第五十一話 嗤うモノ(三人称視点)
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はい、フオンさん登場ですよ~(ニョキニョキニョキッ)
それでは、どうぞ!
暗闇の中、小さな路地を、一人の小男が人目を忍ぶようにして歩く。コツコツ、コツコツと小さな足音を鳴らして、神経質にキョロキョロと辺りを見渡しながら、息を潜めて歩く。
しん、と静まり返った闇の中。どこにも息遣いの聞こえない世界で、小男はようやく、目的の場所に辿り着く。
「合言葉は?」
小さな掘っ立て小屋の前に立った小男は、突然、その小屋の窓からかけられた無機質な声にビクッと肩を震わせる。
窓の奥には、確かに誰かが居るのだろうが、あまりに暗すぎて見えない。
小男は、一度深呼吸をして気持ちを落ち着けると、そっと、口を開く。
「『永遠の深淵へ』」
「入れ」
小男の掠れた声を確認した何者かの言葉に、小男はもう一度、キョロキョロと辺りを確認してから、掘っ立て小屋の、意外に頑丈な造りの扉へ手をかける。しかし、次の瞬間、小男の背中には、尖った何かが生えていた。
「裏切り者は不要だ」
「ぁ……が……」
扉の内側から、外に向かって生えたそれ。小男の胸を貫き、背中に生えたように見えたそれは、あの無機質な声が聞こえると同時に砕け散る。
「あぁ、お前も、逃げられると思うな?」
暗闇の中、確かにニタリと嗤ったそれは、小男の亡骸を蹴り飛ばして、消える。
誰かの絶叫が闇に呑まれ、途絶える。そして……。
「さて、そろそろ動く時が来たということだろうか?」
ズルズルと、二つの体を引きずったそれは、先ほどの小男の体があるところへと、それらを放り投げる。
ドチャッという音とともに積み上がったモノへ、それは目もくれず、また掘っ立て小屋の中へと入る。
「さぁ、どうする? 主?」
ニタリと嗤うそれは、どこか遠くへと視線を向け、挑戦的に問いかける。
全ては、手のひらの上。全ては予定通り。ならば、何も迷うことはない。例えその望みが歪で、おぞましいものだとしても、人に嫌悪され、忌避されるものだとしても……やることはただ一つ。前に、前に、進み続けるのみ。
「さぁ、ショーの開幕だ」
役者は揃った。後は面白おかしく、滑稽に、演じるのみ。
その日、闇夜の中で存在していた小屋は、朝日が昇る頃には忽然と消える。しかし、誰一人として、それに気づくものはいなかった。
怪しさ満点、フオンさん、良い仕事してくれてます。
さぁ、彼(?)彼女(?)は何者なんでしょうねぇ。
それでは、また!




