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明神男坂のぼりたい  作者: 大橋むつお01
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83〔あなたたち、歯が痛いの!?〕

明神男坂のぼりたい


83〔あなたたち、歯が痛いの!?〕 


     



「あなたたち、歯が痛いの!?」


 別に歯医者さんに言われたわけじゃやない。


 レッスンの初日は、AKRのホームページに載せる写真を撮ることから始まった。



「いいこと、みんな笑顔よ。笑顔!」


 そう言われて、みんな笑顔を意識してカメラの前に座った。一応ナリはお仕着せのAKRの制服。


 で、最初の集合写真で、インストラクターの夏木静香先生にカマされた。


 なるほど、みんな笑顔が固いというか、虫歯が痛いのを堪えているような顔になってる。


「いいこと、笑顔ってのは、ホッペの笑筋を使ってほほ笑むの。それと顔の緊張は目じりに出てくるから、目じり中心に顔の緊張をほぐすようにして! だめよ、ちょっとダメ出されたからって緊張してるようじゃ」


 それから、十分かけて笑顔の練習。さすがに互いの顔を見て吹き出すような子はいないし、飲み込みも早い。


「ま、いいでしょ。研究生らしい微笑みにはなってきた。とりあえず、これで撮ろうか……あのね、学校のクラス写真撮るんじゃないんだから、真っ直ぐ向いてどうするの。それぞれ軽く個性が出るようにして、それでいて全体でバランスがとれなきゃ。姿勢は基本的には斜め。それで顔は正面。いくよ。景気づけに『わたしたちAKR47だ!』って、カマしていくよ! 」


「わたしたち、AKR47だ!!」


 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ


 その瞬間シャッターの連写音。


「ま、30枚ばかり撮りましたから、使えるのあると思いますよ」


 プロの仕事は、さすがに早い。


「じゃ、個人写真。順番にいくよ」

「AKR最初の写真。わたしの第一歩はこれでしたって、選抜になった時笑えるような写真いくよ。そう、その時笑えるためには、いま笑えなくっちゃね。さ、元気よく3+4は?」

「ナナア!」

「東京弁でアホのことは?」

「バカア!」

「谷の反対」

「ヤマア!」


 てな具合に、たえず言葉を発し「あ」母音で終わるような言葉を言わせて連写。その場の空気を大事にしてることが分かる。みんながハイになっている5分ほどで、22人全員の写真を撮り終えた。


 それから、練習着に着替えて、いきなりAKRの代表曲『おもいろクローバー』をみんなでやらされた。いちおうオーディションを通ってきた子たちなので、フリも、曲も頭と体に染みついてる。あたしはうる覚えだったけど、三クール目には完全にいけた。


 あれ……?


 と思ったのは、五回目。


「うん、よかったから、もう一回」


 言葉を変えながら、十五回ほどもやらされてヘゲヘゲになってしまった。


「いい、選抜の子たちは、こんなの立て続けに三時間こなすんだよ。たった十五回、45分でバテてちゃ話にならないわよ。それに見てごらん、各自バラバラでフォーメーションもヘッタクレもなし。分かったわね、今日は自分たちの今を知ってもらいました。次から本格的にやります。まず体力づくり!」


「はい!」


 テンションを上げながら、できてないことをズバズバと指摘。さすがはプロの世界だと思い知らされた。


 そして、学校やら友達のことは急速に頭から抜けて行ってしまった……いや、抜けていくことさえも気づかなかった。

 

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