元カノ
今回は元カノの話です。
『貴女はRPGゲーム【異世界で差別をする愚か者を百回断罪しよう】の多くの女性プレイヤーの中で一番最初に百回の断罪を実行されました。つまりコンプリートクリアを達成されました。褒美としてRPGゲーム【異世界で差別をする愚か者を百回断罪しよう】をリアル体験させてあげます。充分に楽しんで下さいね。これは神々の定めた決定事項ですので、当然拒否は出来ません。取り敢えずゴメンナサイと謝罪しておきます。お詫びとして強大な身体能力と完全再生能力を授けます。更にオマケで落ちこぼれの駄天使を従者として付けます。それでは良い旅を』
私は素野可乃。OLでゲーマーよ。
女性で一番最初にコンプリートクリアしたら、強制的に異世界転移させられた。
「・・・・何なのよ。このド田舎」
気が付いたら、武道着の格好で何にも無い草原に居た。
「・・・・ふざけないでよ」
神々だか何だか知らないけど、人をこんなド田舎に異世界転移させて、覚えていなさいよ。
ちなみに私は無神論なので、神様なんか信じていない。
「申し訳ありません。上級神の方々は我が儘な上に娯楽に餓えているんです」
「誰よ。アンタ」
背後から突然に声を掛けられたので、振り向くと中性的な少年が居た。
「私は」
「分かった。背後霊ね」
思わずツッコミを入れてしまった。
「違います。私はアシス。背後霊ではなく、貴方の従者にさせられた駄天使です」
「自分で駄天使って名乗ってんじゃないわよ」
再びツッコミを入れた。
「スミマセン。他の天使達から駄天使と言われ続けていたもので、いつの間にか自分でも駄天使と名乗るようになっていたのです」
「・・・・不憫な天使」
この天使はあまりに不憫だ。
「一生懸命仕えますので、これから宜しくお願いします」
「あぁ、宜しくね。ところで身体能力と再生能力だけで魔法とかのチート能力は授けて貰えないの」
「はい」
即答ですか。
「まぁ、いいわ。駄天使くん、近くの町か村に案内してくれないかな」
「駄天使って呼ばないで下さい。私はアシスです。きちんと名前で呼んで下さい」
「自分で駄天使って名乗ったじゃないのよ」
三度ツッコミを入れた。
「私は仮にも天使なんですから、少しは敬っても良いじゃないですか」
「どうして駄天使を敬わないといけないんだよ」
「だから駄天使って呼ばないで下さい」
「分かったわよ。駄天くん」
「もっと酷いじゃないですか」
「面倒くさい奴ね。それなら駄くんで良いよね」
「・・・・駄天使で良いです」
「最初からそう言いなさいよ。駄天使くん」
「・・・・」
「・・・・?どうしたのですか。私をそんなに見つめて」
「アンタ、良く見るとかなりのイケメンじゃないの。私の愛人になりなさい」
「いきなり何ですか。質の悪い冗談はやめて下さい」
「本気に決まっているでしょう。こんな事を冗談で言えないわよ」
「お断りします」
「アンタは私の従者だから、拒否は認めないわよ」
「絶対に嫌です」
「何度も拒否ってんじゃないわよ」
「い、嫌です。絶対にお断りします」
「いいから早く服を脱ぎなさい。それとも脱がせて欲しいの」
「い、嫌です。赦して下さい」
「うるさいわね。抵抗しないでよ」
「い、いや、いやぁああ」
「・・・・無理やり性行為に及ぶなんて、痴女、淫乱、ビッチ」
「悪かったわよ。アンタがあまりにもイケメンだったから、我慢出来なかったのよ」
「・・・・そんな事を言っても、誤魔化されませんよ」
「兎に角アンタは私の愛人兼従者に決定よ。これからは駄天使くんじゃなくアッシーって呼ぶけど良いわよね」
(使命の為です。我慢。我慢だ)
「・・・・もう勝手にして下さい」
「それじゃ出発するわよ」
「アンタ、もしかして神人じゃないの?」
「お前、可乃か?」
「カノさん、お知り合いですか」
「カミトさん、お知り合いですか」
「カミト様、その女性は誰ですか」
「旦那様、どういう関係なんですか」
「御主人様、説明して下さい」
「カミト殿、またですか」
「一体何人の女が居るんだ」
「元カレの神人よ」
「元カノの可乃だ」
「元カレ?」
「「「「「「元カノ?」」」」」」
「今更だけど、どうしてアンタがこんな場所に居るのよ」
「それはこっちのセリフだ」
「ちょっと待って下さい。貴方、天使のアシスじゃないの?」
「女神のサポア様?」
「「「「「「天使のアシス?」」」」」」
「女神のサポア?」
どうやら俺と可乃は同じような理由のようだ。
「俺と同じくコンプリートクリアが原因か」
「そうみたいね」
「これも何かの縁だ。一緒に行動しないか」
「良いわよ」
「「「反対です」」」
「私は賛成です。天使のアシスが居ると助かりますから」
「私もサポア様に賛成です」
「私も賛成です」
「俺も賛成」
多少揉めたが、多数決により同行する事になった。