2人の信仰集め
とりあえず、水菜の方はまだ到着まで時間が掛かるようだし、水希の方を見てみるか。
あいつ、ちゃんと蛙の里で信仰集めが出来るのか? 心配だが、少しは信じてみるか。
「それで、なんで水希はここに来たケロ?」
「実はね、修行のために来たんだよ、信仰集めの修行で」
「普段修行なんてしてないって言ってたのに、どうしたケロ?」
「今日は圭介が来ているの、1日だけ時音様と交代でね」
「ケロ! 圭介が来ているケロ!? それは行かないと!」
「大丈夫、圭介は今日ずっと山明神社に居るから」
「ケロ、そうケロか・・・なら、ケロは水希の道案内とか色々とする事にするケロ!」
「おぉ! あたいはあまりこの場所知らないからありがたいよ!」
「ケロケロ、この里の事はケロに任せるが良いケロ!」
そう言うと、賢子は自分の胸を強く叩いた。
「けほけほ・・・つ、強すぎたケロ・・・」
そして、強く叩きすぎて軽く咳き込んだ・・・頼りないな、あいつは。
「あはは! 強く叩きすぎだよ!」
「ケロケロ・・・か、加減が苦手なのがケロの悪いところケロ・・・」
分かってるんなら直せば良いのにと思うが、まぁ、無理だろうな。
「ま、まぁ、ケロが案内するケロ・・・何処に行きたいケロ?」
「そうだなぁ・・・困ってる人の場所?」
「また、難しい注文ケロ・・・とりあえず、里を歩き回ってみるケロ」
「そうだね! あたい楽しみ!」
水希の奴はかなり嬉しそうに跳ねている・・・目的を忘れなければ良いがな。
何かもうすでに忘れられている様な気がするけどな。
「それじゃあ、とりあえず、ケロ達が集まる場所に案内するケロ!」
そして、水希と賢子はこの里で結構大きな建物に入っていった。
ここはどうやら蛙の妖怪達が集まる、憩いの場らしい。
「ここだよ、ケロ達の憩いの場ケロ! ここなら色んな人達が集まるケロ」
「そうなんだ! 面白そうだね!」
「ケロケロ、面白い場所だと思うケロ」
「へぇ、だからこんなに面白そうな道具があるんだね!」
そこには変わった植物が沢山置いてあった。
まるでトランポリンのような植物も、マッサージチェアの様な植物もある。
水を含んでいる変わった植物から水をだして、それを飲んでいたりもしているな。
これが妖怪蛙が育てている植物か・・・なるほど、かなり利便性が高そうだな。
「これは全部植物ケロ! ケロ達が頑張って作った植物で、全部面白いケロよ?」
「おぉ、賢子も作ったんだ!」
「ケロケロ、これでもケロは植物の操作に関してはこの里で1,2を争うくらい得意ケロ!」
「おぉ! 意外だね!」
「ケロケロ、もっと褒めるがいいケロ!」
賢子はかなり得意げな表情でそう言った。
まぁ、本当にこの里で1、2を争うくらいに植物の操作が得意なら胸を張っても良いかな。
それが本当ならの話だがな。
「おぉ、賢子か、今日はどうしたんじゃ?」
「マスター、こんにちはケロ!」
「あはは、今日も元気だな・・・あと、そっちの子は山明神社の巫女さんかな?」
「そうだよ! あたいは山明神社の水希! おじちゃん、よろしくね!」
「元気が良いな、お嬢ちゃん、まぁ、遊んで行きなさい」
「よっしゃぁ! 遊ぶよ!」
水希は許可を得ると同時に盛大にその場所で遊んだ。
これは、目的を忘れていそうだな。
「やっほぉ!」
「元気が良いな、でも、あまり飛びすぎない方が良いぞ? 天井は柔らかいが、当ると痛いからな」
「分かった! ヒャホー!」
水希はあのトランポリン型の植物を気に入ったようで、ずっと跳ね続けている。
「ケロケロ、楽しそうケロね! ・・・? 何か忘れているような・・・まぁ、いいケロ」
良くないな・・・でも、まぁ、きっとその内思い出すはずだろう・・・
本当に思い出すんだろうか・・・不安になって来たが・・・信じるとするか。
「ケロケロ!」
「いやっほう!」
やっぱ、不安しか無いな。
もう、あの2人は後にするかな・・・水菜の方もそろそろ里に着いたっぽいしそっちを見るか。
「いやぁ、久々やな、やっぱり、あまり変わっておらへんな!」
「あまり騒がないで下さいよ? 擂様も居るんですから」
「大丈夫や! あいつもうちのことくらいわかっとるやろうし!」
「はぁ・・・でも、暴れないで下さいね?」
「それは約束するわ、信仰集めてこい言われて、信仰を崩したら、うちは叱られてまうわ」
「そうなんですか・・・じゃあ、案内しますね」
水菜は楓に案内され、天狗の里に入っていった。
さてと、擂と水菜の遭遇は、一体どうなるか、少し興味があるな。
戦闘にならなきゃ良いが・・・




