豆まき大会!
花木の提案で始まった豆まき大会・・・豆まきって、こう言うのだっけ?
見たいな疑問は当然あるが、それはもう別にどうでも良い。
折角の行事だ、ワイワイ騒いだ方が良いだろう。
「ふっふっふ、イーリア、そっちについたっちゅう事はうちにやられたいんやな?」
「違うな、水菜、俺はお前に豆を思いっきりぶち当てたいからこっちのチームに入ったんだ」
「お師匠様、頑張りましょう!」
「そうね、適当にやるわ」
「頭領様! 頑張りましょう!」
「そうだね~、あの子達に豆を当てちゃおうか~」
「く、羽衣・・・頭領様と一緒なんて・・・羨ましい!」
「うーん、あっちが良かったかなぁ・・・」
卯実、羽衣、兎梨は当然花木と一緒のチームになりたがっていたが、じゃんけんで羽衣が同じチームだ。
普段いじられている不憫な奴が、憧れの頭領と一緒に戦えるんだし、嬉しいだろうな。
まぁ、内容は豆まきなんだけど・・・
「あはは! あたい頑張る!」
「あたしも暴れるよ!」
「サラちゃん、手加減しないからね」
色んな言葉が飛び交っている中、睦月と刀子はあまり乗り気じゃないようだ。
「うーん、やらないと行けないのか・・・はぁ」
「あなたは良いじゃないの、私なんてメンバー分けされてるけど、触れないのよ?」
「じゃあ、最強じゃないか、当らないんだし」
「茜の方に上乗せよ、茜だけは20個入ったらアウトって事よ」
「それで、お前もアウトか」
「そうそう、だから、私は茜の目の役割しか出来ないのよね」
「じゃあ、茜は最優先で狙われるな」
「周囲の状況を見れるわけだからね」
睦月は茜の上にいる、つまり、茜はレーダーの役割をこなすことが出来る。
だから、最優先で狙われると・・・茜の奴、大丈夫かな・・・まぁ、周りが守るだろう。
「じゃぁ・・・始め~!」
そして、花木の気が抜けるかけ声と共に、豆まき大会が始まった。
皆は各々の壁役のサラと四季が建てた壁に隠れた。
「食らえ! 水菜!」
最初に攻撃を仕掛けたのはイーリアだった。
ターゲットは当然水菜だ、しかし、すごい勢いですっ飛ぶな。
「おっと! 当らへんで! これはお返しや!」
「うわ!」
水菜の反撃に対し、イーリアはギリギリで壁に隠れた。
流石の反射神経、このバトル、もしかして、あの2人の2強か?
「ただ力強く投げるだけじゃないわよ、だって、カゴに入れれば良いんだし、ほら」
「なんやと! 壁に隠れてカゴに入れてきおった!」
葵が壁に隠れ、山なりに投げた豆は、立ち上がっていた水菜のカゴの中に入た。
見ても居ないのに、あんな正確な攻撃が出来るのか、流石は先代だな。
「あ、あかん、あの巫女はかなりヤバいで!」
「うん、お師匠様、あの場所です」
「そう、確かあそこは・・・えーっと、こうね」
睦月は茜にしか情報を渡せないという約束だが、もう、それだけで十分だな。
茜が睦月から聞いた場所を、正確に葵に話し、葵がその場所に入るように豆を投げる。
「そんな! 隠れてたのに!」
そして、隠れていた水希のカゴの中に入っていった。
もう、壁、意味ないな、なんせ、その奥の壁に当てて、跳ね返して入れてるし。
「お師匠様、なんでそんなに上手いんですか!?」
「そうね、茜、ゴミ箱にゴミを入れるとき、面倒でしょ?」
「はい、そうですね、特に冬場は・・・炬燵から出ないと行けないし」
「そうなのよね、だから、面倒だし、投げて入れようかなって思って練習してたら、得意になってね」
・・・・・・コントロールが上手くなった理由が、面倒くさいからだと?
あぁ、天才が極端に怠け者になったらこんな風に才能を発揮するのかよ・・・
「才能の無駄遣いね」
「そうだな」
時音の方も同じ様に思ったようだ。
まぁ、当然だよな、明らかに才能の無駄遣いだし。
「もしかして、これってあの3人に任せれば、私達いらないんじゃ・・・?」
「このままジッとしてるのは退屈! あたしも豆を投げる!」
流石にただ隠れているのに飽きたサラが立ち上がり、走って行った。
「おぉ、ようやく動いた! えーい! 投げろ!」
「わぁ! でも、負けないよ! てりゃぁ!」
サラが突撃したことで、一気に豆まきのようになった。
そして、地面を見ると、ちゃんと豆が集められている。
宣言通りって奴だな、しかし、豆をまきながら、回収もするって地味に器用だよな。
「チャンスだ! 行け!」
「おぉ~、この流れに乗っちゃうよ~!」
「あはは! 食らえぇ!」
「おぉ、お師匠様、私達も行きましょう!」
「このままでやれば確実に勝てたのにね、まぁ、乗ってあげる」
「ようやく出てきおったな! そこや!」
「おっと、ふ、私を狙うとは・・・やってやろうじゃないの!」
そして、色んな場所に豆が飛び交っている・・・
それにしても、こっちにもいくつか飛んできてるんだけど?
「おぉ、危ない」
「結局、巻き込まれるのね、お、危ない」
「そうだな、まぁ、普段からそんなんだし、仕方ないか」
「あぁ、そういえばそうだったわ、神様を振り回すなんてね、いた」
時音はいくつも飛んでくる豆を避けれずに、デコに当った。
しかし、時音はそれでも別に怒っては居ないようだ。
むしろ、少しだけ笑っている。
「そこや!」
「私! はう!」
水菜の投げた豆が羽衣のおでこにあたった。
しかし、カゴには入らない、やっぱり勢いだけでは入らない物が多いんだろう。
「ふっふ、どうや! 今度は取っておきやで!」
「力なら、俺も負けちゃいないぜ!」
水菜とイーリアは大量の豆を手に持った、何だか嫌な予感しかしない。
これは、あれだな、超範囲型の散弾銃が飛んでくるぞ・・・
「「食らえ!」」
「うわ!」
茜と葵は急いで隠れたが、他は間に合わなかったようで。
「きゃう!」
「いて!」
「うわぁ!」
全員、その破壊力のある散弾銃をもろに受けた。
あれは避けれないよな、うん、避ける隙間も殆ど無かったし。
あんなの隠れなかったら間違いなく食らう。
「きゅぅ・・・」
「超・・・痛ぇ・・・」
そして、その騒ぎを起こした2人もダウンしている。
「ふぅ、危なかった・・・」
「これ、どうするんだ?」
「どうするも何も、もう全員戦う気は無いみたいだし・・・圭介のチームの勝ちね」
「そうだな」
俺と時音は掴んだ豆を口の中に入れ、食べた、捨てるのは勿体ないし。
「じゃあ、お前だな、料理は」
「そうね、じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
「あぁ、待ってるよ」
そう言い、時音は自分の神社の方に飛んでいった。
あの力は便利だよな、転移系の力って、本当に羨ましい。
「あれ? 皆倒れてる?」
「あれだけの勢いの豆が飛んできたらね、そうなるわ」
「皆、大丈夫かなぁ・・・」
しかし、全員ぶっ倒れてるくせに、何かスゲー楽しそうだな。
倒れても笑うって、どんだけ面白かったんだか・・・まぁ、運ぶかな、面倒だけど。
そして、これで、豆まきは終わりか、何だか、いつも通りだったな。




