第二十八話 目が覚めて
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は……意外と大変なことに?
それでは、どうぞ!
すっきりとした頭で目が覚めた私は、ゆっくりと起き上がって、すっかり慣れたドラグニル竜国の自室を見て……はたと気づく。
(あれ? 私、ナット領に居たのでは……)
そこが、慣れた部屋だったせいで、違和感に気づくのが遅れた私は、少しずつ眠る前のことを思い出して青ざめる。
(わ、私、アルムに、膝枕されて……?)
確かに、あそこまで能力をフルに使ったのは初めてだった。今まではせいぜい、罠を一つか二つ仕掛けるだけ。解除だけなら何十個もいっぺんに行うこともあったが、それなりに魔力を消費する罠を、ここまでふんだんに使ったのは初めてだったのだ。
窓の方へ視線を向ければ、光の射し込み具合からして、どうにも朝らしい。そうなると、私は夜になっても全く目覚めることなく眠り続けたということになりそうだ。
(どんなに疲れていたといっても、嫁入り前の淑女がやることではないでしょうっ)
改めて、自分のやってしまったことに対して悶絶をしていると、コンコンコンと扉がノックされ、返事をする間もなくガチャリと扉が開く。
「失礼しま……す……シェイラ様!? お目覚めになったんですねっ!」
そこに居たのは、桶とタオルを持ったベラで、どうにも様子がおかしい。具体的には、随分と驚いた様子だ。
「陛下にご報告をっ。いや、それより、シェイラ様の身支度? はっ、医者を呼ばなければっ!」
かなり混乱している様子のベラに、私は、少しばかり嫌な予感がして、そっと尋ねる。
「ベラ、私は、どのくらい眠っていましたか?」
「三日ですっ」
「……三日っ!?」
一晩寝過ごしただけだと思っていたら、まさかの三日、眠りっぱなしだったという言葉に、私自身、衝撃を受ける。
(やたらとお腹が空いているのは、三日間、何も食べていなかったからでしたのね……)
あまりの衝撃に、少しばかり思考を逸らしていると、ベラが伝音魔法で誰かを呼ぶ様子が確認できた。
「シェイラ様、今、医者を呼びつけたので、少し体を拭いておきましょう」
「え、えぇ」
有無を言わせぬ気迫のベラに、私はうなずくと、されるがままに体を拭ってもらう。
ほどなくしてやってきた医者は、あの夜会の後に診察してくれた女医のローズだった。彼女は、テキパキと問診をこなすと、『魔力の使い過ぎです。今後は注意するように』と言って、魔力回復を促進させる回復薬を一つ残して去っていった。
「シェイラ様、食事の準備が整っているので、しっかり食べましょう。そして、しっかりと陛下にお説教されてきてください」
「お、お説教……」
聞けば、アルムは随分と私のことを心配していたらしく、執務が終わると、すぐに私の側について、ずっと離れなかったらしい。原因が魔力の使い過ぎだということはすぐに分かったらしいが、回復するのにどれだけの時間がかかるか分からず、随分とやきもきさせてしまったそうだ。
「もちろん、私からもお説教します」
怖い目でベラにまで宣言されてしまった私は、粛々とうなずくしかなかった。
この後、私は、アルムから、ベラから、そして、ギースからも、たっぷりお説教されるのだった。
シェイラちゃん、はしゃぎすぎましたね。
魔力の使いすぎでダウンしてしまったシェイラちゃんに、アルムもベラもギースも、心配で仕方なかった模様(笑)
次回、多分アルム視点、かな?
それでは、また!




