120 他のパンツの匂いを嗅いだ記憶がないんだけど、試練は終わっていてパンツの妖精は息をしていない
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※2024/9/1 ふんのびた、についてパンツの妖精による説明を追加
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~ 前回までのあらすじ ~
ぱんつの「匂いを嗅いで持ち主を当ててください」
とうぞく「嗅いでもメッセージ出なきゃわかんない! 最高です!」
そうりょ「この、どへんたーい!」
ゆびわ 「ぱりぃん」
第一の試練は、パンツの匂いを嗅いで持ち主を当てなければならない。
その名も『どきどき☆ あの子のパンツの匂い当てゲーム』であった。
パンツを嗅いだ時に出るはずの、匂いについて説明したメッセージ。
それが出なくてうろたえるオレだったが、そんな窮地を救ったのはいつも微笑を絶やさず美しくも尊い、最愛の僧侶・セーナであった。
セーナの握る鉄のメイスが唸りを上げると、パンツの入った小袋達がばったばったとなぎ倒され。
最後には、立ちはだかるパンツの妖精をメイスで一刀両断。
全てを打ち倒したセーナは満面の笑みで振り返ると、にこっと笑ってメイスを振り上げた。
さあ、あとはあなただけです。
――そこでオレは、目が覚めたのだった。
「……えーっと、何があったんだっけ?」
「あ、ハルトさん。気が付かれましたか?」
その声に顔を向ければ、少し離れたところにセーナが座っていた。
「愛の試練、無事に突破おめでとうございます」
「えっ」
セーナの言葉に部屋の中を見回せば、パンツの妖精が床に倒れていて、部屋の奥には開いた扉があった。
「ふっ、ふんのびたパンツのゴムのように、やられたパンツの妖精Sは、床にのびてるのだわん……ふんのびた、パンツのゴムのように……」
なんか呟きが聞こえた気がしたが、それはまぁ空耳ということでいい。
「ちなみに、ふんのびたとはゴムがよれよれで伸びきった状態のことだわん……
がくっ」
あれ、パンツの匂い当てはどうなったんだっけ……?
「ハルトさん、あまりの激闘に倒れてしまわれて。
私、心配したんですからね?」
少し距離が離れたまま、言葉だけ投げかけてくるセーナ。
「なんだか、何かを忘れているような気がするんだが――はて?」
「そっ、それは気のせいです。
朝から強行軍でしたし、魔剣士に刺されたり心配事があったりと、ちょっと疲れが出てしまわれたのでしょう!」
なんだか焦ったように心配してくれるセーナに、わずかに疑問を感じつつも起き上がる。
よくわからんが、少し頭が痛むなぁ。
でもまぁ、動けないことはないか。
「えっと、試練は突破したんだよな?」
「はい、そうです。
ですから早く先へ進みましょう、ハルトさん」
さあ早くと急かしてくるセーナに背を押され、Tの字になって床に伸びているパンツの妖精を跨ぎ、部屋の奥へ向かう。
扉の前までくると、セーナがオレの手を取って引っ張った。
「明日の試合のためにも、あまり長い時間はかけられませんよね。
この調子で頑張りましょうね、ハルトさん!」
「あ、ああ。
そうだな、セーナがやる気になってくれたんだし、次も頑張ろう」
よくわからんが、セーナの必死な笑顔に引かれて、オレもやる気を出す。
よし、全然記憶にないけれど、第一の試練は突破したみたいだ。
よくわかんないけど、この調子で次も頑張るぞ!
手を引くセーナの姿を見た時。
ふいに、なぜか、副音声でセーナの低い声が耳に届いた気がした。
『ハルトさんに私のパンツの匂いを嗅がれるなんて……責任とっていただく他にありません。
ハルトさん?
命を失うのと、記憶を失うの。
どちらがよろしいか、御選びいただけますか?』
オレは、なぜか冷たい汗が流れる背中を気にしないようにして、セーナと共に第一の試練の部屋を後にしたのだった……
かいだひと「ひっ、ま、まてセーナ、話せばわかる、落ち着け、落ち着け……!」
かがれたひと「うふふ、落ち着いていますのでご心配なさらないで下さいませハルトさん」
かいだひと「な なにをする きさまらー!」
その後、かがれたひとは『ほかのぱんつをかいだひと』にクラスチェンジを果たしたのだった
(自分の分を含め、全10枚)