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私、竜人の国で寵妃にされました!?  作者: 星宮歌
第二章 目論む者達
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第三十話 調べたいこと

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、シェイラちゃん視点で、アルムへ不審な視線を注ぐことに?


それでは、どうぞ!

(……おかしいです)



 違法カジノの摘発が終わり、無事、領主の妻が新たな領主として君臨することになった、という流れは、めでたいことではあった。

 しかし、それで少しは憂いがなくなったはずのアルムは、最近、なぜか私を前にすると挙動不審になっていた。今も……。



「っ……す、少し、お茶を淹れてくるっ」



 アルムの様子をつぶさに観察していると、なぜかだんだん赤くなって、熱いはずのお茶を一気に飲み干して席を立つ。



「……ベラ、私は、何かしてしまったのでしょうか?」



 背後で待機していたベラへ、私はさっと視線を向ける。



「い、いえ、そんなことは……」



 と、言いながらも、目を逸らして肩を震わせるベラ。



(絶対、何か知ってますっ)



 じとっとした目で見つめてみるものの、ベラは必死に視線を逸らし続ける。どうやら、今問い詰めることは無理そうだ。



「……怒っているわけでは、ないのですよね?」



 それは、チラリと頭の中に過った懸念。

 魔力が枯渇するほどの行動力を発揮した私は、目覚めて動けるようになった後、散々アルム達に叱られた。今まで、私を叱ってくれるのはお姉様だけだったため、その光景は新鮮で、嬉しいのが半分、申し訳ないのが半分といった具合だった。

 もしかしたら、そんな私の心情を捉えたアルムは、私を怒っているのかもしれないと、チラリと思ってしまったのだ。



「それはあり得ません!」



 私が少しうなだれていると、ベラは即座に反論する。



「陛下は、シェイラ様のことを怒ってなどいませんっ。あれはただ……」


「『あれはただ』?」


「あ、あれは……そのぉ……」



 勢い良く、何らかの答えを言いそうになったベラだが、惜しいところで止まってしまう。



「そ、そうですっ。シェイラ様を叱ってしまったことを気に病んで、ですね?」



 まるで、今思いついたといった様子で話すベラは、全く信用できない。



「……分かりました。ベラが隠すのであれば、仕方ありません」



 そう言うと、ベラはあからさまにホッとした表情になる。だから、私はにっこりと、相手を安心させるための微笑みを浮かべる。



「隠されたものって、とっても暴きたくなる質ですので、覚悟しておいてくださいね?」



 一瞬、虚を突かれたような表情になったベラは、私の言葉の内容を遅れて理解して、一気に青ざめる。

 ベラは、私の諜報能力について知っている数少ない竜人の一人だ。



「い、いえ、その、調べる必要はないのでは、ない、でしょうか?」


「大丈夫です。ベラが知らないうちに、全部暴いておきますので」


「そういう問題ではなくっ」


「もちろん、アルムにも内緒にしておきます」



 話を進めるごとに、絶望の度合いを深めるベラ。きっと、そんなに大したことではないのだろうとは思えたが、こうなると、後には引き下がれない。

 必ず調べ上げてみせると意気込む私は、それが自分の首を締めることになるとも気づかずに、蜘蛛達を放つのだった。

シェイラちゃん、自分で自分の首を締めますね。


それでは、また!

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