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第九十三話 悪魔事情

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、悪魔の愚痴大会(笑)


それでは、どうぞ!

「召喚されて最初に望みを聞くでしょ? そうしたらさ、皆、誰かを殺してくれとか、村を破壊してくれだとか、あいつに復讐をとか、こいつを拐って奴隷にしたいとか、そんなことばっかりなわけ」



 目が恐ろしいまでに真剣になった男に、私達はたじろぎながらもそれを聞く。



「もう、ね? 僕は殺戮兵器でも、復讐代理人でも、奴隷商人でもないわけ、そして、僕自身は、平和をこよなく愛する日本人の前世を持ってるわけで、それ、全部アウトなわけっ」



 ただ、だんだんとそれは熱を帯びてきて……少しばかり内容が分からないところも出てくる。



「なんっで、皆そんなことばっかり願うわけ? いや、僕が悪魔だからってのは分かってるよ? でもさっ、僕は人に何かを教えたり、頑張ってる人のお手伝いをしたりの方が良いわけっ! やりたくもない人殺しをさせられるのは、僕にとってブラック企業でしかないわけっ!」



 悪魔の黒い瞳は、だんだんと血走ってきていて、わりと、怖い。



「どこのどいつだよっ! 一般ピーポーを捕まえて悪魔になんか転生させたのはっ! しかも、ずっと契約しないままだと存在が消えるとかっ、どんな無理ゲーだよっ!」



 ようするに、この男は、普通の人が悪魔に願うような事柄が苦手、ということなのだろう。拳を握って力説……いや、むしろ、吠える男に、私はちょっとだけ、同情してしまう。



「ただ、そこで気づいたんだ。今の契約主が気に入らないなら、気に入ったやつと契約すれば良いんだって……」



 しかし、声のトーンが落ちて、『ふふふふっ』と不気味に笑い始めた男を見た私は、さすがに引いてしまう。アルムにしっかりと腰を支えられているおかげで、そんなに大きな動きにはならなかったものの、やっぱり怖い。



「二重契約はもちろんご法度だよ? けどね? 契約主が何らかの理由で代償を支払えないと判断できる状態に陥ったら、悪魔は契約を切ることができるんだ。もちろん、そんなことをすれば、悪魔はこの世界に取り残されて、いずれは討伐されることになるんだけど……新たに別のやつと契約を結ぶこともできるようになる。……と、いうわけで、僕の契約主の腕を切り落として焼いてくれたら、僕は二人のどちらかと契約したいんだ。あぁ、願い事は、人殺しとか、復讐とか、奴隷調達とか以外にしてね?」



 そう締め括った男は、妙な威圧感を醸し出して私達を見る。



「ちなみに、断ったら、僕は契約遂行のために、シェイラちゃんを拐うし、今は僕が抑えているもう一人の悪魔が出てくることにもなるから、きっと、この国は消えるだろうねっ」



 退路を完全に絶たれた私達は、お互いに顔を見合わせて、慎重に取引しなければと確認し合う。そして、最初に口を開いたのは私だった。



「そもそも、あなたは何ができるのですか?」


「んー? 料理洗濯掃除といった家事全般はプロ並みだし、戦闘能力はそれなりに高いから、騎士団育成とかもできるよ?」


「よし、分かった。ボクが契約しよう」


「アルム!?」


「じゃっ、僕の契約主の腕は破壊しておいてねー。あっ、副会長とか呼ばれてたやつ。本来なら、それが僕に対する代償だったからねぇ」


「えっ? ちょっ!」


「分かった。すぐに対処しよう」


「っ、やっと、やっと、ホワイトな就職先が見つかったよっ! よくやった、僕っ!」



 なぜか悪魔と契約すると言い出したアルムを止めようとするものの、話はどんどん先に進んでしまう。男に至っては、喜びのあまり小躍りまでしている始末だ。そして……。



「……あっ、契約、切れたよっ!」



 アルムがどこかへ連絡を取ったしばらくの後、悪魔は大喜びで、アルムと契約するのだった。

いやぁ、ストレス溜まってたんですね。


そして、日本人転生者でもありました(笑)


さぁ、アルムはホワイトな環境を用意してくれるのか!?


それでは、また!

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