5話
「ひどい目にあった」
「お主が余計なことをいうからじゃろう!」
ついに主からお主へのランクダウンである
「さすがにあの言葉は女性にいっちゃだめだよ」
いっちゃんの言葉にトトもうんうんと頷き、男3人は苦笑を浮かべる
「そうはいってもあのバスケのごとき跳ね返り見たらあの動きは完全に……トキィ!」
俺の頭を再びタマモが掴むと「そんなに跳ねたいならわらわがバスケットしてやろう」と魔法の絨毯から引きずり降ろそうとする
「「タマモ姉さま、死んじゃう、ぬし様死んじゃう!」」
金弧銀弧がひょんひょん跳ねながらタマモの腕に飛びつこうとしているが、ほーれほーれと言いながら俺の頭を掴みながら上下に動かす
「HP0になって死ぬかと思った、今でも頭がミシミシ言ってる気がする……」
「大丈夫だよいっくん、このゲームの特殊なシステムとしてHPが0になっても死なないっていうのがあるから!」
「そうなのか、じゃあHPってなんのためにあるんだ?」
「HPは生体魔力って事らしいよ、HPが0の状態で毒や出血多量になると死亡扱いになるみたいだねー」
そうか、じゃあ問題な「あと、頭と心臓が潰れたらHPいくつあっても即死らしいよ」だめじゃねえか……
「あれ、だけどモンスターはHP0になったら消滅するっすよね?どうなってるんすか?」
「モンスターは本体である魔石を保護するために魔力で体を形成してるから、HPを失うと体を形成できなくなって魔石と肉体のうち最も多く魔力を宿している部分だけを残して消えるの」
これがドロップアイテムと呼ばれるものである
「なるほどなぁ……」
そんな会話をしながら歩いていると、薬草の群生地っぽいところを見つけた
「あ、ぬし様薬草がありますよ、取りに行きましょー」
「えー、採取って屈むじゃん、腰痛いじゃん、疲れるじゃん……」
「「ええ……」」
「あはは、それじゃあ銀弧ちゃんと金弧ちゃんは僕達と一緒に採取しようか」
「「わーい」」
「それじゃあ私達もいくか」
そう言って俺とタマモを残して全員が薬草の採取へと向かう
「ふむ、楽しそうじゃな金弧と銀弧」
「うむ、俺も楽、金弧と銀弧も楽しそうWINーWINだな」
「ふふ、そうだな本体はすっかり大人びてしまっているからこういう分け身の形で人生を楽しんでいるのを見るのは嬉しいものじゃ」
「そういや本体ってどんな感じなんだ?」
「ふむ、金弧の方は眼鏡にタイトスカートが似合う型物女子って感じになってしまったのぅ、銀弧はそこまでじゃないがのぅ、無口系女子になっておったわ……」
「銀髪無口ってもう供給過多なんだよなぁ……」
「お主いきなり何をいっておるんじゃ……」
「見て見てぬし様、こんなに取れましたよ!」
「ぬし様は小さな子供にお仕事させて自分は寝てて恥ずかしくないんですかー!」
「働かずに食う飯はうめぇ、うめぇよー……」
「「ダメ人間だー!」」
「救いようがないのぅ……」
「まぁまぁ1君は私達が採取中周囲を警戒してくれてたんだよ、助かったよ」
俺に向かって親指をあげてくるエリアル、まぁ、以降リアルンだな、リアルンに俺も右手の親指を上げて返事をする
「さて、トラベラーズの5人に提案があるんじゃがよいかの?」
「どうしました、タマモさん?」
タマモの問いかけにリアルンが答える
「うむ、この先にエリアボスモンスターがいるんじゃがどうせだから倒していこうではないか」
「エリアボスモンスターですか?」
「ああ、エリアボスモンスターは祝福と試練のモンスターじゃ、基本的にモンスターはそれぞれに縄張りがあるんじゃが、縄張りの境目に生まれるモンスターじゃな」
「祝福と試練ですか?」
「うむ、奴等は倒されても何度でも蘇り優れた装備や素材を落としていく、さらに奴等の戦闘力はその先にある領域と大差がないからの、そのモンスター相手に勝てればその先の領域でも容易に勝てるという事じゃ故に、祝福と試練、じゃな」
「なるほど、そういう事なら一度挑んでみたいところではあるね」
「まぁ、今のおぬしたちでは勝てぬ相手だと思うが、金弧と銀弧に全力を出させてやりたくての」
「「いいのー?!」」
「うむ、それでドロップや経験値をトラベラーズの5人にもプレゼントというわけじゃ」
「ん~、それは私達としては利点しかないからいいんだが、そちらは一体なんの利点が?」
「このダメマスターと仲良くしてくれる事がわらわにとって大変助かるんじゃ、そんなわけでこれからもよろしく頼みたいといったところじゃの」
「なんかお母さんみたいだねタマモっち」
いっちゃんの言葉に「わらわ未婚なんじゃが……」タマモが頭を抱える
「そういう事ならタマモさんの言葉に甘えていいかな1さん?」
「おっけー、倒すの俺じゃないし!」
こうして俺達はエリアボスモンスターへと挑むためフィールドの奥へと足を進めるのであった
ドラクエとかでHPが0になったら死ぬのにHPが1の時はぴんぴんしてるのはなんでなの?とい疑問に対する作者なりの回答