水菜と水希の瞑想修行
修行の瞑想を開始してから10分ほど経過してきた。
水希は未だに集中は切らしては居ない・・・だが、水菜の方は少し応えてきたな。
「おい、水菜、なんか足が震えてるぞ?」
「あ、足痛いわ・・・」
「もう痺れてきたのか?」
「ちゃうわ!」
水菜は目をばっちりと開けて、俺の方を見た。
でも、これは瞑想の修行なんだよな、目を開けちゃったらなぁ
「目を開けるのはなぁ・・・アウトだぞ?」
「しもた! 罠に掛かってもうたぁ!」
「と言う事で、水菜は30分延長だな」
「ひどいやないか!」
「修行なんだからな、厳しく行くぞ」
「くぅ・・・鬼や、こいつは鬼やぁ!」
「鬼は私」
「知っとるわぁ!」
「いいから、ほら、延長だ」
「うぅ・・・」
そして、更に10分が経過した、水希は未だに集中力を切らしていない。
何というか、流石だな、天才って感じがする、茜の奴なんてこんなに耐えるのに何回もやり直したのにな。
まぁ、あの時の茜はまだ6歳だったし、集中が持つわけは無いがな。
それにしても、その師匠は少しずつ集中が切れ始めてやがるな。
「・・・くぅ・・・」
「まだ20分だぞ? もうへばったか?」
「んな訳ないわ・・・」
と言う風に強気で応えているが、やっぱり結構キツそうだな。
うーん、やっぱり砂の上に正座はかなり辛いのか・・・ふむ、まぁ、小学の時、かなり痛い記憶があるからな
それを30分はやっぱり厳しいのか・・・仕方ない、茜の次のステップには使わないでおくか。
「キツくなったら言えよ?」
「こ、ここまでやって、今更引くわけはいかんのやぁ・・・」
水菜は目を瞑った状態でそう言った。
目を開けたら更に30分追加だからな、そこはこらえるか。
そして、更に30分が経過した。
「よし、30分経過、水希はもう良いぞ」
「ふぅ、やっと終わった・・・あれ? 師匠はまだなの?」
「あぁ、あいつはまだだ・・・って言うかお前、会話聞いてなかったのか?」
「会話? 風の音すら聞えなかったけど?」
「あ、あぁ・・・そうか・・・」
マジかよ・・・そこまで集中してやがったのか・・・
やっぱ、こいつって、天才なんだなと、俺は再び認識した。
「水希の奴、そこまで集中できる奴だったんだな、こいつは将来かなり大きく成長しそうだ」
「ふーん、そうなんだ・・・」
「・・・所とでお前は名前とか無いのか?」
「私? えっと、名前は・・・稻居童子だよ、稻で良いよ」
「稻居童子? 何で童子が付くんだ?」
「それは知らない」
「ふーん、そうか」
稻居童子ね、そういえば、鬼の名前って何で童子って付くんだ?
酒呑童子、茨城童子、星熊童子とかな、不思議なもんだ。
まぁ、そこは今更考えることは無いか。
「そういえば、あなたさ・・・ずっと気になってたんだけど・・・」
「な、何だよ、さっきっからジロジロと見て・・・」
「うーん、分かりにくいくらい薄らとなんだけど・・・鬼の気配がするんだよね」
「はぁ!? 俺に! 何でだよ!?」
稻がイーリアに向かってとんでもない事を言い出した! あ、あいつが鬼だと!?
「お、鬼!? イーリア! お前鬼だったのかぁ!?」
「ち、違うって! 俺は鬼なんかじゃ無いって!」
「ほんまかぁ! あてぁ!」
いきなり立ち上がろうとした水菜が思いっきり転んだ。
あれは足が痺れてすぐに動かなかったからだろうな。
「イーリア、鬼だったんだ、あたいは普通の妖怪だと思ってたけど」
「そ、そうだよ! 俺は普通の妖怪だ! 鬼なんかじゃ無い!」
「鬼も妖怪の中に入るんだよ? ただ、妖怪の中でかなり有名だっていうだけ」
「そ、そうなのか・・・いや、でも流石に俺は鬼なんかじゃ!」
「そうなの? うーん、じゃあ、そうだなぁ・・・あ、あなたは豆が痛かったりする?」
「ま、まぁ、痛いな、何でか知らないけど」
「それが証拠だよ、鬼は豆に弱い、だから人間は豆をまくんだ」
「な・・・なにぃ!」
そ、そういえばイーリアは豆を痛いと言っていたな。
水菜とかが投げた豆ならまだしも、茜の投げた豆でも痛いって言ってたっけ。
とすると、やっぱりこいつは・・・鬼だったのか!?
「まぁ、かなり微かに鬼の力を感じるだけだよ」
「な、なるほどなぁ、イーリアはおにやったんか、通りで力が強い思ったわ」
「く・・・確かに・・・そうなのか・・・俺は鬼だったのか・・・まぁ、それでも俺は変わらないがな」
「あはは! イーリア笑ってるね! さっきまで衝撃を受けてたのに! すぐ治ったよ!」
「まぁ、種族なんてどうでも良いからな、それはそこの種族間なしに関わってる神様が
証明してくれてるからな」
「あ、俺か? まぁ、そうだな、妖怪だろうが鬼だろうが、迷惑を掛けないんなら気にはしない」
「でも、迷惑を掛けたら怖~いお仕置きが待ってるんだよね」
「そうだな、それが例え人間だろうとお仕置きはするぞ、迷惑を掛けたらな?」
「なんでそう言いながらうちを見るん? まぁ、自覚が無い訳じゃないんやけどな」
「それと、水菜・・・お前、また目を開けたな?」
「へ? ・・・し、しもたぁ!」
「じゃぁ、30分延長だな」
「うわぁ~! 圭介はんの鬼ぃ!」
「鬼は私」
「知っとるわぁ~!」
そして、水菜の瞑想は結局2時間ほど掛かった。
水希なんて、集中したら周囲を完全にシャットアウト出来るのにな。
師弟でここまで変わるもんなんだな。
しかし、イーリアが鬼か、何となくそんな気はしていたが、本当だったとは驚きだな。
でも、まぁ、別に鬼だからって接し方が変わるわけじゃ無いし、あまり関係は無いか。




