第八十四話 その悪魔(三人称視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、かなり短め。
それでは、どうぞ!
男の姿を取ったそれは、見晴らしの良い丘に座り込む。
「はぁっ、もう、嫌になるなぁ。召喚主は捕まるし、目的は達成できないし、パートナーは失うし」
そうぼやく男は、ポケットから赤い果物を出してかぶりつく。
「でも、契約でしばられている以上、僕も目的遂行のために動かざるを得ない、っと」
またしてもため息をついた男は、そこからひとしきり、『横暴だ』とか、『ブラックだ』とか、『僕に人権は……ないのか』とか言いながら寝そべる。
「そもそも悪魔なんて柄じゃないし?」
そう言って、しばらく頭に手を当てていた男は、『もうやってられるかっ』と叫んで立ち上がる。
「よしっ、決めた! 新しい契約主を探す! それも、できるだけ善良な奴!」
善良な者が悪魔と契約をしてくれるはずがないという考えはひとまず置いて、男はそう宣言する。しかし……。
「あっ……でも、あれを放置するのは不味いか?」
何事かを思い出した様子の男は、その場でウンウンと考え込む。
「……放置して、あの子が悲しむのは寝覚めが悪いってもんだし……仕方ない。ちょっと力を貸そうか」
その直後、男の姿は半透明になる。
「さてと、また会いに行こうかな? シェイラちゃん、どうしてるかなぁ?」
男の姿は徐々に薄くなり、数秒後には、そこに何かが居た痕跡は消え失せる。
後には、生ぬるい風が吹くのみだった。
さてさて、悪魔襲来フラグが立ちましたねっ!
次からは章が変わる予定です。
それでは、また!




