嫉妬と自覚 前編
書いてるうちに長くなってしまったので、今回は前編と後編に分けました
夏が終わり、秋が近づいていた
夏休み中、テストに合格した聖羅は毎日のように顔を出してくれた
その為、聖羅の学校が始まると妙に寂しかった
俺はというと、必死に勉強した甲斐があって参考書は高校の分野に入っていた
やっと聖羅に近づいたのだ
「あのね、明日から文化祭の準備になるんだけど…」
聖羅は言いにくそうに話を出した
「準備ってことは、またしばらく会えないのか……」
「うん、衣装作ったり、買い出しとかしたりして残るから…」
「そうか……」
聖羅が学校行事で顔を出せないときは大概こうやって事前にそういう空気を出す
テストの時やお盆の時もそうだ
だから俺もその度に寂しいと思うのは止めた
聖羅は来れなかった後にはこうして必ず埋め合わせをするかのようにいつもより長く側にいてくれるからだ
俺はそれだけで満足だった
「何するの?」
「え?」
ボーッとしていたのか聖羅はキョトンとしている
聖羅が話を聞いていないのは珍しい
疲れているのだろうか……?
「文化祭だよ。やっぱり学園漫画みたいに豪勢な感じ?」
「あー、そこまでではないけど、喫茶店とかあるよ。私のクラスはそれをするし…」
「へえ、いいな。高校の文化祭」
「そうだね……」
何だ?やっぱり聖羅の様子がおかしい
こんな聖羅は見たことがない
まさか病気?
熱でもあるのか?
俺は身を乗りだし聖羅のおでこに自分の額を当てた
「なっ、何?!」
聖羅は驚いて椅子に座ったまま後ろへ下がる
顔は赤いが熱はなかったので俺は安心した
「ボーッとしてるから、熱があるかと思ったんだよ」
「え?熱?無い無い!それに熱があったら病院に来ないから!」
「いや、熱があったら病院には行くべきだろ……」
「それはそうなんだけど、そうじゃなくて…。これは悩みというか、何というか……」
そう言って聖羅は俺から目線を外す
「親友と喧嘩でもしたのか?そういえば最近ここにいる時間が長くなってないか?」
「違うよ!時間は言うとおりだけど……」
「じゃあ、学校で何かあったのか?」
「うん、まあ……、ちょっとね」
そう言う聖羅の顔は暗い
悔しいが俺は高校を体験していない
だから聖羅に学校関係で共感や同調などできないし、何をしたらいいかもわからない
困っていると、聖羅は「あのね…」と口を開いた
「告白されたの」
「え?」
告白?
俺は考えもしていなかった内容に頭が真っ白になった
聖羅はそんな俺に気がつく様子はなく話始める
「同じクラスの橘くんっていう人から…」
「へ、へえ〜……」
俺は精一杯冷静な態度で振る舞うけれど、背中は嫌な汗が流れている
ここは喜んであげるべきなのだろうか?
でも俺にそれができるのか?
いや、胸の辺りがムカムカしてとてもそんなことは言えそうにはない
「親友には話したのか?」
「うん、相談したら、付き合ったらいいって軽く言われた……」
それを聞いて俺に衝撃が走る
無責任に付き合えとか言わないで頂きたい
聖羅が本当にそいつと付き合ったらどうするつもりだ!
そしたら聖羅はここに来なくなるんだぞ
そんなの俺は絶対に嫌だ!
「聖羅は、そのた…、た?」
「橘くん?」
「そう、それ。聖羅はその橘をどう思ってるんだ?」
「別に……。橘くんは明るくて皆に優しくてクラスの人気者だけど、私はそういう対象で彼を見たことがないから…」
なら無理に付き合う必要はないと俺は思った
さっさと断ってしまえばいい
一体何に聖羅は悩んでいるというのだろうか
「告白されて、意識し始めた…のか?」
俺が恐る恐る聞くと聖羅は黙って首を振った
俺は胸を撫で下ろす
でも聖羅の顔は晴れない。それどころか意味深なため息をついている
もう俺には訳がわからない
誰か!今ここに、恋愛スペシャリストを召還してくれ……
「お試しで付き合おうって言われたの…。付き合ったら、きっと好きになるって……」
「!」
本日二度目の衝撃だった
付き合ったら絶対に好きになるって……、そいつの頭は大丈夫か?
いや、突っ込むのはそこじゃない
お試しでって事は聖羅は橘とかいう男と付き合うのか?
俺の頭は完全にキャパオーバーとなってしまった
大樹はかなり混乱中
筆者も書いてて混乱中
できれば間を開けずに後編も出したい…




