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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第三章・第五話 黒の魔剣に胸部を貫かれたんだけど、準備万端なので魔剣士と敵対する必要はない
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108 試合と説明は終わったんだけど、一番大事な用事がまだ終わっていない

 感謝の毎日更新は終わったと言いましたよね?


 あれ、嘘だったみたい。

 7月中は続けるよ!

 やや憂いを帯びた表情で、オレの指輪集めの説明を終えたアズサが左手を撫でている。

 あれは、手伝ってくれたお駄賃にあげた身代わりの指輪だな。


 本人が言っていた通り薬指につけているが、武骨で太い指輪だし邪魔じゃないんだろうか?

 まあ、ゲーム補正と思えば、指輪をつけてるせいで戦闘力が落ちるわけもないか。



 改めて一から丁寧に説明をしたことで、泣いたり怒っていた皆も普段の様子を徐々に取り戻しつつある。

 特に、全然事情を知らなかったミリリアの不安は大きかったようで、ずっとオレの右腕に抱き着いたままだが、表情だけはようやく冷静なものに……ん? だいぶ緩んでる?

 ま、まぁ、喜んだり安心してくれてるならそれでもいいだろう。ミリリアだしな!


「と、とりあえずですね、ハルト様!」


 オレの視線に気づいたミリリアが、若干慌てた様子でぎゅーっと腕に力を込めて抱き着いてくれた。

 お、おおう……胸に埋もれて、埋もれてしまう! オレの表情が緩んでででででっ、痛い、痛いですセーナさん!

 左腕に抱き着いていたセーナに逆方向に肘を曲げられて悶絶しつつ、きりっとした表情のミリリアの言葉の続きを聞く。


「わたくしも、指輪を欲しいです!」


「ヒメサマずるい、たーしゃもホしい!」

「あーっ、あたしも、あたしもー!」

「くふふ……旦那様、錬金嫁にもちゃんと愛の指輪を下さいましね?」

「(無言で左肘への圧力を強める)」


 ちょっ、セーナ痛い、まじ折れる、肘はそっち向きに曲がるようにできてないから! 痛い折れちゃう、だれか回復魔法使える僧侶呼んできて!




 この後、なぜかアズサも含めて皆に身代わりの指輪を一つずつあげて、何とか騒動が収まりましたとさ。



 指輪を受け取ったミリリアは、集まってきた近衛兵達に連れられて、満面の笑みで一足先に帰って行った。

 なぜか再度指輪を受け取ったアズサからは、拙者だけ二つとか最初に指輪をはめてもらったのは拙者とかなんか聞こえた気がしたが、うん。気にしないでおこう。




 そんなこんなで、波乱の決勝トーナメント、第一試合の一日目は終了した。

 まだ今日やらなきゃいけないことはあるけど、試合に関するあれこれは一段落だ。


 明日の二日目は、アズサは試合があるが、オレは丸一日かけて修行のためにセーナとお出かけ。

 ベルとターシャはぶーぶー言ったが、アズサに指輪集めを手伝ってもらったように、明日はセーナでないと駄目なんだと言ったら、意外にあっさりと引いてくれた。

 アズサに対する同情的な視線に疑問を覚えるんだが、まあすんなり話がついたのでいいだろう。


 なぜかセーナも少し考え込むような顔をしてたが……大丈夫だよね?

 明日は絶対にセーナが居てくれないと困るんだから、一緒に来てくれるよね?


「そんな心配そうな顔をしなくとも、約束は違えませんよ。

 このセーレスィアナ、あなたの共犯者として、パートナーとして例え地獄の果てであろうとご一緒致しますとも。

 女神様に誓って」


 いや、そこまで気合入れられると怖いです……

 命の危険があるような場所じゃないからね?



 ミリリアも帰ったし、休憩も十分とった。

 ついでに、狂風の鬼符を装備から外して、減っている体力(HP)をセーナに回復もしてもらった。

 HP5は、ベルの突撃だけでも死んじゃいそうで怖いからな!


 残るは、本日最後の大イベント。

 本当に大事な用事が残っているので、皆を連れたままスタッフに場所を確認する。


 現地に赴けば、半ば予想通りであるが、衛兵によって面会は断られた。

 しかし、ただ話を聞きたかっただけの先日とは訳が違う。

 事は、世界の滅亡に関わるのだ。今回は絶対に会わなければならない。


 そのためにオレは、手持ちのカードを――印籠を使うことにした。


「すまないが、オレは準騎士爵、つまり貴族(・・)

 貴族のオレを会わせないと言うのであれば、王城へ赴いて衛兵に面会を阻まれたと説明し、王族の許可証を取り付けてくるつもりだ。


 通してもらえるね?」


 使ったのは初めてだが、ギルドの登録証の裏面に書かれた身分表示(印籠)の効果は絶大であった。

 相手は騎士ではなく衛兵、すなわち一般人。貴族相手に逆らえるわけもなく、せめてどうしてもと言われ、護衛のために彼らが同行することだけは許可する。

 前後を5人の衛兵に囲まれた厳重な警戒態勢の元、牢までオレは案内された。



 牢の中には、魔剣もなく鎧も脱がされて、抜け殻のようになった男が座っている。

 確認するまでもない。

 オスティンと並ぶもう一人の主人公、黒の魔剣士カーロンである。


 虚空を見つめていたカーロンは、大勢の気配に気づいてゆっくりとこちらを向いた。

 そうして、オレの顔を確認して目を見開くと、口を開き――



「すまなかった!」



 それより早く、まさに電光石火の勢いで。


 オレは、牢の中に居るカーロンの方を向き、床に土下座して頭を下げた。


つまり、こんな感じ


【 黒 牢 orz 盗賊A ゾロゾロ】

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