表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
少女期、第5章、年末のお話
70/251

クリスマスイブの小さな騒動

クリスマスイブの昼の騒ぎが終わり、その後何度かトランプをした。

しかし、それ以外やる事が無い、そんな時に、ある依頼がやってきた。


「依頼ですか、それも草刈り以外の、珍しいですね」

「何だ? 何か面白そうな奴か?」

「はい、えっと、近くの山で不思議な鳴き声が聞えます、不安なので確認してください、ですって」

「不思議な鳴き声? 何処からの依頼だ?」

「はい、えっと、村の端っこの家の様ですね、多分近くの山は前に釣りに行った山だと思います」


ふむ、あの山で変な鳴き声か、これは無視は出来そうにないな、何かがあった後じゃあ遅いし。


「よし、じゃあ、確認しに行くか、サラ達は留守番だな」

「ぶぅ、あたしも行きたいよ」

「何がいるか分からないし、お前らは俺からはぐれたら不味いだろ?」

「そうだけどさぁ」

「それに、キャンとキキの面倒も見て欲しいからな、頼んだぞ」

「えぇ~」

「サラちゃん、我慢して、何かあったらじゃ遅いんだから」

「あと、花木や久里が来たら俺達は依頼に行ったって言っておいてくれ」

「はい」


サラと四季にある程度指示を出し、俺達は変な鳴き声がするという山に入った。

その山は前に行ったときよりも暗く感じた、気のせいだろうがな。


「ここに変なのがいるのか、てか、なんで俺まで呼ばれたんだ?」

「お前は戦力になるからな、刀子やサラはあまり力は無いし」

「イーリアさんがいたら安心出来ますよ」

「馬鹿言うな、余裕でお前の近くの神様の方が頼りがいがあるだろう」

「俺は力を使えないんだよ、前も言ったような気がするが、力が強すぎる」

「分かってるって、だから降ろして貰ってるんだろ?」

「そうだ、そうしないと制御が出来ないからな」


俺の力は非常に高い、何だか最近はもっと高くなったような気もする。

そういえば、今年は神社で豊穣を祈る祭りもあったな、となると、俺は豊穣の力もあるって事だ。


「まぁ、とりあえずそれは良い、イーリア、もしもの時は頼むぞ?」

「分かってるって、俺は戦闘力はあるからな」

「頼りになりますね、お姉ちゃんみたいに」

「私はそんなに力は無いわよ、あくまであなたの護衛くらいしか出来ないからね」


考えてみると、茜ってかなり護られているよな。

俺、睦月、花木、久里、イーリアか、茜は安心出来るかもしれないな。

でも、いつかは護られる立場じゃ無くて護る立場になってほしいものだ。

まぁ、気長に頑張るかな、茜にはまだまだいくらでも時間はあるしな。

俺がそんな事を考えている時だった、妙な鳴き声が聞えてきた。


「キョーン!」

「何だ? 鳥の鳴き声みたいだな」

「そうだな、初めて聞く鳴き声だ・・・文月山では聞いたことがない」

「警戒した方が良いですよね」

「えぇ、最大限警戒しなさい」


鳥の鳴き声、それもかなり大きい。

もしもこの声を鳥が発しているとしたら、結構近くにいるのか。

あるいはかなりの大きさなのかのどちらかだろう。

でも、周囲には鳥はいない、となると、この鳴き声の主はかなり大きな鳥だな。


「こっちでしたよな、声」

「あぁ、行ってみるか」


俺達はゆっくりと、足音を立てないようにその鳴き声が聞えてきた方に歩いて行った。

すると、その場所はやけに明るくなっている。


「何だ? 明るいぞ?」

「うぅ、何だか怖いですね」


バキッと言う音が茜の方から聞えてきた。


「ひゃぁ!」

「枝を踏んだか!」

「キョーン!」


その音でその鳥が俺達の存在を認識したようだ。

その鳥は翼を大きく広げた。


「ちぃ、何だ!? こっちに来るか!」

「もう隠れる意味は無い!」


そう言うと、イーリアは素早くその明るい場所に走って行った。

俺は嫌な予感がしたが、とりあえず、同じ様に走って行った。


「これは!?」


そこには体が強く光っている大きな鳥の姿があった。

これは確か火の鳥だったか。


「火の鳥か?」

「確かに燃えてますよね」

「キョーン!」


その火の鳥は少しだけ浮き上がり、後方に下がった。


「ヤバいぞ!? イーリア! 避けろ!」

「く!」

「キョーーン!!」


鳥は俺の予想通り、素早くイーリアに向かって体当たりを仕掛けた。

俺の指示が間に合ったお陰で、イーリアはその体当たりを回避することが出来た。

もしもあんな鳥に当ったら火傷じゃすまないだろう。


「クソ!」


そして、1つ俺は疑問に思った、何故かあの日の鳥が当った木々は燃えていないのだ。

あれだけの熱だ、普通に当れば燃えると思うが、燃えていない。

もしかしたら、あの鳥の火は攻撃対象になった相手にしか効果が無いのかもしれない。

普通ならあり得ないが、そもそも燃えている鳥がいる地点で異常だし、可能性はあるだろう。

でも、それが分かったところで対処法は変わらない、遠距離から仕留める、ただそれだけだ。


「茜、神降ろしを」

「分かりました!」


イーリアは接近戦が強いが、逆にそれしか出来ない弱点もある。

だからこの鳥のような燃えさかっている相手には不利だ。

なんせ、接近が出来ないんだからな。

俺は茜の体に降りた。


「イーリア、ここは俺が何とかする、お前とあれは相性が悪いだろ?」

「悔しいが、実際そうなんだよな、あんなの近寄れない」

「じゃ、任せろ」


俺は手元に弓を作り出した、これも最近出来るようになった。

あくまで俺の力を練り上げて作り出した弓矢だ、だから炎にも強い。

これで遠距離も狙えるだろう。


「キョーン!」

「お前に恨みは無いが、少し墜ちていて貰おう!」


俺は火の鳥の羽を狙い、矢を放った。

その矢はしっかりと火の鳥の羽を撃ち抜いた。


「キョーン!」


そして、火の鳥は下に落ちた。


「さて、一応聞いておくが、お前は何でここにいるんだ?」

「キョーン・・・」


まぁ、なんて言っているのかなんて分からないんだがな。

でも、今の俺は集中すれば動物の声を聞くことは出来る。

多分、これは花木達のように動物妖怪と仲良くしているから

人間達が俺は動物の声が聞えるんだ、と思った結果の能力だろう。

やっぱり便利な物だな、神様って言うのは。

俺は目を瞑り、火の鳥の声を聞いてみた。


「キョーン・・・(道に迷って、ここは何処だと思ってた)」

「きょうーん(そんな時に、あなた達が来たから敵だと思って)」

「キョーン(でも、神様って気が付かなかった、ごめんなさい)」


こんな感じかな、動物にも俺が神様だって分かるんだな。


「ふむ、道に迷ったのか、じゃあ、聞くが、お前は何処に行きたいんだ?」

「キョーン(この山の一番奥に私の住処がある筈なんだけど)」

「キョーン(でも、何処を探しても無いんです、だからずっと探していて)」

「あぁ、それはもしかしたらお前が結界に入ってきてしまったのかもな」

「キョーン(そうなんですか? どうすれば良いんでしょう?)」

「少しの間待っててくれ、そしたら復活すると思う、結界が広がってな」

「キョーン(分かりました、神様がそう言うのなら信じます)」

「あと、あまり鳴き声を出さないで欲しい、村人が不安に思ってるから」

「きょーん・・・(分かりました、静かにしています・・・)


ふむ、これでいいな、しかし、動物の声が聞えるってのは中々面白いかもしれない。


「よし、お前ら、とりあえずこいつは静かにしてくれるそうだ、これで依頼は終わりだな」

「まさか動物とも会話が出来るとはな、すごいな」

{私も動物の言葉なんて初めて聞きました、あまり人間と違いは無いんですね}

「そうだな、じゃあ、俺は戻るか」


そして、俺は茜の体から出て、元の場所に立った。

その後は村に戻り、この事を話、不安を解消させた。

そして、神社では花木と久里が縁側に座って待っていた。

相変わらず、この神社に良く来るな、ま、逆にこいつらがいないと何だか変な感じだしな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ