いちな、海へ行く!
海が見たくておばあちゃんの家の最寄り駅から何も考えずに電車に乗った。
夏が終わりシーズンオフのおまけに単線だから平日の夕方は貸し切りか!
というぐらい人がいない。
30分ぐらい車窓の風景をみながら終点の駅についた。
電車を降りて、改札を出て目の前に見える海にテンションが上がって3段ほどの階段をピョンと飛んでみた。
一瞬三半規管が不快な感じがしたけど、めまがいがあったわけじゃない。
変な感じだなぁ~って思いながら、もう一度海を見ようとしたら・・・。
・・・ん? ここどこ?・・・
国立公園みたいな整備された森林があたりに広がり、夕方だったはずの時間帯が
ずいぶん明るく感じた。
途方にくれてとりあえずあたりを見回した。人影はない。生き物の気配もなさそう。
詰んだかもしれない・・・。
とりあえず、道は整備されているので誰かいないか何かないか探すことにしてみた。
道なりに歩くと、制服を着た男女のペアらしき人が私に気づいてこちらに向かって走ってきた。
「お嬢さん大丈夫ですか?」
女性の制服を着た人が私に声をかけてくれた。
「すみません、ここがどこか分からなくて」
すると、制服の二人が見合わせて小声で話し合うと男性が走ってどこかに行ってしまった。
逆に女性はこちらに向かって優しく話しかけた。
「そうですか・・・。あなたは、迷ってこちら側にきたと思われます。」
その続きは、ここで話すには長くなるので一緒に事務所に着いてきてほしいと言われた。
そのまま信じるのは怖かったので返事をしかねてみると
「突然ですみません。私は王立警備隊のテリーザ・リーンと言います」
右腕を腹部に当てて会釈をしてくれた。
礼儀には礼儀だよねって私も自己紹介をかえす。
「初めまして、私は高橋いちなと言います」
テリーザは少し安心した表情になって私をみた。
「イチナ嬢よろしくおねがいしますね。こちらですよ」
とりあえず、テリーザさんの後をついていくことにした。私に歩幅を合わせてくれたので良かった。足の長さが違うのよ・・・。
15分ぐらいかな、お互いお話が好きなタイプではないので足音だけがザクッザクッとなっていた。初対面でガツガツ話せる属性ではない。遠くで鳥?ぽい鳴き声は聞こえてた。
「ここです、どうぞお入りください」
木製でできた小屋?みたいな建物に一緒に入っていった。
中には、さっきまでテリーザさんと一緒にいた男性と上司っぽい男性が私たちを見ると立ち上がって迎えてくれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。