第二十話 ナット領
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、ちょっと短いです。
それでは、どうぞ!
広大な森を所有し、美しい景観を誇る領地。ナット。
領地収入の主なものは、観光によるもの。避暑地として優秀なその場所は、夏の間は多くの貴族が訪れるという。
しかし、裏を返せば、それ以外に大きな収入がない領地、ということでもある。夏以外はほぼ閑古鳥が鳴いているこの地は、あまり潤っているとは言いがたい。
「それが、ここですのね?」
「あぁ。ナットの本来の姿は、それだ」
聞いた話と、今目の前に広がる光景との差に、私は口角を上げる。
「それはそれは……調べがいがありますね」
収入が観光と、税収が少ししかないのであれば、この目の前の光景はあり得ない。
待たされている領主館の応接室には、金でギラギラと輝く調度品達。その多くは偽物であるということは分かるが、きっと、領主はそれを知らない。それだけでも程度が知れるというものだが、もしもかの領主の裏に何かが潜んでいるなどということになれば、それはそれは楽しい調査になりそうだ。
「……」
「どうしました? ギース?」
「……いや、何でもない」
今は、フードを外して近衛の一人というような風体で一緒に歩くギースは、何かを考え込んでいる様子を見せていた。しかし、聞いても答えてはくれないらしい。
(後で、じっくり聞きましょうか)
恐らくは、場所が悪いのもあるのだろうと判断して、私は、私では気づかなかった何かに気づいたギースを放置しておくことにする。
「それにしても、遅いですね?」
「あぁ」
普通、王が自領を訪れたとなれば、大慌てで領主自らがやってきそうなものだが、その様子がない。すでに、最初に淹れられた紅茶は冷めており、それだけ長い時間、待たされているということになる。
チラリと、この館の使用人へと目を向ければ、ビクッと肩を弾ませた後、視線をさまよわせる。
(さて、と……そろそろ情報収集も始めましょうか)
蜘蛛の仕込みはバッチリだ。後は、疲れない程度に調整しながら、情報を頭に直接送り込むのみ。
(さぁ、何が出ますかね?)
アルムとギースに目配せをして、これから情報を集めることを伝えると、私は、そちらに集中するのだった。
……今日は、ちょっと疲れてて、あまり長く書けませんでした。
明日はしっかり書いていきますので、お楽しみに!
それでは、また!




