第四十六話 相談
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今回こそお見合いにっ!
と思ってたんですが、案外その前が長引いてしまった。
と、とりあえず、どうぞ!
私は、現在アルムの寵妃であるために、正式なお見合いをすることはできない。しかし、方法はいくらでもあるわけで……三日後にお見合いの場を整えるということになった。そして、今は……。
「セルグっ、お久しぶりですねっ」
「シェイラお嬢様! あぁ、よくご無事でっ」
その日、私の元を訪ねてきたのは、レイリン王国のシャルティー公爵家で執事として働いていたセルグ・アンディだった。黒に近い灰色の髪と瞳のせいで迫害されていた彼を使用人にしたのは、私とお姉様の二人だ。
「よく、私がここに居ることが分かりましたね」
「いえ、こればかりは偶然としか……」
そうしてセルグは、私達が居なくなったシャルティー公爵家で何が起こったのかを話してくれる。
父は辞職届けをろくに確認もせずに認めていき、使用人のほとんどが辞めてしまったこと。父も母も、散財を続けていたこと。
セルグは、そんな最中に辞職した使用人の一人で、会えることがあれば良いと思いながら、どこの国に行ったかも分からない私達を探していたらしい。セルグは、古い友人がこの国に居るらしく、彼の元で過ごす中、私らしき人物がこの国で寵妃になっているらしいという情報を聞いたのだそうだ。
「あの、シェイラお嬢様、リリスお嬢様は、今、どちらに居られるのでしょうか?」
「お姉様なら、今は魔の森ですね」
「まっ、魔の森!? そんな危険地帯に!?」
「お姉様は、そこに家を建てて、のんびりと暮らしてらっしゃるわよ?」
確かに、普通はそんな反応だろうと思いながら、目を剥くセルグを眺める。しばらくすれば、セルグは遠い目をして、『私では、リリスお嬢様の元には行けそうにありませんね』と呟く。
「それなら、たまにお姉様はこの国に来て、私に会いに来てくれますので、その時に会えば良いですよ」
「何とっ! で、では、どうぞよろしくお願いしますっ」
「えぇ、もちろんです」
久々に会えたセルグを前に、私はいつも以上に心が浮き立つ。しかし……。
「して、シェイラお嬢様? 今は何を悩んでおられるのですか?」
長年仕えてくれていたセルグには、やはり隠し通せるものではなかったらしい。
私は、側でベラが聞いているというこの状況で、話すべきかどうか迷って――――。
「申し訳ありませんが、ベラ殿。防音結界を私とシェイラお嬢様を包む形で展開しても?」
「……私が聞くべき話ではない、と?」
「そこまでは分かりませんが……シェイラお嬢様の様子を見る限り、それが最善かと」
私の迷いを汲み取って、セルグは防音結界を展開してくれる。だから、私は……そこで初めて、アルムへの想いを、セルグに相談するのだった。
次は……次こそはっ!
きっと、多分、お見合いになるはずっ。
それでは、また!




