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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
少女期、第5章、年末のお話
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クリスマスイブの夜

火の鳥騒動の後、俺達は四宮神社に戻ってきていた。

周囲は暗くなり始めている、まぁ、時間的にそんな所だろう。

今日はクリスマスイブって事もあってか、妙に1日が長く感じたな。

トランプやって、火の鳥を退治して、そして帰宅だ。

普段はダラダラしているだけだから、今日は忙しいと感じるな。


「不思議な鳴き声はどうなったの~?」

「あぁ、不思議な鳴き声の主を倒して説得した」

「人間の言葉を話せるんだね」

「いや、俺がその鳥の言葉を翻訳したんだ、ただの迷い鳥だったよ」

「ただの迷い鳥か・・・あんな燃えさかる鳥がただの鳥かよ、神様はすごいな」


まぁ、確かにそうだな、何だろう、こっちに来てから感覚が変になったかな。

周囲は耳が生えた女の子に幽霊、羽が生えた女の子もいる。

その上見た目はそこまで力が無さそうなのに、その気になれば木を引っこ抜ける怪力娘。

今更ながら、そうそうな面々だな、このメンバーに比べれば燃える鳥なんてそこまで・・・

いや、このメンバーと比べても十分異質だな。


「燃える鳥か~、見てみたかったよ~」

「頭領様、危ないですよ」

「そうそう、いくら強くても火傷しちゃうよ」

「兎梨、頭領様に話をするときくらい敬語を使いなさい、重要よ、この馬鹿」

「あぁ! 卯実ちゃん酷いよ! 馬鹿なんてさ!」

「まぁまぁ、2人とも落ち着いてよ、喧嘩は良くないよ」

「そうそう~、皆仲良くだよ~」

「りょ、了解しました、頭領様」

「うぅ、分かってるよ・・・」


この3人は仲が良いのか悪いのか分からないな。

まぁ、良い感じのバランスを取ってるような気はするがな。


「ま、ちゃっちゃと料理を作ってくるよ、待ってろ」

「あはは~、いつもありがとうね~」

「あたしも手伝おうか、いつも何もしないのは悪いからね」

「あぁ、ありがたい」


そして、俺は久里と一緒に台所に入った。

今日はいつもよりも少しだけ豪勢にしようか。

そんで、明日はケーキでも作ってみるかな。

この世界にキリストはいないが、習慣って奴でな。

それに、あいつらもたまにはそんな物を食ってみたいだろうし。


「圭介、何を作るんだい?」

「あぁ、今日は少し豪華に作るぞ、今回は釣った魚を寿司にでもしようかと思ってな」

「ん? 圭介は寿司を握れるのかい?」

「あぁ、お前らに振る舞ったことは無いがな、振る舞ったのは茜だけだ」

「そうかい、じゃあ、楽しみだね」

「あぁ、任せてくれ、それで、お前は魚を捌いてくれ」

「捌くなら適任が居るんじゃないか」

「あぁ、刀子か、あいつは駄目だ、サラ達に捕まってるみたいだしな」


刀子の奴は今はただひたすらにトランプをサラ達としている。

どうやらトランプをかなり気に入ったようだ、作った立場からすれば嬉しいもんだ。

まぁ、そこまで時間はかかってないが、それでも少しは苦労したからな。


「さて、作るか」

「あぁ、捌くのは出来るからね、任せなよ」


そして、俺達は2人で協力して寿司を握った。

寿司屋で修行をした事があるわけでは無いが、何故か寿司は握れる。

茜にも美味しいと褒められた、でも、まぁ、実際はどうだか分からない。


「なぁ、久里は寿司を食ったことはあるのか?」

「あぁ、あるよ、家を完成させたときに客人から貰ったことがあるんだ

 美味しかったよ、だから圭介の寿司も楽しみなのさ、だから厳しめに採点するよ?」

「はは、そうか、じゃあ、気合い入れて作らないとな」


もしも久里が美味しいと判定してくれたら、俺は寿司作りの才能もあるって事だな。

まぁ、あまり自信は無いが、でも、頑張ってみるかな。

そして、寿司を作り始めて1時間が経過した、その間に作れた寿司の数は100貫だ。

これは速いほうなのか、遅い方なのか分からないな。

まぁ、こんなもんだろう、少し多めに食いそうな奴は居るが、多分大丈夫だろう。


「ふぅ、こんな物か」

「並べると壮観だね、100以上あるじゃないか」

「2つで1貫と計算するから、100だな、これだけあれば足りるだろう」

「いくらか残りそうだけどね」

「そん時は俺が無茶をして食うよ、食べ物を粗末にしたらいけないからな、茜もよく言ってる」

「やっぱり出来た子だね、茜ちゃんは、さて、運ぶかな」

「あぁ、そうだな」


そして、俺と久里はその100貫の寿司を大広間に運んだ。

皆はかなり驚愕したような表情で寿司を凝視していた。


「今日は大盛りだ、皆、じゃんじゃん食べてくれ」

「スゲー! 美味しそう!」

「あぁ、圭介様のお寿司、久々に見ました、美味しそうですね」

「これが寿司って言う奴か、初めて見たな」

「おぉ~、美味しそうだね~」

「よし、食うぞ!」

「あまりがっつかない方が良いわよ、なんて言っても、聞くような連中じゃ無いか」

「サラちゃん! まだ食べたら駄目だって!」

「うぅ・・・待つのが辛いよ・・・」

「じゃ、さっさと挨拶するかな」

「いただきます!」


サラが先走って挨拶をして、寿司に食らいついた。


「あぁ! サラちゃん! 駄目だって!」

「良いんじゃないかな~、各々で挨拶すればさ~、と言う事で、いただきま~す」


そして、皆各々で挨拶をして、寿司に飛びついた。

皆は美味い、美味いと良いながら食べてくれる、作った側としてはとても嬉しいな。


「圭介、この寿司はかなり美味しいよ、やっぱり才能があるんだね」

「そうか? ありがとうな」


久里にも褒めて貰ったな、うん、俺は寿司の腕もあるんだな。

多分、これも神様としてのスキルなんだろう、もしかしたら、こいつらの信仰心が影響したとかな。

ま、何にせよ、こんな風に美味い美味いと良いながらワイワイ騒ぐ。

これがクリスマスイブかな、今まで体験したことも無かったが、良いもんだな。

さて、俺もさっさと食わないと、全部食われちまうな。

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