表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蕗の葉の下の彼女  作者: あんだんご
1/1

第1話 朝起きると美少女がいた。と、思ったりしていた時期は悲鳴と共に消えてった。

――朝起きると、美少女が覆い被さるように寝ていた。


 健全な男子、しかも10代であれば途轍もなく興奮するシチュエーションであろう。


 しかし、特にそういう気は起きない。


 美少女の下にいる人物が実は女であるからとか、そういう訳ではない。


 下にいるのは紛れもない男、少年である。


 だが、それでも全く興奮しないのは。


 対象が途轍もなく小さい女の子だからだろう。


 いや、ロリコンでないとかそういう話をしているのではない。


――ロリコンではないが…。


 覆い被さる美少女、彼女は…途轍もなく小さいのである。


 2度言うが、ロリコンとかの話ではない。


 物理的、現実的大きさの事を言っている。


 少女の体長は15センチほどであった。


 丁度、小さい女の子が好きなお人形さんと同じ位の大きさである。


 なので、人形が自分の上にあると思うのが現実的であろう。


 一人暮らしの男の上にいきなり知らない美少女人形……。


「いや怖いわ‼︎」

「――ふぇ⁈」


 少年が身体を勢いよく起こしたことにより、美少女人形が落下するように足の方向に吹き飛ぶ。


 ここで少年はギョッとした顔をしていたのであるが、それ以上に美少女人形……いや、少女の顔はギョッとしていた。


 だが、少年はそのギョッとする顔をさらにギョッとさせる。


 理由は簡単、少女がギョッとした顔をしたからである。


――人形の顔が変わった‼︎


 刹那、少女が視界から消える。


 いや、違う。別に少年が少女が消えたと感じた訳ではない。


 逆である。少女が少年の視界から消えることが出来たと思ったのである。


 少女は人外の速度で走ることが出来た。


 少女を目で捉えられた人間は今まで1人としていない。


 いない筈…なのだが…。


 壁に張り付く形で高速移動を終了させ、息を切らしている少女を少年がガン見している。


 口をあんぐりと開けて。


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 少女が視覚で捉えられた事に驚き、声を上げ、少年は少女が声を上げたことに驚き、声を上げる。


『ああああああああああああ‼︎』


 声を止めると、何か怖い気がする為、少年は声を止めない。


 ここで問題が発生する。


 少年の声が大きいので、驚いて声を上げっぱなしの少女と、少女の声を怖いので耳に入れないように叫ぶ少年がいる。


――エンドレスである。


 ここで少年、少女が同時に気がつく。というか思いつく。


――これは‼︎

――これって‼︎


――――声を先に止めた方がヤられる‼︎


 こうして、無駄に長く続く少年対少女の断末魔の叫び対戦が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ