麻酔液の正体、トーカの秘密
「そういえばこれ」
トーカは道を知らないイチを保健所に送る道中、イチが持ってきたカバンから封筒を取り出す。
中には、50万壁内都市円が入っていた。
「トーカさんの人券は、番狂わせで、買った人は大儲けしたそうです。
会長も赤ワイン吹くほど驚いたました。
aiの判定で、貴方は1位の高得点を叩き出したのだから。
けれど、貴方は自分の人券を1万にしていたのでこれほどの額になりますが」
「これほどだからやない、大金やろ」
トーカは驚きつつも受け取る。
これがあれば、たくさん本が買える。
道具の手入れや改良改造ができる。
「ところで、テツくんはなぜ患者衣を着ていたのか。
イチさんはしってるん?」
「ハンター協会にも色々な派閥があるんですよ。」
イチの話をまとめるとテツの場合、変身を抑える新薬の研究のために、無許可の治験されて、経過見るために観察されていた。
そして、ゾンビ化の傾向が出て、失敗と判断され、そのことを隠すために、ゾンビ街に入れられた。
イチもその証拠を掴むために、テツを追いかけていた。
そして、トーカの邪魔が入ったが、その後、博士がその証拠を掴んだので、追いかける必要はなくなったし、テツの遺体も必要ではなくなり、火葬しても問題なくなった。
それでも、トーカがテツの遺体をどうするのか気になり、トーカの跡を追いかけ回した結果。
ドローンのカメラに、逃走中に倒したゾンビの映像などが映り、一位になってしまったわけだ。
話している間に保健所に着いた。
「どうですか、トーカさん。協会に入ってみませんか?」
「考えておきます。それではまたいつか」
そう言って、イチから走って離れた。
(この辺は、いい土地だったけど引っ越すか)
トーカは協会に入りたくなかった。
理由は二つ。
一つは派閥争いが嫌いだから。
もう一つは研究対象になる。
「暑いなー」
トーカの額には紫色の痣があった。
紫色のアザはトーカが生まれた時から、着いているものだ。
トーカがお腹の中にいるころに、ハンターの両親がゾンビウィルスに感染した。
両親はヴァンパイアフィリアだった。
ゾンビウィルスに感染した時も、最期だからとお互いの血を飲み合った。
けれど、すぐに両親は変異しなかった。
トーカも普通の赤ん坊で生まれた。
額の紫の痣とゾンビに対して、変身抑制効果と麻酔効果のある血を持つという点を除いて。
気づいたのは、特別な血だと気づいたのは、トーカを産んだ後、両親に変身熱が出始め、まさかと思い。
トーカの血を舐めたことで気づいたのだ。
両親は奇跡に感謝しつつトーカを育てた。
しかし、トーカが13歳を超えたころ、両親がトーカの血を飲むことを拒否した。
理由は、血を飲む量がトーカが、貧血になるほどになってきたからだ。
このままでは、トーカを殺してしまう。
そのことを考えた両親はトーカに殺されることを願った。
両親は、ハンターとしての技術と知識をトーカに教えていた。
だから、トーカは両親を殺す技術と知識をもっていた。
だから、両親にお願いされるまま、トーカは両親を殺した。
しかし、トーカも、子供で親を殺して、辛かった。
そんな時、家の近くにあった本屋の廃墟で、葬儀に関係する本を見つけて。
それを参考に両親の体を燃やした。
これがトーカの最初の火葬だった。
本が燃えるなどのトラブルに見舞われながらもトーカはやり遂げた。
辛い気持ちは少し楽になった。
両親を燃やした後、トーカは旅を始めた。
理由は少しでも多くのゾンビを人として殺すため。
自分と同じように家族をゾンビになってしまった人を見つけて、助けるため。
自分の行動が正しかったと肯定するため。
目的地のない旅をトーカはしていた。
イチと別れたあと、トーカは自分の住処に戻り、旅の準備を始めた。
壁内都市円は、良い可燃材になるだろう。
しかし、半年後、旅をする必要がなくなることは、この時のトーカは知らない。
読んでくれてありがとうございます。
1356視点をpixivで書いてます。
気まぐれで1356視点のグロ抜き版を書くかもしれません。その時はよろしくお願いします。