お相手はドラゴン
大災のドラゴンの名で、部屋の空気が一気に張り詰めたのがわかる。
「兵士達は総動員で国民の避難を最優先して!ドラゴンは#私達__・__#ができる限り引き離します。」
ミーファが命令を飛ばす。
「ですが、王女様…。」
「王、王妃なき今。私が最高指揮権を持っているのはご存知でしょう。騎士団長ボルド。頼みます。」
「ハッ!!王女様。どうかご無事で…。」
ボルドはミーファを心から気遣うと、命令遂行のため迅速にその場を離れた。
「勇者さま。マール、リルム。勇者のパーティの初仕事です。」
マールとリルムが決意の表情でうなづく。
(やっぱり私達って、俺も入ってる…。)
陸は絶望した。
「……ちょっと待ってくれ!最初はゼリー状のケガしない安全・安心なモンスターをシコシコやっつけて、コツコツとレベルを上げていってだな!」
「ユーシャさま、ゲーム脳すぎニャ!現実はそんな甘くニャくて!!」
「いきなり終盤のボスみたいな名前だったぞ!」
「ゆーしゃさま!はい装備!」
マールは陸の叫びはお構いなしに、いつの間にか陸の剣と鎧、盾を台車に載せて運んできた。
暗くて気がつかなかったが、部屋の隅にそのまま置いてあったらしい。
「この王国の最強の装備です。勇者さま。そして、その黒い鎧は、王家に伝わってきた伝説の黒の勇者の鎧です。」
3人の期待の眼差しが陸に突き刺さる。
こうなりゃやけだ…。
「あーー!もう!わかったよ!やってやる!!」