105 皆には概ね説明してあるんだけど、それを口にしたら多分今夜はなぜか寝れない
今日の日間ランキングは14位、皆さま本当にありがとうございます!
感謝かんしゃの連日更新、6日目です。
今日は、予選と一回戦の装備や準備、実際に発生した効果の解説から!
武闘大会への参加登録後。
オレは仲間達に協力してもらって、レベル1で予選を勝ち抜くための準備を色々した。
まず、ギルドの登録証で見れるステータス画面を参考に、取りそろえた装備品から説明しよう。
今身に着けている装備品はこれ。
試合の時にはアズサから借りた刀も持っていたが、そちらはアズサに返却済みだ。
【 装備 】
右手:(素手)
左手:(素手)
頭:修練のハチマキ
体:春風の服
足:浮遊の靴
装飾1:狂風の鬼符
装飾2:身代わりの指輪
その他:小波の短剣、導晶の首飾り、刻印の指輪、緋色の卵
頭と体につけている防具は、フェイルアードの防具屋で買える品。
つまり、さほど重要ではないので、適当なものを身に着けました。攻撃くらったらどうせ一撃だからね。
また、予備で持っている『小波の短剣』も、宝箱から取ってきたものだが特別な効果はない。予選は押出戦法だったので使う場面がありませんでした。
導晶の首飾りはオレが目覚めミリリアが捕らわれていた洞窟の隠し部屋で回収、刻印の指輪はミリリアからお借りして、緋色の卵は大精霊から渡された。
この辺は、どれも大会に関係ない装備だな。
予選通過、さらには一回戦突破に重要なのは残る3点。
一つ目は『浮遊の靴』
これは、名前の通り数センチだけ地面から浮いて歩けるようになる。
効果は、傍から見て身長が少し高く見えます!
……ではなく、地面の効果を受け付けなくなるのがメリット。
予選でばらまいたフリクションオイルの効果を受けないために装備している。
これがなければ、オレもつるつるーっと滑って舞台から落ちてたことだろう。
つづいて装飾品『狂風の鬼符』
これは、いわゆる呪いのアイテム扱いされている、デメリット付きの装備品だ。下水道の宝箱からゲットです。
効果はものすごく強烈。
[HP-90%、敏捷+150]
これにより、オレの各ステータスは次の通りとなっている。
HP: 5 (-41)
MP: 25
体力: 12
精神: 10
筋力: 12
敏捷:164 (+150)
HP5。たった、5である。
下手したら、がらの悪い冒険者に小突かれて死ぬ、石につまづいて転んだだけで死ぬ。
いや、死ぬじゃなく気絶とか瀕死とかだと思うけどね?
僧侶の回復魔法とか、宿で休めば回復するはずだけどね??
怖くて実験できませんでしたが!
求ム、死んでも良い実験体。どこかに野良盗賊とか落ちてないかな……(ひどい)
ともあれ、レベル1でありながら、周囲の参加者を上回る速度を持っていたのは、ひとえにこの装備のおかげである。
これがなければ、カーロンはおろか、他の予選参加者よりも遥かに遅くなり、押し出すどころか満足に近寄ることもできなかっただろう。
狙われたら最後、絶対に逃げ切れなかったろうしね。
最後に、オレの生命線であり、カーロン戦(?)で最も重要な役割を果たしたのが『身代わりの指輪』だ。
これはフェイルアードに住む魔女にまつわる特殊イベントをクリアすると、常に1つだけ作ってもらえるようになる特別な装飾品。
おしゃれさとは無縁の武骨なデザインの指輪で、効果は名前と結果から推測できる通りです。
[HPが最大値から一撃で0になった場合に、ダメージを無効化して被害を無くす。効果を発揮すると壊れる]
以上の装備を身に着けたうえで、カーロン戦を詳しく解説すると、こうなる。
まず最初、挑発により激昂したカーロンに、オレは胴体を両断された。
これにより、たった5しかないHPは一瞬でゼロとなり、指輪の効果が発動。
胴体を斬られた傷がなかったこととなり、指輪が壊れた。
斬られた痛み自体は万全にありましたけどね! 痛すぎて泣きそうだった。
斬られた後は、追撃を警戒して下がりつつ、すぐに道具袋から取り出した2つ目の指輪を装備した。
その後、怒り狂ったカーロンが襲ってきたが、鬼符のおかげでオレの方が足が速い。
難なく逃げ切り、衛兵の皆さんにカーロンを取り押さえてもらったのだ。
その後は衛兵Aが魔剣を素手で握ってしまい、命を吸われることになった。
魔剣によって命を落とす前に衛兵Aの腕だけを切断し、魔剣の弱点とされる光魔法によって魔剣から剥がれなくなっていた衛兵の指を攻撃し魔剣を跳ね飛ばす。
そうこうしている間に駆け寄ったカーロンの魔剣で、オレはセーナを庇って刺されたというわけだ(もちろん、刺された瞬間は激痛でした)
魔剣に貫かれたオレは、その一撃で再びHPが満タンからゼロになったのだろう。
だが、魔剣を引き抜かれなかったからか、その場で指輪は砕けず、指輪による被害の無効化が発揮され続けることとなった。
ここからは推測になるが、魔剣を引き抜く前に被害をゼロにして指輪が壊れると、体を貫いたままの魔剣によって、次の瞬間に再びダメージを受ける(多分またHPがゼロになる)
だが、攻撃の被害は指輪により無くなったわけで、無効化された攻撃でダメージを受けるのでは、指輪の効果に対して辻褄が合わない。
だから『剣を突き刺した後、その剣を引き抜いて一回の攻撃が終了する』までの間、指輪は壊れずに、誰も引き抜いていない剣が刺さったまま歩き回れたんだろうな。
それで、先ほど控室で魔剣を引き抜いた時に、ようやく2つ目の指輪が壊れたものと思われる。
――改めて考えると、結構やばかったな?
い、いやいや、うん。ゲーム的には、あくまで一回の攻撃です。
スキルなどの特殊効果のある攻撃ではなく、一回の通常攻撃では多段ダメージが入ることはありません、だからこれでいいんです!
以上の説明なので、カーロンが連続攻撃系のスキルを使ってきてたら、アウトでした。
こちとらレベル1だからね……ある程度、危険な橋を渡らざるを得なかった、ということだ。
あとどうでもいいけど、ただの衛兵でも衛兵Aって呼ぶだけですごく親近感が湧きます。
というかセーナに治療お願いしたのにこっち来ちゃってるんだけど、彼の腕は大丈夫だったろうか……
「なるほど。
あの地獄のような苦行が、兄上の命を救っていたのでおりますね……」
カーロンとの対戦が決定後、指輪集めに協力してくれたアズサが、なぜか自分の左手の薬指に視線を落としたまま、ものすごく遠い目をして呟いていた。
衛兵Aは控えていた回復スタッフの尽力により、無事に腕がくっつきました。
魔剣を握りしめていたため破壊せざるを得なかった指についても、今は全く動きませんが、リハビリをすれば日常生活を送れるくらいには回復する見込みです。
武闘大会後、剣を握れなくなった彼は衛兵を辞職します。
そうして第二の人生を送る中で、己の命の恩人であるハルトのために、陰ながら尽力することとなります――
続きは作中の一年後くらいで!