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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第三章・第四話 一回戦から対戦相手が強敵なんだけど、レベル1だからって負けるわけにはいかない
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96 対戦相手はエロゲーの主人公なんだけど、現実世界でえろげーとか呟かれると痛みが留まるところを知らない

「えろ……げーまー?」


 啖呵を切ったオレに対し、毒気が抜かれた表情でカーロンが呟いた。


「貴様が助平であるというのが、一体なんだと言うのだ……?」


 いや、急に真顔になってそこ突っ込まないで!

 さっきまでの狂気に歪んだ顔はどこへやら、きょとんとした顔で『えろ……』とか呟かないでください、なんだか心が痛いです!


 これは、突拍子もない発言によって、一時的に侵食から我を取り戻した――とかなんだろうか?


 いや、それにしたって。

 カーロンがエロゲーマー発言とか、痛い! いろいろ痛い!


「と、ともかく!

 どうせもうしばらくしたら試合なんだ、首を洗って待ってるんだな!」


 なんだかオレの方が捨て台詞っぽくなっているが、これ以上メイデンである仲間達をカーロンの視界に入れておきたくないのは確かだ。

 アズサとベル達を連れて、カーロンの狂気がまた牙を剥く前に尻尾を巻いて逃げ出した。




 舞台の方は15分後に第一試合が開始されるということで、舞台を降りた他の参加選手達も観客席や控室、その他好きな場所へと散らばっている。

 オレ達5人はセーナ達が確保していた席まで移動し、そこでやっと一息ついた。

 ちなみにディーアも席に居ました。へらへら笑いながら手を振ってきたので、アズサ相手に爆弾発言した件も含めてデコピンしておきました(筋力12)


「ふう……

 みんな、無事でよかった」


 一番危なかったのは、吹けば消し飛ぶオレだったんだが。

 それはともかく、仲間達が無事であることに今は安堵した。


「ハルトさん、無茶をし過ぎですよ……本当に。

 額の怪我、治しますね」

「ありがとう、セーナ」


 セーナの指が触れ、今更ながらに額の痛みに気づく。

 だがそれも、セーナの回復魔法によってすぐに温もりに取って替わられた。


「オレの対戦相手であるカーロンは、聖剣と対を為す魔剣を手にした者だ」


 前置きなしでぶちまけると、セーナが驚きに目を見開き、アズサもまた眉を上げた。

 ベルとターシャはよくわかってないようでハテナ顔、ディーアは全く表情が変わらないので感情が読めない。


「間違いなく強敵で、レベル1ではとてもじゃないが太刀打ちできない。

 だが、オレの目的のためには絶対に負けられないんだ」


 エリクサーを手に入れる、だけじゃない。

 今回、あいつにみんなの事が認識されてしまった。

 メイデンである皆を不幸な運命から守る、そのためにもカーロンに負けるわけにはいかないんだ。


 オレの言葉に、様々な表情を浮かべつつも皆が頷いてくれる。


「今からオレの試合まで、およそ3時間ある。

 この3時間で、カーロンに勝つための準備をしたいんだ。皆、協力して欲しい」


 オレ達がぶつかるのは第四試合。

 試合の間隔は、たとえ前の試合が早く終わっても、1時間は確保される。

 だから、およそ3時間、準備のために時間を使える。

 この時間を使って、例え何と言われようとも、オレはカーロンに勝つ!


「わかりました。

 私はハルトさんの共犯者。いかなる事でも、あなたの気高い意志に従いましょう」


 まずセーナが、その豊かな胸に手を当てて、微笑みと共に頭を下げた。


「ハルトには、あたしがついてないと駄目なんだからね。

 任せておきなさい、この超偉大な世界一天才魔法使いのベル様が力を貸してあげるわ!」

「たーしゃも! たーしゃも、ヨゲンシャさん、イッショにイく!」


 次いで、ベルとターシャが協力を表明してくれる。


 目を向ければ、ディーアも笑いながら、しっかりと頷いてくれた。


「アズサ。

 お前の力も借りたい」

「拙者もでおりますか?」


 アズサは、オレの仲間じゃない。

 この大会に関して言えば、対戦相手になる可能性があるのだし、敵同士と言っていいくらいだ。


 だが――


「頼む、アズサ。立場上は敵として、今だけオレのために力を貸してくれ。

 どうしても、オレにはお前の協力が必要不可欠なんだ」


 言って、深く頭を下げる。


「カーロンに勝つために、どうしてもアズサの助力が必要なんだ。

 他でもない、アズサの力が!」


「――わかりました、兄上。

 拙者の力をお使い下さい。このアズサ、必ずや兄上の期待に応えてみせましょう!」


 どこか紅潮したアズサの力強い返事に、小さく安堵の息をつく。

 これで、必要な準備に取り掛かれる。


「みんな、ありがとう。

 それじゃぁ、これからみんなにやって欲しいことを伝える。本当に時間がないから、すぐに取り掛かって欲しい」


 オレの言葉に頷きを返してくれる仲間達。

 そんな彼女たちを見まわして、オレはそれぞれに頼みたいことを伝えていくのだった。


とうぞく「えろげーまー!(きりっ)」



まけんし は 純粋な視線で 尋ねた!


まけんし「えろ……げーまー?

     貴様が助平であるというのが、一体なんだと言うのだ……?」



とうぞく「げふぅっ」


とうぞく は 心にダメージを受けた!!


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