静かな朝と騒がしい昼
時音、賢子、水希、くるみの4人が四宮神社に泊まった次の日だ。
「・・・ケロは暇だよぉ、何かしようよぉ」
「・・・まぁ、そうだな、なんせ俺達の他に誰も起きてない早朝だからな」
賢子は結構早起きのようだ、普段俺と時音が起きている時間だ。
他の奴らはそこまで早起きじゃないんだがな。
「早起きしすぎでしょ、私達はあなたの相手はしないわよ」
「むぅ・・・」
「・・・はぁ、仕方ないな、じゃあ、普段茜にやらせてる事をやってくれ」
「何ケロ? ケロに任せろケロ!」
「あぁ、じゃあ、薪を割ってくれ」
「ケロケロ、やってやるケロ!」
賢子は元気になりやがった、多分、こいつは退屈が嫌いなんだろう。
その退屈を消せるならしんどかろうと気にしないとかだな。
「じゃあ、ここでやれ」
「分かったケロ!」
そして、賢子は最初の頃の茜の様に下手な薪割りを始めた。
うん、やっぱり最初はこうなるんだろうな、イーリアなら台もろごとたたっ切りそうだがな。
「け、ケロ・・・む、難しいケロ・・・」
「まぁ、茜もこんな感じだったし、無理も無いな」
「むぅ、ケロはまだ諦めないケロ!」
その後、何度も賢子は薪割りに挑んだが、結局は割れずに皆が起きてきた。
「何だかうるさいですね、何かあったんですか?」
「あぁ、茜か、いや、実はな、こいつが暇だって言うから薪割りを頼んだんだが」
「わ、割れないケロ!」
「こんなザマだ」
「あ、あはは、薪割りって難しいですもんね」
「ケロケロ! まだまだケロ-!」
その後も何度も何度も挑戦したが、結果は変わらず、一切割ることが出来なかった。
「はぁ、はぁ、も、もう無理ケロ・・・」
「あはは、変わるよ」
そして、茜が斧をもらい、薪割りを開始した、流石に何度もやってるだけはあってすんなりこなした。
「け、ケロがあんなにやっても出来なかったのに・・・ケロ~」
そして、ショックを受けた賢子はその場に座り、動かなくなった。
そんなにショックを受けることは無いと思うがな。
「はいはい、ショックを受けないの、ほら、立ちなさい」
「ケロ~・・・」
時音はショックを受けた賢子を引っ張って神社の中に入っていった。
そして、しばらくして全員が起きてきた。
朝飯を済ませ、もう帰るかな、という感じになった時だった。
「釣り! 釣りしたい!」
水希が何の脈絡も無く釣りをしたいと言い出した。
「な、なんで釣り? 何でそんな事を言い出したんだ?」
「朝ご飯に焼いた魚があったから!」
「うちも魚釣りしたい! 楽しそう!」
そして、水希からくるみに感染した、そして、その後はサラ、次に花木だ。
「・・・うるさいわね・・・」
「これは、やらないと落ち着かないだろうな」
「連れてってくれるの!」
「分かった、分かったって、じゃあ、ちょっと釣り竿を作ってくるから待ってろ」
「はーい!」
そして、俺は釣り竿を作るために奥の方に行った。
まぁ、どうせ行くなら川だろうし、リールは必要ないよな。
じゃあ、とりあえず釣り糸と竿だけの簡単な物で大丈夫だろう。
この程度ならあまり時間もかからないしな。
そして、少しだけ経ってようやく全員分の釣り竿が完成した。
「おーい、とりあえず作ったぞ」
「おぉ! 速いね!」
「まぁ、簡単な物だからな、とりあえず近くの川で良いだろ?」
「うん!」
そして、俺達は近場にある川に進んだ。
「うん、ここね、結構綺麗じゃないの」
近場の川は非常に綺麗だった、魚もよく泳いでいる。
「そうだろ、意外と綺麗だろ?」
「えぇ、そうね」
それにしても、今ここから下を見てみると、海が見えるな、ちょっと前まで無かったような気がするが
もしかして結界が前よりも広がったからか? それで報告が無かったのは山の裏だからか。
「海に釣りには行かないの?」
「残念ながらこの釣り竿は川用だ、海は無理だ」
「おぉ! すごい大きい湖です!」
「スゲー! あんな大きな湖があるんだ!」
「ケロがすんでる場所の湖よりも大きいケロ」
そうか、こいつらは海を見たことはないのか、だからこいつらは海を湖と言ってるんだな。
「あなた達、海を見たことないの?」
そして、それを疑問に思った睦月が声を掛けた。
「海って何?」
「海って言うのはあの大きな湖の事よ、しょっぱいのよね、不思議と」
「へぇ、そうなんだ、行ってみたいですね」
「残念だが、今日は川で釣るだけだ」
「うぅ、そうだね、仕方ないよ」
そして、俺達は川釣りを開始した。
「ケロケロ、折角だし皆で競争しよう!」
「はぁ?」
「面白そうだね!」
「うんうん!」
そして、やっぱり感染していった、これは静まりそうに無いな。
「仕方ないな、ただ、3人ずつだ、1人だと場所が分からなくなるかもしれないしな」
「確かにそうですね、じゃあ、私は圭介様と一緒に」
「それは面白くないわよ、ここはあなたは私と、水希は圭介と、とかの方が面白いわ」
「え、えぇ!?」
「分かった! 時音様の言うとおりにする!」
「そ、そんなぁ!?」
そして、メンバー分けはこうなった、まずは俺のメンバー俺、水希、くるみ。
時音のメンバーは、時音、茜、睦月だ。次は久里、花木、賢子。
次はサラ、四季、化け狸で、次は花木の傘下の兎3羽だ。
後は全部久里の傘下だな、これは結構騒がしいことになりそうだ。
「よし! じゃあ、釣りを始めよう!」
「おー・・・」
そして、俺達は全員で釣りの競争を始める事にした、この川は結構広いし問題は無い。
集合は四宮神社だ、それにしても、茜は結構寂しそうだったな。
大丈夫かな、俺も少し心配だがまぁ、時音と睦月が居るし、大丈夫だろう。
そして、それ以上にだな・・・
「やっほ-!」
「あはは!」
問題はこっちだな、問題児の2人が居るんだし・・・本当に、これは大変そうだ。




