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第四十一話 傷ついた心

ブックマークや感想をありがとうございます。


シリアスさん、猛威をふるっておりますっ。


それでは、どうぞ!

(これで、良いのです……これで……)



 アルムは、お姉様に想いを寄せている。たとえ、それが叶わない想いなのだとしても、私が入る隙などない。そもそも、竜王であるアルムに対して、私は後ろ楯も何もない、他国の貴族令嬢。……いや、もう、家は取り潰されているだろうから、元貴族令嬢だろう。



(私などより、有益な人はいくらでも居るはずです)



 もし、アルムがお姉様のことを諦めたとしても、アルムを支えられる身分を持つご令嬢は、この国にも居るはずなのだ。私の存在など、そんな人達と比べれば塵芥でしかない。



(アルムを避けていれば、きっと、アルムも私をお茶会に誘うことなんてしなくなります。そうすれば、こんなに……こんなに、苦しい思いをすることだって、なくなり、ます……)



 数日経って、少しは失恋の傷が癒えてくれたかと思ったものの、どうにもそんな様子はない。むしろ、ジクジクと痛みが増しているかのようだった。



「はぁ……」



 思わず漏れたため息に、側に居たベラが心配そうに寄ってくる。



「シェイラ様? 何が、あったんですか?」



 『何か』ではなく、『何が』と聞いてくる辺り、私の落ち込み具合はバレバレらしい。慌てて表情を取り繕ってみても、ベラは心配そうな表情を崩そうとしない。



「……ベラは、失恋をしたことはありますか?」


「失恋、ですか?」



 自分一人で抱えるのは、もう無理かもしれないと、私はベラにポツリと漏らす。



「その……すみません。まず、恋もしたことがなくて……」


「そう、ですか。あぁ、気にしないでください。ただ、聞いてみただけですので」



 私の質問に答えられず、暗い顔になったベラを慌てて励ますと、ベラは恐る恐るといった具合に顔を上げる。



「その……シェイラ様は、もしかして、失恋をした、とか?」



 そう問われて、問われることは分かっていた癖に、私は答えに詰まる。



「っ………………そ、う、みたいです……」



 どうにか答えを絞り出せば、ギュウッと心臓が締め付けられるような痛みに襲われる。

 まだ、傷が癒えることはなさそうだ。



「シェイラ様を振るなんてっ、どこのどいつですかっ! ちょっと、とっちめてきますっ!」


「い、いえ、違います。その、私は、えっと……」



 違う。私は、アルムに想い人が居ることを知りながら、好きになってしまったのだ。だから、振られたわけではない。ただ、私の想いは、芽生えた瞬間に潰れてしまっただけなのだ。



「っ、シェイラ様!?」


「えっ……?」



 必死に、どう言えば良いのかを考えていると、ふいに、ベラが慌て出す。



「す、すみません。泣かせるつもりはなくてっ。あのっ、タオルっ、持ってきますっ!」



 バタバタと遠ざかるベラを見ながら、そっと頬に手を当てれば、確かに、そこは湿っていた。



(こんな風に泣くなんて……久しぶりです)



 自覚なく泣いていた私は、そのままポロポロと涙を流し続ける。

 それを、誰かに見られているとも知らず、私は、失恋の傷に枕を抱き締めるのだった。

うーむ、しばらく、シリアスさんが退いてくれる様子はないですねぇ。


シェイラちゃん、ボロボロ。


アルムもショックを受けてるし……。


だ、誰かっ、ヘルプっ!(って、私が作者だった!?)


そ、それでは、また!

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