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3体のオークvs狂った俺

狂った俺はオークを倒した後に身体の主導権を返してくれた。

もしかして俺を助けるために動いてくれてるのか?

巨大なスライムの時も助けてくれたし、今まで俺に見せてきた夢も何か理由が?

いや、今は考えるのをやめておこう。


疑問は一旦置いておき、水溜りの中心にあるドロップした肉を掴む。

靴が濡れて水が染み込んで気持ち悪い。


「うっ、やっぱりか」


すると、オークの肉についての情報が頭に入ってきた。

戦闘中にこんなのがあったら多分隙をつかれてやられちゃうな。


と、そんなことより肉だ肉!

頭に流れてきた情報によると、このオーク肉は甘く食べ応えがありビタミンが豊富に含まれており地球産のブランド豚なんて目じゃないほど美味い!

あんな人型の豚の肉なんて……と思うが、頭に流れてきた情報の中に【味】も含まれており、その旨さを知ってしまった俺は直ぐにスマホを動かしダンジョンから出て家の冷蔵庫に保管した。


「明日は朝から生姜焼きでもつくろうかな」


なんて、献立を考えながらスマホを操作してステータスを見てみる。

狂った俺がオークを倒した後から身体に少し異変があったからだ。


ーー

・メインメニュー

職業:狩人....lv.6

称号:

状態:異常なし

MP:21/21

スキル:【視力強化】【聴覚強化】

ーー


「ボススライムやオークを倒した時、身体に広がった熱はやっぱレベルの上がった感覚なのかな?」


レベルが5つも上がってる。

これが早いのかどうかは分からないけど、食後に調べた情報ではレベル4以上のやつは居なかったし早い方なのかな?


それよりもスキルだ。

元々目がいいからか【視力強化】の効果は全く実感出来なかったが、【聴覚強化】は違う。音が鮮明に聞こえ、周囲の音を聞き分けられ、目を瞑れば空気の流れの音すら聞こえその反響でどこに何があるのかが分かる。


まあ本音を言えば戦闘系のスキルが欲しかったけど、感覚的にオンオフも可能な便利なスキルだから良しとする。


「MPはレベル上昇で全回復タイプか」


オークを倒す時、全てのMPを消費したのにMPの感覚が残ってたから可笑しいと思ったんだよな。

ちなみにMPは心臓の位置に何か熱い液体のような感覚があり、短剣の力を使う時は心臓から血管を通って腕にいき、腕から指先、指先から短剣へMPが流れていくような感覚だ。

短剣を持たずに同じようにMPを動かしたり、短剣以外の場所へMPを動かそうとしたが何か壁みたいなのを感じてしまい出来ない。


「動かす感覚はあるのに不思議だな。

専用のスキルがあるのかな?」


と、それは置いといて、もう一度ダンジョンに行くか。


「水球の短剣さえ使えばオークを一撃で倒せるなら余裕だ余裕!」


安全マージンを得たので調子に乗ってスマホを操作して再びダンジョンへ入るとーー

目の前の状況に大きく動揺した。


「はあ!?」

「「「ブフブフッブホッ!?」」」


浮遊感を感じながらワープした先は水球で出来た水溜りの中心。

そしてオークが3体、水溜りを囲って何やら話しているようだった。

オーク達も俺が突然現れた事に驚いている。


「えっと、話し中のところすみません!

自分はここいらでお暇させてもらい……たいのに!なんで身体は勝手に動くんだよおお!?」

「ブギュイイ!?」

「「プギュイ!?」」


俺は右手の炎纏の短剣でオークの目を狙い、左手の水球の短剣はMPを5ずつ消費して残りの2体に牽制した。

そして肉薄したオークへの目を狙った短剣は首を後ろに逸られ躱されたが、オークの目の前に短剣があるのは変わらない。その瞬間にMPを1消費して炎を纏わせるとオークが怯んだ。


なるほど、目くらましか。

俺は主導権を奪った狂った俺の戦い方に関心した。

うん、お前は凄いよ。

それは分かったから逃げよ?

流石に3体は無理だよ。


「ブキュウ!?」


オークは目くらましに驚き、態勢を崩したのを狂った俺は見逃さず、そのまま炎纏の短剣で喉を貫くとオークは悲鳴と共に煙となった。


レベルアップの効果なのか、俺の身体はスムーズに動くし、力が湧き上がってくる。

だけどさ……


「3体に囲まれてる中、奇襲で1体倒せただけでも御の字だって!もう逃げようよ!」


さっき、水球でオークを倒した時に使ったMPは15ぐらいだったが、牽制で既に10使ったから水球で倒す事はもう出来ないだろう。

だから逃げようと叫ぶが、狂った俺は止まらない。


「なんでだよおおおお!?」

「「ブルルルルル!」」


同族のオークが倒されたせいだろうか、興奮状態のオーク2体に対し狂った俺はファイティングポーズを取りながら距離を詰める。


「ブルァア!」

「うおっ!」


オークの一体が俺の足を狙って槍を投擲してくるのを避け、槍を投げてない方に水球で再び牽制する。

ああ、もうMPは6しかないぞ!


「ブボァア!?」

「ん?」


身体は牽制していない方のオークへ肉薄するが、牽制の水球に驚いた声を上げたオークを見て疑問が湧いた。

オークは俺のことを忘れたかのように顔の水を頭を振って振り払い出した。

もしかして、弱点は水か?

オークを水球で倒せたのは単純に水球の威力によるものだと思ったけどーー!

そういえばコイツらは水球で出来た水溜りを囲んではいたが、水に触れては無かった!

水が弱点っぽいぞ!

だから残りのMPは節約してトドメに使えよ!

狂った俺!


そんな考えをしながらも狂った俺は返事もしなければ、何を考えているのかわからない。

巨大なスライムの時とは違い、反射で身体を動かしているような感じだ。

右手に持った炎纏の短剣で肉薄しているオークの顔目掛けてMPを1だけ消費した水球を放つ。


「ブギュギィアア!?」

「ううぇっ」


オークは叫び声を上げ頭を振り水を払う。

その払った水が口の中に入ってしまい少し気分が悪くなるが、何故か俺の口角は上がっていた。

そのまま炎纏の短剣で喉を突き刺しオークを倒し、残る1体のオークへ向けて水球を残りのMP全て使って放つ。

ちょっ!節約は!?


「ブルルルルル!?」


水球はオークに当たるが、水球の威力が少ないため当然無傷だ。しかし身体に付いた水が気に入らないようで、全身を震わせ水を飛ばそうとしている。俺を忘れて。

……これはチャンスだな。

オークに付いた水が飛び散っている中、進むのは少し躊躇いがある。

しかし狂った俺は御構い無しに突っ込み、喉を突き刺しオークを倒した。


「うぇっ」

「プギュアッ」

「生きた心地しねえよ!」


狂った俺の命知らずな戦い方に文句を叫ぶ。

しかし、不思議だ。

いつもなら彩芽の言葉とかがない限り身体の主導権を返してくれないのに、また主導権を返してくれた。

やっぱり助けてくれてる?

狂った俺も俺自身だから、自分の身かわいさか?なら逃げろよって話だが。


「一体何が目的なんだ?」


色々、考えたいが家に帰ってからにしよう。

考え事をしてるとこにオークの槍が飛んできたら死んでしまう。


ドロップアイテムの肉塊は、とりあえずさっき家に持って帰ったやつだけで数日は持つから勿体ないが放置しよう。


「しかし水球の短剣様々だな。

これがなけりゃ、いくら狂った俺でもオーク3体は倒せないだろ」


これで☆1の武器。

MPを大量に使えば土を抉り数m先まで木々をなぎ倒して進む水球を生み出す短剣。

本当、なんでコレが☆1なのだろうか。

☆2の炎纏の短剣は炎を刀身に纏わせるだけ。

タカが大きいだけのスライムの体液を少し蒸発させた後、消火する上にMP消費を増やしたところで炎を纏わせる時間が伸びるだけって……


「☆の設定ガバガバ過ぎるぞ!」


俺しか人間がいないダンジョン内で虚空に向かって放ったツッコミは当然誰にも聞かれる事もなく虚しく消えていった。

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