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ラスト蹴ティング

「だいぶ進んだっすね」

「そうだねー、ウルフが逃げ出すから距離を稼げてるねぇ」

最初の戦闘の時に仲間を呼んでいたグリーンウルフだったが、LVが上がってからは逆に仲間を逃がすような動きをしていた

タマモに心当たりはないかと聞いてみたところ

「当たり前であろう、奴等も生きてるのじゃ、絶対に勝てない相手に誰も挑まんじゃろ?そういう非生産的な事をするのは人間だけじゃ」

と言われ、それ以降、グリーンウルフに遭遇するとなんだか可哀そうになったので、見逃すことにしたところ移動のペースは随分と上がった

「逆にボアは全力で突っ込んできたね」

「所詮爬虫類、アホということよのぅ」

「うちのPTとも相性がよかったし、いい感じだね」

いっちゃんとタマモの会話にリアルンが加わり、戦闘を振り返る


グリーンボア、この草原に生息する蛇である

ただ、蛇と呼ぶにはでかすぎた、尻尾の部分がとぐろを巻いていたにも関わらず、身長180cmそこそこのナイフよりも頭一つ高いという大型の蛇であった

攻撃方法は、噛みつきと巻き付き、尻尾を払うの三種類

噛みつこうと頭を伸ばしてきたところをトトが盾で頭を殴ってそらし、後は残りのメンバーが攻撃して簡単に倒せた

「しかし、ある程度数を倒せないと経験値が稼ぎにくいし、明日は別のエリアに言った方がいいかもね」

リアルンの言葉に全員が頷く

ボアは単体としての経験値は悪くないが、エンカウント率があまりよくないため経験値稼ぎと考えると微妙である


「む、喜べいっちゃん、経験値のうまいモンスターが沸いたぞ」

タマモが指さした方をみんなが見ると5匹のウサギが此方へと向かってきていた

「グリーンラビットこの草原最後の種類か」

「だねぇー、とはいえまだ特殊な戦い方とかはできないし、トト介頑張って!」

いっちゃんの声援に親指を立てるエモで返事をするとトトはウサギの群れへと向かいヘイトを奪い・・・・・・



「まさかこんなことになるとはなぁ」

戦闘は始まって3分ほどが立ったが戦況はこちらが不利であった

問題はウサギの攻撃方法にあった

ウサギの攻撃方法は蹴りなのだが、その蹴りの衝撃が盾越しにトトへとダメージを与えている

最初5匹まとめてヘイトを持った時にはHPが一気に2割ほどまで削られたのだ

急いでいっちゃんが全力でヒールして、リアルン、ナイフ、銀弧がそれぞれ1匹ずつ担当し、十色と金弧でトトを援護することで死亡は避けられたが現状戦況は膠着、徐々に不利になっていた

ナイフ、リアルンはダメージを受けないように回避主体で立ち回っているのでなかなか攻撃ができずに、逆に銀弧は敵対するウサギが逃げ回ることで倒すことができない

その間にもトトは盾の上からのダメージが少しずつ嵩み、いっちゃんはその回復に手いっぱいとなっている


「わらわが出るかの?」

「うーんそれは最終手段にしたいんだよねぇ」

タマモが出ればあっという間に状況はひっくり返るだろうけど、いっちゃん達はそれはできれば避けたいらしい

と、なると残るは俺が動くしかないわけだが・・・・・・


「ん~、タマモ、その辺にある岩をちょっと大きめに砕いてくれ」

「む、こうかの?」

タマモに岩を砕くように頼むと、手のひらを当てて、ぐっっと力を入れるだけで岩にヒビが入りそこから大きめに崩れていった

「おーぅ、いい感じいい感じ」

俺はタマモが砕いた岩をアイテムボックスに収納し「ちょっと行ってくるわ」と魔法の絨毯で飛び立つ

普段は2メートル位を滞空している魔法の絨毯だが4メートル位までは高さを上げる事が出来る

ここまで説明すればもう何をするか説明不要だろう、実際いっちゃんは気づいたようでPTチャットでトトに頭上に注意してと指示を出している

大丈夫だと思うが、正直ありがたい。


「ほーれ、食らうがいいウサギ共」

俺はアイテムボックスに入っていた岩を、ウサギに落ちるように微調整して、取り出し、落とす

ごつっ!という音と共に「きゅっ?!」というウサギの鳴き声が聞こえる

下を見るとHPを0には出来なかったようだが、ウサギはこちらに注意をして攻撃が疎かになっていた

「ふはは、一方的に殴られる痛さを怖さを味わう気分はいかがかね、ウサギ共」

「「「「「悪役っぽい!(っす)」」」」」

下から批難のような声が聞こえたが、ん~、聞こえんなぁ、勝てばよかろうなのだよ


さて、そのウサギだが、どうやら俺への対処は不可能と判断し、トトを倒すことで状況を変えようという判断らしく、俺を無視してトトへの攻撃を激しくする

だが、その程度の事は予想済みだ、そもそも俺がトトの上へと移動し、岩を落としたのは奴等の注意を引くためで、本命は・・・・・・

「銀弧今からそっちに行くから、合わせろー」

俺はこのメンツで一番の破壊力持ちでフリーになれば戦闘を終わらせられる戦力を解放するために魔法の絨毯で移動する

その言葉に俺の狙いを把握したウサギ共は、一斉に移動し、そして

「なんだそれぇ・・・・・・」

5匹のウサギはそれぞれ2匹1セットとなり、下のウサギが上のウサギを乗せたままジャンプ、さらに上のウサギが下のウサギを台にしてジャンプするという離れ業をやってのける

だが、それでも俺には届かない、そして台となったウサギはそのまま地面に叩きつけられてHPが0になる


普通に考えれば状況を打開しようとして無謀な行動を取っての自滅だが、俺の背筋に冷たい汗が走る

それは、最後の一匹がジャンプしたのを確認して、更に強くなる

最後の一匹のウサギは単身ジャンプすると、空中にいる、2段ジャンプで滞空しているウサギの高さにまで達し、そして、宙に浮いたウサギを蹴って更にジャンプ

「うっそだろ、お前・・・・・・!」

俺の言葉に答えるかのようにウサギはニヒルに笑うと


『我らが兎道、その身に刻め』

と、背中生えてきたプラカードのようなものに書き込まれていた

なんだこれ、と俺が混乱しているうちにウサギは足を真っ赤に燃やして

『 最 終 銃 兎 脚 』

と、鋭い蹴りを放ってくる、その蹴りに完全に虚を突かれた俺の体は反射的に身に着けた柔術の受けを選択した


頭を狙った蹴りはその狙いをそらされ、肩にあたると、HPがぐんぐん下がり0になる

しかし、幸いなことにこの攻撃はあくまで打撃系であったため、出血効果などはなくHPが0になっても俺が死ぬことはない

ウサギの方は一瞬、きょとんとした顔をした後に、ニヒルに笑うと

『見事』

とプラカードを背負ったまま地面に落下

そのままHPを0にし消滅したその直後に


【システムメッセージ】グリーンラビットを召喚可能になりました

「お、おうなんだこれ・・・・・・」

「「ぬし様大丈夫ー?」」

俺が何とも言えない顔をしていると銀弧を筆頭に皆が集まってくる

「HPは一時0になったけど、まぁなんとかな」

俺はサモナーLV3で覚えたS・ヒールを唱えながら銀弧と金弧の頭を撫で、近づいてきたタマモに「なんか、グリーンラビット召喚できるようになったんだけどナニコレ?」と尋ねる

「ふむ、グリーンラビットは恐らく獣界にいる何者かの分け身であったのじゃろうな、そういう者たちは自分が認めた相手に自分の召喚を認める事があるからのぅ」

つまり、この辺に山ほどいるウサギは獣界にいる何者かの分け身であるらしい、こんなに山ほど分け身を作り出すとかとか獣界の本体怖え


「ふふん、獣界にいる、わらわの本体等はLV4桁近いからのぅ、わらわの本体ほどではないにしても実力者からすればこのLVの分け身を大量生産すること等容易いことじゃ」

というか、そうでもないと、1万人以上のプレイヤーを受け入れた場合生態系が変わりすぎるじゃろ?とはタマモの言である

確かに自然繁殖の生き物ばかりに頼っていたらプレイヤーによって絶滅させられるな


「ほれ行くぞあまりゆっくりしていてはエリアボスを倒す前にそなた等が帰る時間になってしまうじゃろ?」

そんな言葉に俺達はリアル時間を確認すると、確かにあまりゆっくりしていたら日が変わる前に街に戻れなさそうな時間だった

タマモが歩き出すのに合わせて俺達も再び歩き出す、今度こそ目指すはエリアボスである


ちなみにうさぎは普通頭を狙ってきません

基本的には、後衛にいるサモナーに対して、無敵状態になり中央突破からの胴体へのキックを行い、これに対して、ガード行動をとれれば契約成功です

なぜ主人公に対してだけ頭を狙ったかと言うと、空中で一方的に攻撃してきたことに対する怒りからの行動です

普通に戦ってればこんなことにはならなかったのに!


このゲームには基本的にユニークイベントや1匹だけしかいない契約獣などは存在せずに、タマモにしても、世界全体でみたら、100人位分け身がいます

これは、作者が初撃破ボーナスだとか、イベント1位報酬オンリーアイテムみたいな、ソシャゲっぽいシステムが嫌いだからです、そういうシステムって、後続のプレイヤーのやる気を削ぐと思うんですよね

なので基本誰でも平等にチャンスはあります

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