バーサーカーの少年
今回はバーサーカーの少年の話です。
「彼処が獣人の村です」
俺達は獣人の村の噂を聞いて、其処を訪れた。
「何だか騒がしいじゃねえか」
村に入ろうとしたら、騒ぎが起こっているらしく、剣擊みたいな音が聞こえてきた。
音のする方に向かうと、獣人と人族が戦っていた。
人族の方は盗賊みたいな感じなので、獣人に加勢する事にしよう。
「駄女神、麻痺の魔法を人族に掛けろ」
「・・・・分かりました」
【麻痺】
サポアが人族に麻痺の魔法を次々と掛けていき、全ての人族を行動不能にした。
「新米勇者、コイツらを縛り上げろ」
「新米勇者はやめて下さい」
「協力感謝する」
「ありがとう」
「助かりました」
「何の目的で獣人の村を襲撃しやがった」
「「「「「・・・・」」」」」
「駄女神、コイツに即死しない程度の弱い毒の魔法を掛けろ」
「・・・・はい」
【毒注入】
「ぐ、ぐあああ」
俺が尋問してやったのに、無視しやがるから、駄女神に命じて、一人の人族に即死しない程度の弱い毒を注入させてやった。
「何でも話すから、やめてくれ」
「助けてくれ」
「死にたくない」
「俺達は奴隷商人達に襲撃を頼まれただけだ」
苦しんでいる仲間を見て、あっさりと白状した。
「新米勇者、奴隷商人達を捕縛しろ」
「・・・・はい」
奴隷商人達との待ち合わせ場所を聞き出して、その場所に向かい、新米勇者に奴隷商人達を捕縛させた。
人族の少年が檻に入れられていたので、解放してやった。
「よくも奴隷にしてくれたな」
解放された少年が叫び、変貌し始めた。
「何だよ。あのガキは」
「あれはバーサーカです」
「バーサーカーだと」
俺は初めてバーサーカーを見て、興奮した。
黒い髪と瞳が真紅に変わり、筋肉が膨れ上がった姿は悪鬼のようだった。
先程までは怯えていた少年だったのに、その変貌ぶりに俺は更に興奮した。
「「「ぎゃああああああ」」」
奴隷商人達が断末魔の叫び声を上げて、次々と絶命させられた。
「俺の村は盗賊団に襲撃されて、家族を皆殺しにされて、俺は奴隷商人に売られた」
落ち着いた少年から事情を話してもらい、彼の行動を当然だと思った。
「村は何処なんだ。送ってやる」
「村には誰も居ない、だから帰りたくない」
「それなら俺達の仲間になるか」
家族が居ないから、村には帰りたくないと言ったので、仲間にならないかと誘ってやった。
「・・・・仲間になる」
暫く考え込んでいたが、仲間になると答えた。
「俺は神人。コイツらは愛人の駄女神と手下の新米勇者だ」
「俺はバサカ。カミト、ダメガミ、シンマイユウシャ、宜しく」
「違います。私は従者のサポアです」
「違うよ。僕は勇者のヘミンだよ」
「奴隷商人達は全員始末してやった」
奴隷商人達の馬車に遺体を乗せて、村に戻り、奴隷商人達を全員始末したと報告した。
「「「ありがとうございました」」」
俺達は獣人達に見送られて、村を後にした。