表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明神男坂のぼりたい  作者: 大橋むつお01
38/109

38〔離婚旅行随伴記・3〕

明神男坂のぼりたい


38〔離婚旅行随伴記・3〕   


        



 フグッ(๐◊๐”)!!



 放っておいたら「キャー!」と叫ぶ寸前の明菜の口を塞いだ!


 覗き見男と思われたのは、よく見ると、芝垣の向こうの木の枝に引っかかった男物のジャケットだ。


「危うく、ドッキリになるとこだった(;'∀')」


「……あの上着……?」


 明菜は、湯船をあがると芝垣に向かって歩き出した。同性のあたしが見てもほれぼれするような後ろ姿で、お尻をプルンプルンさせながら。


「上の階から落ちてきたんだろうね……」

「あ、あれ、お父さんのジャケット!?」


 見上げると、明菜のお父さん夫婦の部屋の窓が開いてた。


「なんかあったんじゃない!?」

「ちょっと、見てくる!」

「待って、あたしも行く!」


 あたしたちは大急ぎで、旅館の浴衣に丹前ひっかけ、ろくに頭も乾かさないで部屋を飛び出した。


 正確には、飛び出しかけて、手許の着替えの中に二枚パンツが入ってるのに気づいた。あたしはパンツ穿くのも忘れていた。


「ちょ、ちょっと待って(#'∀'#)」


 聞こえてないのか無視したのか、先に行ってしまう明菜。


「くそ!」


 慌てて穿くと、こんどは後ろ前。脱いで穿き直して、チョイチョイと身繕いすると一分近く遅れてしまった。


「どうしたの、明菜!?」


 部屋の中の光景に呆然とする明菜。


 続き部屋の向こうの座敷から、男の足が覗いて血が流れてる。


 そして、明菜の手には血が滴ったナイフが握られていた……。



「……今度は、えらく手がこんでるね」


「うん、あれ、多分お父さん。今度のドッキリは気合いが入ってる……この血糊もよく出来てるよ。臭いまで血の臭いが……」


「って……これ、ほんもの血だよ!」


「ヒ(๐◊๐”)!」


 明菜は、電気が走ったように、ナイフを投げ出した。


「まあ、鳥の血かなんかだろうけど……お父さん?」


 ドッキリだと思いながらも、恐るおそる部屋の中に入っていく。


「エキストラの人だろうか?」


 血まみれで転がってたのは見知らぬ男だった。



 キャー!



 振り返ると、今度は仲居さんが、お茶の盆をひっくりかえして腰を抜かしている。


「あ、あの、これは……」


「ひ、人殺しぃ!!」


 なんだか二時間ドラマの冒頭のシーンのようになってきた。


 そして、これは、ドッキリでも二時間ドラマでも無かった。


 数分後には、旅館の人たちや明菜のご両親、そして警察もやってきた。



 そして、明菜が緊急逮捕されてしまった……!



 手にはべっとり血が付いて、明菜の指紋がベタベタ付いたナイフが落ちてるんだから、しかたがない……。


「え、あたしも!?」

 

 あたしも重要参考人(ほとんど共犯)ということで、箱根南警察に引っ張られていくハメになった!




※ 主な登場人物


 鈴木 明日香       明神男坂下に住む高校一年生

 東風 爽子        明日香の学校の先生 国語 演劇部顧問

 香里奈          部活の仲間

 お父さん

 お母さん         今日子

 関根先輩         中学の先輩

 美保先輩         田辺美保

 馬場先輩         イケメンの美術部

 佐渡くん         不登校ぎみの同級生

 巫女さん

 だんご屋のおばちゃん

 明菜           中学時代の友だち 千代田高校

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ