いちな、魔力測定をする! 2
説明回なので少し長めです。
そして、ハリスから球体を受け取ろうとした時
「あっ、もしかすると頭の中に名前が思い浮かぶかもしれません。それは決して私達には言わないでください。いわゆる『真名』というやつです。それは魔法を行使するために必要なんです。この世界と魔力とあなたの縁が繋がった時に与えられるのです。」
「ということで、真名がない人は基本的に魔法を使用することができないんですよね。その人の体内には魔力が存在するんですけど、いわゆるご縁がなかったというやつです」
説明を終えたハリスはそっといちなの両手に球体を乗せた。
ハリスがずっと持っていたので少し暖かいくやはり水晶みたいで重いなっと思った瞬間
全身の内側から球体に向かって吸い込まれるようにゾワゾワっとむずがゆさが走る。かきむしりたくなる衝動を球体を放してはいけないという気持ちで誤魔化す。その刺激から脳が逃避しようとしたのか目を開けたままホワイトアウトしてしまう。
いちなは平衡感覚を失いそうになり球体が手から離れようとした時、全身真っ白な女性がそっと下から手を添えてくれる。
そして
『おまえの名は タカハシ ”イニティウム” イチナ』
そう告げると球体から吸い取られた何かが押し寄せ自分の体内に戻ったことが分かった。
「いちなさん!いちなさん!大丈夫ですか?」
ハリスの声で意識を取り戻す。そして、ハリスを見ると心配そうにいちなを見つめていた。
「あ、はい。大丈夫です。かなり驚きましたが」
部屋に沈黙が続く、いちなは何か失敗したのか不安に思ったが三人の視線はいちなの持っている球体へ注がれていることに気づくいちなもその球体を覗くと
スノードームのように銀色の粒子が球体の中を綺麗に舞っていた。それが美しく三人は見入っていたのだった。
「いちな、さきほどは一体どうしたのか?」ルークは驚きながらいちなに聞いた。
「えっあの~、普通に頂きましたよ。お名前…。」
といいながらハリスにその球体を返却した。球体の粒子はハリスの手に渡った瞬間綺麗に消えた。その状況を見て再び三人は驚いた。
「なんだか、すごい物を見せてもらいましたね。僕もこの検査をたくさんしてきましたがいちなさんみたいな状況は初めてですよ。」
「何かおかしかったですか?」不安に思ういちな
「んー何と表現していいのか分かりませんが朝早くに初雪を踏む緊張感ですかね?ルーク様は経験ありますか?」
ハリスは表現しきれなかったようでルークに尋ねてみる。ルークは少し考えてから
「私も、初めてだな。兄上の儀式でさえもこのような現象はなかったぞ」
とルークは王太子であろう兄といちなを比べていた。
そんなスゲー人と比べないで欲しい。
「それでは、いちなさんもう一度先ほど言いました人差し指で円を書いてもらってもいいですか?今度は指先に少し魔法を乗せる感じでお願いします」
ハリスはまたジェスチャーしながら説明した。すると、綺麗な円の中の一部が緑色に光っているのが見えた。
見えて驚いているいちなを見ながら
「魔力が見えるようになりましたね。いちなさんも使えるようになってると思いますよ」
とハリスに言われたのでいちなも同じことをしてみた。
「えっと人差し指で魔力を籠める感じで…。」つぶやきながら円を書くと
銀色に縁どられた綺麗な円が現れた。
「すごい魔相環だな…。」ルークは思わずつぶやいた
「まそうかん?」
「はい、今いちなさんが出現させたのは魔相環と呼ばれる自身が使用できる魔力の種類を色で表したものです。さきほど僕がいちなさんに見せた時は、一部が緑に輝いていたでしょ?それが僕の使える魔力の種類ですね」
「それにひきかえ、いちなさんは、銀色に縁どられた全色が発色していたので。いわゆる全属性使用できるということですね」
本来ならありえませんが、という一言を添えて説明してくれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。