第十六話 明かされた真実(アルム視点)
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今回は、いよいよ、あの真実が!?
それでは、どうぞ!
シェイラがギースを下して数日。ボクは、そういえば、ルティアスにシェイラへと尋ねるよう言われていたことがあったのだったと思い出す。
「シェイラ、一つ聞きたいのだが」
「何ですか?」
恒例のお茶会。そこでの会話は主に、『絶対者』に関するものだったのだが、最近では、シェイラが色々な情報をくれるようになった。それこそ、影に探らせていても中々尻尾が掴めなかった悪事の証拠だとか、ノーマークだった存在の能力だとか……。
(シェイラが敵でなくて、本当に良かった)
どうやって情報を得ているのかは、一応ボクにだけは話してくれたが、それを他の者が真似ることは不可能だ。
「あぁ、ルティアスからシェイラに聞くと良いと言われたのだが……ボクの優しさは、何かおかしいのだろうか?」
そう言えば、珍しく、シェイラはヒクリと頬を引きつらせる。
「それは……もしかして、お姉様に対する態度、ですか?」
「あぁ、それと、求愛行動について話したら、ルティアスから変な目で見られた。それに、シェイラは心当たりはないか?」
そう言えば、とうとうシェイラは遠い目をする。
(そんなに困る質問だったのだろうか?)
しかし、少しすると、そんなシェイラはボクを真っ直ぐ見てくる。その瞳には、何やら強い意思があるように見受けられる。
「アルム、貴方、お姉様に『チャラチャラしてそう』と言われましたよね?」
「うん? そういえば、言われたような? だから、話す時には真剣に話すようにしているんだが」
「真剣さが、まるで伝わってません」
「……何?」
話し方がチャラチャラしているというようなことを、以前、『絶対者』に告げられた時はショックで、ボクはそれ以来、声音に気をつけるようにした。それなのに、伝わっていないとは、どういうことなのだろうか?
「良いですか? アルムの、お姉様に対する口調そのものが、人間にとってはチャラく聞こえます」
「……えっ?」
「それと、仕事を頼んだり、報酬に欲しがっているものを与えたりなんていうのは、人間にとって、求愛にはなり得ません。それはただのビジネスパートナーでしかありません」
「なっ……」
「アルムの求愛は、全部、空回りしていたということです」
(空、回り……?)
今まで、良かれと思ってしてきたことが、全て、人間には通じなかったという事実を知って、ボクはうちひしがれる。
(あぁ、だから……ルティアスもシェイラも、あんな目を……)
全てに合点がいったボクは、ひとしきり放心する。
「良いですか? 種族違いの相手に求愛する場合は、相手の文化をまず学んでいないと、失礼なことにもなりかねません。ですから、今後は気をつけることです」
そんな正論に、ぐうの音も出ないボクは、力なくうなずくのだった。
やっと、言葉の意味が通じて、うなだれるアルム。
つ、つつきたい……。
それでは、また!




