山明 時音、同じ神として
今回のお話で大晦日の番外編は取りあえず終わります、最後は山明神社の神
山明 時音のお話になります、彼女から見た圭介は一体どんな神なのでしょう。
そうね、私が眠りに着く前は妖怪も人間も神も幽霊も殆ど手を取り合おうとはしてなかったわね・・・
それが、長い眠りから妖怪の力で目覚めて、唯一自分と同じ神は妖怪と人間の架け橋になって。
正直、圭介を見たとき、私は困惑したわね、神が平然と妖怪と話、巫女と会話をしているんだから。
今まで見てきた神は人間と妖怪から距離を取り、神聖さを優先していたって言うのにね。
「ふぅ、泣き止んだか」
「結構小心者なのね、茜ちゃんは」
「あぁ、こう見えてもこいつはまだ9歳だ、大人びて見えるかも知れないがな」
「大人びては見えないわね、見た目は、でも、確かに精神的には大人のように感じていたわ、私もね」
茜ちゃんは普段は客人に素早く対応するかなり能力が高い女の子。
でも、精神的な所はまだ弱いみたいね、それに、間違いなくこの子は圭介に依存している。
彼に嫌われたくない、彼に好かれたい、彼を失いたくないそんな感じかしらね。
全く本当によく見れば見るほどこの2人は親子のようね。
「うぅ・・・わたひはちゃんと大人でふよ、見た目だっへ」
「団子を頬ばりながら少し泣いてる奴のどこら辺が大人なんだよ」
「むぅ、けいふけはま、ひどいでふ」
そんな事を良いながら、団子を口にくわえて、彼に抱きついているわね。
と言うか、良くあんなに団子を頬ばって会話が出来るわね、私には無理そう。
「あぁ、分かったって、取りあえず口の中のもの全部食ってから話せ」
「ふぁい」
そう言って、茜ちゃんは口の中に頬ばった団子を急いで噛み始めた、何だかリスのように見えるわ。
「茜、もう少しゆっくり食べなさい、詰まるわよ」
「だいじょうふ」
少し心配ね、のどを詰まらせなければ良いんだけど・・・
何だか最近は水希のせいか、こう言う光景を見ると心配になるわ。
あの子も急いでご飯を食べるから、かなりの頻度でのどを詰まらせているからね。
もう少し落ち着いて食べなさいって言ってもすごい勢いで食べちゃうし、全く。
「時音も心配か?」
「こんな光景をよく見てるからね、心配よ」
「水希か?」
「えぇ、そうよ、本当に見ているだけで心配になるんだから」
「は、そうか、もうお母さんみたいな感じか?」
「違うわ、どっちかって言うとお姉さんよ」
「どっちも同じだろ?」
「そうかも知れないけど、そうじゃないのよね」
この気持ちは自分でも上手く表現できないわ、心配なんだけど
そんな状況を眺めるのが楽しくて、それに悪戯をしてみたくもなるしね。
お母さんなら悪戯はしないでしょうし、やっぱりお姉さんみたいな感じかしら。
「じゃあ、何か? 俺はお兄さんか?」
「圭介は幼馴染みの生意気小僧よ」
「小僧って、俺は結構いい歳だ」
「ま、そうよね、あなたみたいな少し老け顔の小僧なんていないわね、おっさんかしら?」
「馬鹿言うな、まだお兄さん程度の年齢だ」
「じゃあ、小僧で良いわ」
私がそう言うと、圭介は少し苦笑いをした、否定したいけど否定したらおっさんだしって感じね。
やっぱりからかい易い幼馴染み程度が無難かしらね、まぁ、幼い頃からの馴染みじゃないけどね。
でも、そんな風に感じれるくらい、居て当然だと感じてしまうわ、圭介はもしかしてかなりすごい
存在なのかも知れないわね、居て当然、居るのが当たり前だと感じる神か・・・
もしそうなら、この神社に人が集まる理由も分かるわ、まぁ、大概人じゃないけどね。
「食べました!」
「よし、もう食ったか、速いな」
「はい、食べるのは速いほうなんですよ」
「じゃあ、茜、1つ良いか?」
「何かな?」
「茜は圭介の事をどう思っているんだ?」
あの子、いきなりずいぶんなことを聞くわね、でも、気になるかも知れないわ。
「うーん、難しい事を聞くね・・・居場所? お父さん? 私が一生仕える神様?」
「居場所って、ちょっと言いすぎじゃ無いか?」
「そんな事ありませんよ、圭介様は私の居場所です、私は圭介様の近くが1番安心しますから」
「お前が1番安心するのは・・・先代じゃないのか?」
「・・・確かにお姉様の近くも安心出来ました、でも、お姉様は私から少し距離を取ってたんです」
「ん? 何でだ? 前聞いた話だとすごく仲が良さそうに感じたが?」
「はい、そうですよ、でも、分かるんです、お姉様は何処か私を避けてるって・・・
態度や言葉には出していませんでしたけど、何処かそんな気がして・・・」
・・・よく分からないわ、そういえば四宮の巫女にも先代は居るのよね。
私の神社の巫女にも先代が居るように、あったことはないけど。
「だから、圭介様の近くの方がすごく安心出来るんです、私を受け入れてくれてるって分かるから」
「そりゃあ、先代もだろうよ、ま、多分生きてんじゃないの? そん時に聞いてみろ」
「あはは、そうですね、あのお姉様ですもん、絶対に生きてますよ、その内また会えたら
圭介様に言われたとおり、聞いてみたいと思います」
「それが良い」
そして、少し暗い表情を見せていた茜ちゃんが少し笑った。
あんなに沈んでいたのにね、これが圭介の力か・・・同じ神でもここまで違うのね。
・・・今日は、その事が分かっただけで収穫かしらね。
それにしても、山明神社と比べて、ここは本当に賑やかね、羨ましいくらいに。
・・・私も頑張って圭介のように引き寄せる魅力を身につけようかしら。
これで番外編は終わります、次回からストーリーが進行し、正月に入ります。
もしもこのキャラクター視点の話を読んでみたいと思ったらリクエストしてください。
すぐは無理でも、いつかやると思いますので。




