文月山の権力者巡りの終わり
化け猫の元頭領の後を付いていき、俺達は化け猫の里の中心にある城に入った。
その城の中には大きめの刀に弓矢が飾ってあった、そして、大量のマタタビが保管してあった。
やっぱり猫なんだなと思った。
「ここが僕の昔の部屋ですにゃ、今度からはあなたの部屋になりますにゃ」
そう言うと、元頭領の化け猫は扉を開けた、その扉の先は可愛らしい人形に
可愛らしい帽子、可愛らしい服が飾ってあった、この子は可愛い物好きなのかもな。
「ニャー!! すみませんですにゃ! 片付けていませんでしたにゃぁ!」
元頭領の女の子は急いでその部屋を片付けようとした。
「まぁ、待て、この部屋はお前が使え」
「にゃ? でも、この部屋は化け猫の里を取り仕切る方のお部屋ですにゃ?」
「化け猫の里を取り仕切るのは引き続きお前がしてくれ」
「にゃ!?」
元頭領の女の子は驚いた表情を見せた。
「まぁ、俺が出した指示はちゃんと聞いてくれよ?」
「良いんですかにゃ?」
「あぁ、問題ない、人間を襲いさえしなければな、あぁ、あとお前の名前を教えてくれ」
「はいですにゃ、僕はチャイムと言いますにゃ」
チャイムか、何だか飼い猫みたいな名前だな。
いや、そうか、化け猫も化け犬と同じで元飼い猫だったりするのかもな。
だとしたらこの飼い猫みたいな名前も納得がいく。
「じゃあ、チャイム、引き続きこの場所を仕切ってくれ」
「了解ですにゃ!」
「あぁ、後、何かあったら四宮神社に来てくれ、そこで話を聞くから」
「四宮神社? 聞いたことがないですにゃ」
そういえば最近出てきたんだったな、この山はまぁ、四宮神社の場所を知らなくて当然か。
とりあえず、俺は紙をチャイムからもらい、簡単な地図を書いた。
「この人間達の里の奥にあるんですにゃ」
「あぁ、そうだ、分かったか?」
「わかりましたにゃ! では、何かあったらそこに行きますにゃ」
これでこの文月山の有力者に話は通せたな、これでようやく四宮神社に戻れる。
俺達はまずは山明神社に帰り、そこで別れの挨拶を済ませる事にした。
「それじゃあ、俺達はもう帰るな」
「帰っちゃうのか・・・あたい寂しいなぁ・・・」
「ケロ・・・また来てね」
「うちも待ってるよ!」
「私もです!」
「じゃあ、俺も待っておこうか、ちゃんとまた来いよ?」
「はい! またいつか絶対に来ますね!」
「水希ちゃん、ちゃんとご飯食べなさいよね」
俺達は別れの挨拶を済ませ、四宮神社に帰っていった。
その間もずっとあいつらは手を振ってくれていた。
そんなに遠くはないし、またいつか来ようか。
「圭介様、またいつか来ましょうね」
「あぁ、そうだな、またいつかな」
「そしたら、騒がしいことになりそうだけどね」
「そうでもないかもよ?」
そして、俺達は四宮神社にようやくたどり着いた。
その頃には日も落ちて、真っ暗になってしまっていた。
「何だか久々ですね、四宮神社」
「そんなに経ってないがな」
「茜的には結構経ってたんじゃないの?」
「はい、そうです、何日も四宮神社に帰らなかったなんて初めてですからね」
そんな会話をしながら、俺達は神社の階段を上っていった。
そして、四宮神社境内に到着して驚いた。
枯れ葉が散乱しているな、そういえばあの時にここを見たときもこんなんだったな。
あまりにも花木達の会話が衝撃だったから軽く忘れていたが。
まぁ、いつも掃除をしている茜が居ないんだ、荒れ果てるのは当然か。
「こ、これは酷いですね・・・」
「そうね、掃除くらいすれば良いのに・・・」
「留守番が花木と妖精2匹そして拘束されている妖怪だからな」
「四季ちゃんなら掃除しそうなんですけどね」
俺達はそんな風に軽く文句を言いながら神社の中に入った。
そこは外以上に悲惨な状態だった。
散乱しているゴミに食器がそのままの台所。
そして、大量の団子とか餅だ。
「これは酷いな・・・」
「ですね、これは眠れないかも」
あぁ、これは大変そうだ、これは、今日は眠れそうにないな・・・




