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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第三章・第四話 一回戦から対戦相手が強敵なんだけど、レベル1だからって負けるわけにはいかない
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93 どうして抽選が行われるのか分からないんだけど、そこに文句言っててもどうしようもない

 開会式の時と同じように、スタッフに連れられて舞台へと上がった。

 今回は原因不明(・・・・)で倒れるなんてハプニングはなく、青空の下、指示された場所に立って周りを見渡す。


 今ここに並んでいるのは、予選を勝ち抜いた24名の選手達。

 今日は決勝トーナメントの抽選と一回戦の一部を行うだけなので、シード選手はここには居ない。


「すごい歓声でおりますね、兄上」

「そうだなぁ。

 きっと観客達も、朝から待たされて試合が待ち遠しいんだろうな」


 抽選の後はすぐに第一試合が始まるということで、満員の観客達から大きな歓声や声援が降り注ぐ。

 吹き抜ける春風にも冷めやらぬ熱気が舞台と観客席を包み、今か今かと急き立ててくるかのようだ。

 気の早い観客からは、勝てよ負けろよと賭けに狂った奇声も発されている。

 ギャンブルで身を持ち崩す観客、よくあると思います。


……一回戦の抽選結果次第では、試合開始前から悲鳴が上がったりするんだろうか。

 いや、シード選手は一回戦で出ないし、他に優勝候補みたいな選手は特に居ないのかな?

 むしろ、二回戦の対戦相手が不明だから、二回戦開始時に絶叫することになるのかもなぁ。

 ギャンブルに狂った人たちは大変ですね。見てる分にはわりと面白いんだけど。


 もちろん、オレも昨日のうちに賭けは済ませてある。

 だがゲームと違って、リアルでは大量の人混みが物理的な壁となり、券を買うだけでも長蛇の列で非常に時間がかかりました。

 あまりの混雑に、オッズ表とか見る余裕もなくて、予定してた券だけ買ってさっさと引き上げたからなぁ。

 他の参加者の名前や人気くらい、どこかで確認しとくべきだったかね?

 まあ誰が相手であっても、試合する事に変わりはないんだけどさ。



 そんな事を考えている間に、スタッフによる簡単な説明も終了。

 くじのための箱が持って来られて、一回戦の組み合わせ抽選会が開始となった。


 予選の通過順――なんてものはないので、基本的には適当に一列に並んで順番に引くことになっている。

 気の早い奴らは少しでも前に行って早く引こうとしているが、大多数は今更慌てる事もなく、今の立ち位置から少し移動して、それとなく列を作った。


 オレとアズサは、わりと後ろの方だな。

 どうせ選手は24人しか居ないんだ、先でも後でも大差はない。

 残り物に福があることを願うばかりです。


 列の後方から並ぶ選手達を眺めてみても、すでに一列になっているため、見える範囲はほとんどない。

 気になる相手と言えば、精々が頭一つでかいガンゼイオーと、オレの前は嫌だと頑なに固辞されたので、すぐ後ろに並ぶアズサの二人くらい。

 この二人だけは、一回戦の相手になりませんように。


……はー、しっかし、なんで抽選が一回戦直前になったり、二回戦の試合が直前で発表になったりするんだろうか。

 ゲームと違うせいで、色々と予定が狂ってほんと困る……!

 今さらそんなこと言ってても、仕方ないんだけどな。




 たかが二十数名。さしたる待ち時間もなく、オレの引く番となった。


「よ、っと――7番だ」


 引いた札を確認してから、スタッフに渡す。

 オレの見せた札を確認すると、別のスタッフがトーナメント表にオレの名前を掲示した。

 先に掲示されていた、オレの対戦相手の名前を見てみれば――



 ハルトVSカーロン(・・・・)



「え……」



 そこに書かれていた対戦相手の名前は、カーロン。



 オスティンと対をなす、もう一人のディバイン・セイバーの主人公。


 黒の魔剣士、カーロンの名前であった。


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