節分の日
正月の3日間という短くも忙しい日も終わり、今は節分ちょっと前だ。
節分には鬼が出るそうだが、かれこれ3年間の間、出た記憶が無い。
まぁ、それでも節分の豆まきはするし、豆は買っておこう。
「圭介様、豆はこれ位で良いですかね?」
「まぁ、そうだな、これだけあれば良いだろう」
俺と茜は豆を村で軽く買い、神社の方に戻った。
そしたら、時音が縁側に足を組んで座っていた。
「時音か、久々だな」
「そうね、あと今日はイーリアも来てるわ」
「久し振りだな」
「あぁ、ってか、その豆は何だ?」
「明日は節分だろ? だから豆を用意したんだ」
「節分って何だ?」
「そうだな、こんなのだ」
俺は豆を一粒掴み、イーリアに軽く投げた。
「痛! な、何すんだよ!」
「あ、いや、こうやって投げて鬼は外とか言う行事だ・・・」
「つぅ、だからってそんなに思いっきり投げるなよ!」
「え? そんなに思いっきり投げたか?」
「え、そうだろ? そうじゃないとこんなに痛いわけが無いじゃないか」
「見た感じ、そんなに勢いよくは投げてなかったけど?」
「お、おかしくないか? 軽く投げた程度で俺があんなに痛いなんて感じるわけがないじゃないか」
うーん、おかしいな、そんなに勢いよく投げたつもりはなかったんだがな・・・
もしかして、神様だから加減ミスったか?
「うーん、よく分からないな、じゃあ、茜が投げてみてくれ」
「私ですか?」
「あぁ、お前が投げた程度なら絶対に痛くないはずだから」
「そうだな、へ、お前が思いっきり投げたって証拠を掴んでやる!」
「じゃ、じゃあ、行きますよ・・・えい!」
茜が投げた豆はゆっくりとイーリアに当った。
「痛! く、くぅ、超いてぇ!」
「あ、あれ? お、おかしいなぁ、そんなに速かったかなぁ・・・」
「まさか、茜が投げた豆は遅かったわ、私も見たし、そこの神様も見たはずでしょ?」
「そうね・・・あんなに反応する位の勢いじゃ無かったわね」
「くぅ、よ、よくは分からないが、節分って言うのが俺には嫌な行事だってのが分かった」
あまり勢いのない豆があたった程度であそこまで過剰に反応する・・・
もしかして、こいつは鬼なんじゃないか? でも、鬼は豆があたったら火傷するって書いてあったはずだ。
だが、イーリアは痛がってるだけで、火傷はしていない・・・本当によく分からない奴だ。
「あ、帰ってきたんだ!」
そんな事を考えていると、神社の裏側から水希がやって来た。
あぁ、裏にいたんだな、水希の奴・・・
「あぁ、そうだが、なんで神社の裏にいたんだ?」
「暇だったから!」
「そ、そうか、寒くなかったのか?」
「大丈夫!」
「そ、そうか・・・それじゃあ、まぁ、本題に入るけど、なんでこっちに来たんだ?」
「そうね、暇だったから? 参拝客も来ないし」
「で、俺は偶然神社に行ったらこっちに行くって話だから一緒に付いてきたって事だ」
「そうなんだよ! 山明神社にいても暇だからこっちで皆と遊ぼうかなって思ってさ!」
まぁ、山明神社には四宮神社と違って遊び道具がないからな。
だとしたら、今日はひたすらに花札とトランプか。
「さぁ! 遊ぼう!」
「あぁ、はいはい、この人数で遊べるのはババ抜きかな」
「よし! やろう!」
そして、今日はトランプでババ抜きをやって終わった。
さてと、明日だな、節分は。
そして、次の日の朝。
「よし、朝だな」
「おはようございます」
「言われたとおり早起きしたよ・・・」
「じゃあ、今日の朝はお前らに修行を軽くしてもらおうと思ってな」
「修行ですか・・・久々ですね」
「なんであたいまで?」
「折角来たんだ、大丈夫だって、そんなに難しい修行じゃない」
「なら、良いよ」
さてと、今日の修行は瞑想、薪割り、境内を軽く走って、その後に滝行だな・・・
あ、いや、この寒い時期に滝行は地獄か・・・風邪を引かれても困るし。
ここは琴かな、琴の練習が良いな、楽器の修行も面白いかも知れない。
「よし、じゃあ、今から言うことをやってくれ」
「はい!」
さてと、俺はその間に琴を買ってくるかな・・・
何処に売ってたっけ、ちょっと見てみるか。
「時音、あの2人を見ていてくれ」
「ん? 良いけど、どうして?」
「ちょっとな」
俺は久々に精神を集中させ、琴を売っている店を探すことにした。
しかし、村も結構大きくなり始めているし、見つけるのがしんどいな。
そんな中、四宮神社の近くの山から大きな砂煙が上がっているのが見えた。
「何だ!?」
「どうしたの?」
「い、いや、何だかすごく大きな砂煙が・・・」
「え? どういうこと?」
そんな会話をしていると、近くの山から鳥が一斉に逃げだしているのが見えた。
それと同時に、近くの山で大きな音が聞えた。
「な! 何!?」
「おお! おお!」
「ぐがぁ!」
そして、近くの山から鬼が出てきた、今まで出て来なかったのによ・・・
でも、どうやら本当の鬼はそれではなかったみたいだ。
「だっしゃぁ!」
「ぐおわ!」
鬼は女の人の声が聞えると同時にすごい勢いで吹き飛ばされた。
「だぁ、もう! しつこいっての!」
「逃がすわけないやろ! うちの獲物!」
「うっとうしい! あんたと戦うつもりは無いっての!」
どうやら2人の女が戦っているようだ、この攻防はかなりのものだな。
「「こ、この声は!」」
「ん?」
「聞き覚えのある声やな」
「師匠!」
「お姉様!」




