんだけど、伸びきったトランクス一枚しか履いてない
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※2024/9/1 ふんのびた→伸びきった に変更(ご指摘ありがとうございました)
試練の部屋を後にして、神殿の廊下をセーナと二人で静かに進む。
第一の試練の部屋とそこまでの通路が白かったのに対し、第二の試練部屋とそこまでの通路はピンク。
美少女のパンツを彷彿させるような、淡いピンクである。
縁のレースも少し花柄などが多くなり、万国旗風パンツもちょっと幼いとか可愛い系に寄っている。芸……もとい愛が細かい。
いまいち試練を突破した実感が湧かないので、首を傾げつつ。
うーん、しかし実感が湧かないというか、第一の試練でキャラを選択した記憶がないんだが。
でもまぁ、オレが試練の問題間違えるわけはないし、寝ててもクリアできるっちゃぁクリアできるよなぁ。
状況を考えれば、時間無制限とはいかないし。クリアしたってんなら、細かいことはいいか?
そんなことを思いながら歩き、やがて通路の先にあらわれた扉を開く。
第二の試練が行われるピンクの部屋へと、オレ達は足を踏み入れたのだ。
「……ども」
部屋の中で待ち構えていたのは、第二の試練の試験官ともいうべき存在。
二人目の、パンツの妖精だ。
「S、死んだ?」
彼女は短い挨拶の後、一人目のパンツの妖精Sの安否を尋ねてきた。
彼の身を心配しているのか、それともクリアを疑っているのか。その端的な口調からは、感情をうかがい知ることはできない。
「いや、死んでないと思うが。とりあえずクリアしたはずだよ?」
「……そ」
さぞかし興味なさげに、無感情に。
虎顔のパンツの妖精は、一文字だけ言葉を発して頷いた。
そう。何も隠さぬ二人目のパンツの妖精は、そのまんま頭部だけ虎のワータイガーである。
鍛え抜かれた肉体に、ゴムの伸びきったピンクのトランクスを履き。
筋肉質で引き締まった貧乳ムキムキボディで、上半身はまさかの裸。
顔はタイガーマ●クもびっくりの虎そのものである。
そんな、寝起きのプロレスラーみたいな外見の彼女は、パンツの妖精三人衆のダウナー担当、名をパンツの妖精Mという。
ちなみに言うまでもないことだけど、当然の作法として虎の頭に上からパンツ被って両耳出してます。当然の作法として。
「第二試練、受けるの」
「ああ、もちろんだ!」
「面倒だから、やめて?」
「やめないよ!」
無気力な彼女と、定番のやりとりをかわすオレ。第二のフラグゲットです。
そんなオレの服の裾を、セーナが控えめに引っ張った。
「あの……ハルトさん?」
「ん、どうしたんだセーナ」
オレに問いつつ、視線は困惑気味に虎顔のパンツの妖精に向けるセーナ。
「あの方は、女性なんですか?」
「声は女性だなぁ。
中身は、妖精だからよくわからんが」
ちなみに、後半で出てくるサブヒロインの一人と同じ声優さんです。
無駄にかわいらしい声なのが残念すぎる。
「あの人……ひと?
あの方、あの、上半身裸なんですが……?」
確かに、女性声のキャラで、ムキムキだが女性的と言えなくもない見た目ではある。
だが、考えて欲しい。
パンツの妖精Mの上半身裸は、是か否か?
筋肉に性別はない派、女性の裸という事実があれば興奮できる派、貧乳に女性扱いは無用派、虎可愛い愛でたい派など、名だたる派閥が名乗りをあげては消えていく群雄割拠の時代。
当時、掲示板のスレッドを瞬く間に消化した、とてつもなくどうでもいい話題である。
そんな在りし日の思い出にひたってほっこりしつつ、オレはセーナの肩を叩いて優しく説明した。
「セーナ。
虎が裸なのは、当たり前だと思わないか?」
「いえ、あの。人型ですから、一応ひとっぽい分類ですよね?」
「妖精だから、ひとじゃないよ!」
声だけは無駄に可愛いけれど、外見はアレで、中身はソレである。
パンツの妖精に、常識をあてはめてはならない。
彼ら・彼女らは、そこにあるがままを受け入れた方がいいのだ。
深く考えるとドツボだしね!
「……はあ。
また、ハルトさんの病気が再発しましたか」
「オレの病気って何!?」
答え:えろげ病