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私、竜人の国で寵妃にされました!?  作者: 星宮歌
第二章 目論む者達
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第二十六話 合流

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、シェイラちゃんがアルムの元へと戻ってきますよ~。


それでは、どうぞ!

 作戦が進むにつれ、だんだんと顔を引きつらせていく騎士達の様子を、蜘蛛達を通して楽しく眺めながら、私は大量の罠を設置していく。



「これで、最後にしましょうか」



 最後の最後で、服だけが溶ける液体を頭から被り、その後、大量の羽毛にくすぐられることになる罠を設置し終えた私は、胸に大きな満足感を抱いてうなずく。

 ここまで大量の罠を設置したのは、初めてで、とってもストレス発散になったのだ。



「さて、そろそろアルムの元に戻りませんと」



 そろそろ、罠が発動し始めた頃合いだ。さっさとここから脱出して、アルムに合流すべきだろう。



「ふふふっ、かかってますねっ」



 最初に設置した、亀甲縛りの罠が発動して、悲痛な悲鳴を上げる竜人達を見ながら、私はさっさと罠設置に使用した道具を片付けていく。お姉様との合作で作った罠設置の七つ道具は、念じればすぐに、指輪となって戻ってくる。

 魔法でできた縄や糸を作る大小様々な穴が空いた丸いボール、様々な粘液を生成する壺に、地形を作り替えるための魔力で勝手に動くシャベル。まるで生き物のように蠢くものを生み出す小箱に、幻影を生み出す鏡。指示した場所の地面や壁へ拘束を行う土人形と、様々な電流を流してくれる杖。それらを、私は片付けてしまうと、ご機嫌でフェレット姿のまま脱出する。



「さて、アルムは……あぁ、あそこですか。それでは、さっさと報告に向かいましょうか」



 アルムの位置を、蜘蛛を通して確認した私は、掘っ立て小屋から出て、変化を解き、早足でそちらへと向かう。



「っ、寵妃様!?」



 途中、待機していた騎士に出会ったので、その人に、アルムのところまで案内してもらう。



「っ、シェイラ!?」


「ふふっ、どうでしたか? 私の手腕は?」



 私がアルムの元へ訪れた頃には、どうやら、いくつかの罠が発動していたらしく、その映像を、騎士から送られて青ざめているアルムが居た。



(あれは……ゴキ地獄ですね)



 今、アルムが見ている映像は、落とし穴に落ちて、縄で宙吊りにされた竜人の女性が、周りを囲むゴキの群れに泡を吹いている様子だった。もちろん、あのゴキの群れは幻覚だが、見渡す限りのゴキの群れは、それはそれは怖いことだろう。



「……これは、全て、シェイラが?」


「えぇ、温い罠ではありますが、捕縛が目的ですし、このくらいがちょうど良いかと思いまして」



 そう告げると、それをアルムの後ろで聞いていたギース、及び、何人かの騎士達が、真っ青になってブンブンブンと一斉に首を横に振る。



「……やはり、もう一段階強めの方が「「「やめてあげてくださいっ!」」」……そう、ですか?」



 ギース達の否定の声に、少し残念に思いながら、私は引き下がる。



「……シェイラ。ちなみに、あれの回収は、どうすれば良い?」


「あぁ、あれらは、丸一日くらいしか効果がありませんので、しばらくのんびりした後に回収に向かえば大丈夫ですよ。どうせ、動けませんでしょうし」


「……そうか……」



 私の言葉を聞いて、さらに後ろの面々は青ざめたが、今回はアルムが全面的に悪いのだ。アルムが私に協力してくれていれば、これよりもっと効率の良い罠ですますこともできたのだから。



「怪我は、していないな?」


「もちろんです」


「そうか。なら、これからしばらくは、ボクの側を離れるな」



 真剣な目で話すアルムに、私はその真意を見極めようとしたが……さすがに、そこまでは分からない。



「……分かりました」



 だから、私にできることは、ただ、アルムに従うことだった。



「こちらへ」


「はい」



 アルムに、隣に来るよう促され、私はそこへ腰掛ける。すると、突如として、肩を抱かれて、アルムの方へ頭を傾けることとなる。



「っ、ア、アルム!?」


「少し休め。疲れただろう?」



 『疲れた』というのは、事実だ。しかし、状況が良く分からない。



「こ、このくらい、何ともありませんっ」


「強がらなくて良い。肩を……いや、膝の方が良いか?」


「何の話ですかっ」


「あぁ、膝にしよう。ほら」



 グラリと視界が揺れたかと思えば、私は、アルムに膝枕されるという状況の中に居た。

 それは……とても、恥ずかしい。



「ア、アルム!?」


「先ほどはすまなかった。シェイラのおかげで、犠牲を出さずにすんだ。だから、ゆっくり休んでくれ」



 抗議をしようとしたものの、真剣な表情でそう言われてしまえば、言葉も出てこなくなってしまう。



(ひ、卑怯ですっ)



 手持ち無沙汰なのか、頭まで優しく撫でてくるアルムに、私は困惑と羞恥心でどうにかなりそうだった。しかし……。



(案外、疲れが……)



 優しく頭を撫でられているうちに、次第に瞼が下がっていく。今は、眠くて眠くてたまらない。



「眠ってしまえ」


「で、す……が……」


「もう、大丈夫だ」


「…………」



 優しい、優しい声。その声が、何度も大丈夫だと、眠れと告げてくる。

 そうして、そのうち、私は深い眠りの中に落ちていくのだった。

引き続き、えげつない罠のお話がありましたが……最終的にはめでたしめでたし?


話はまだまだ続きますけどね?


それでは、また!

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