戦後処理
おかしい、脳内プロット通りに話しが進まない!
盗賊の後始末をどうするか話し合っているところに走ってきたのは、ダン率いる自警団と、その娘であるメリア嬢だった
息を切らせて走り寄ったメリア嬢は、何度か深呼吸をすると、頭を下げて「申し訳ありません!」と謝罪する
その後ろからついてきたダン達自警団も同様に頭を「申し訳ない」と言うと、頭を下げて動かなくなる
俺はリアルンの方を見るも、リアルンも困惑したようにこちらを見返してくるだけだった、するとタマモがパンっと手を叩き注目を集めると
「お主等を追い出すような形になった事に対する謝罪じゃろう?」と言うタマモに、そういや、そんな事もあったなと思いだす
リアルン達もそれは同様だったらしく(彼等の場合死闘を繰り広げた後だという事もあるだろう)ああ、っといった表情を浮かべる
全員で一度顔を見合わせた後に、俺に対してどうぞどうぞと合図をしてくる、嫌だという事を顔に表し意思表示をすると、全員が自分戦闘で疲れてるんですと、傷ついたところなどを見せてくる、ちぃ・・・
「俺達は気にしてないから頭を上げてくれ、俺達が貴方達の立場なら俺達だって同じ態度を取ったはずだ、だから貴方達の対応は間違っていないよ」
俺の言葉にやっとメリア嬢達は頭を上げてこちらを見る
まだ色々と言いたそうにしていたので、俺は先手を打って「それで皆さんは何故ここに?」と質問する
その質問に団長兼村長のダンが一歩前に出ると「私のスキルが危険が去ったと教えてくれたのでここに参りました、恐らく盗賊を皆さんが倒されたか、もしくはこの村から遠くに去っていったと思ったので、何か協力できる事はありませんか?」とダンは俺達の顔を見ながら言う
「ん~、現状では特にお願いすることはないかなー?中にいた盗賊はタマモ達が全員倒したみたいだし?」
「皆様はもう中の捜索を終えたのですか?盗賊のアジトは倒した人の物となります、この盗賊達の持ち物は全て貴方達の物ですよ?」
俺の言葉にダンが問いかけてくるのでリアルンの方を見ると、首を横に振る、どうやら知らなかったようだ
次いでタマモの方を見ると「世界事に違うが、ここではそうなのではないのかのぅ?そもそもわらわの住んでる世界では盗賊等おらぬし」と何とも言えない返事が返ってくる
「少なくともこの男が嘘をついてお主達をはめようとしている気配は感じぬから主達プレイヤーのみで中に入ってアイテムを取ってくればいいんじゃないかのぅ?わらわがこ奴等まとめて見張っておくわ」
タマモの言葉に監視対象に自警団も入っているという事を感じたのだろう、何人かの自警団がタマモに対してむっっとした表情を向けるが、すぐにダンに睨まれて顔をそらす
「んじゃ、いくかー」と俺が魔法の絨毯から盗賊二人を下ろし(若干乱暴に下した結果、腰から落ちたが)絨毯に座る、ああ、自分の足で立たないというのはやはり素晴らしい
そんな俺の膝の上に金弧と銀弧がダイブしてくる、ドーン等と言いながら、空蹴を使って高度を取ってからのダイブだった為に若干俺の膝が悲鳴を上げたが、この二人も頑張って戦ったのだから、この位のヤンチャは許してあげようと悲鳴を押し殺して我慢する
「んじゃ、行ってくるわ」とタマモに後を残して俺達は改めて、盗賊の洞窟へと入った
「と言っても何かありそうだった?」
盗賊達がねぐらにしていた洞窟に改めて入った俺はリアルンに問いかける、俺は中に入ってないから内部構造はさっぱりなのだ
「私達が罠に嵌められた部屋に奥に向かうためのドアがあったから、そこが本命かな、後は一本道だったから物を置ける場所はなかったはずだね」
というリアルンの言葉に従って、全員で洞窟の奥へと向かって進む、リアルン達は格上と戦ったはずなのに、あまり疲れている様子がないのはさすがである
「まぁ、あの位の逆境は何度も超えてきたし、ゲーム内時間半日の防衛戦とか経験したら少しずつメンタルがタフになったよ」と笑いながら言う
「リアルメンタルがタフになるっすからね、色々と現実生活でも役立ったりしますよね」とはナイフの言
「確かに、うちも子の間仕事で外回りしてるときに野生の熊を見たけど、焦らずに対処できましたしね」とはトイトンの言である、いや、そこは焦ろう
「委縮する事は少なくなった」とトトが言うと
「確かに、なんかチンピラ見ても、何とも思わなくなったねー」といっちゃんが答える
なんだかんだでゲームで死ぬ経験だとか、怖い思いなどをすることで現実世界での突発的なアクシデントで頭が真っ白で動けなくなるという事はなくなったなー
「でも野生を刺激されすぎたのかケンカとかも増えてるみたいですし、一長一短すよね」
ナイフが溜息をつきながら、この間も絡まれたんすよねーと言う、実際傷害事件も増えてるらしいが、大体が双方殴り合いになるらしい
日本人を戦闘民族にでもしようとしてるのかね、ナータリーツヴァイさんは
「と、雑談をしてる間についたね」戦闘のリアルンが足を止めると、部屋の真ん中に大きな檻が落ちている部屋があり、その檻の向こうにはドアがあった
「何かいい物あればいいっすねー」ナイフの気楽な言葉に頷きを返してから、俺達はドアを開いて奥へと侵入するのだった
NPC(現地人)の手のひら返しは時間をおいてみたら自分達って村の恩人にひどい事したんじゃね?なんとしても恩返ししなきゃ!(使命感)と言った感じです