表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
少女期、山の妖怪達編、第3章、童達の悲しみ
45/251

山童の里

色々と大変な料理教室の後、俺達はこの山のお偉いさんに話を通しに行くことにした。

今度の目的地は山童の住処だ、その道中はかなり険しい山道だった。


「険しいな」

「山童は人間を拒絶するためにこんな険しい山道に住処を作ったそうです」

「そんなに人間を嫌ってるのか」

「はい」


そんな会話をしながら進んでいくと、広い場所に着いた。

そこは藁の家が沢山ある、小さな集落のような場所だった。


「ここです、ここが山童の里」

「あまり発展してないのね」

「はい、山童は私達天狗と同じで子どもの妖怪、なので発展はあまりしてません」

「その割には天狗の里は少しは発展してたわよ?」

「そうですね、でも、私が生まれたときにはもうあんな感じでしたよ」


恐らく、天狗達のルーツとされるある男ってのが発展させたんだろうな。

だとしたら、その男は大工かなんかだったんだろうな。


「この気配・・・人間か!」


その大きな声と同時に沢山の子どもの様な奴らが姿を現した。

さっきの話から推測すると、こいつらが山童だな、多分茜と水希に反応したんだろう。


「む、貴様は天狗の・・・何故ここに居る! 人間何か連れてきて! 私達と戦おうってのか!?」

「ち、違います、この人達はちょっと話をしに来ただけで」

「うるさい! 覚悟しろ!」


その声と同時に隊列を組んでいた山童達が一斉に飛びかかってきた。


「歓迎はされてないな」

「いや、ある意味歓迎じゃないか?」


そして、イーリアが俺達の前に立ち、山童を迎え撃った。


「言っておくが、殺すなよ?」

「安心しろ、それ位は分かってる!」


イーリアは沢山の山童達をなぎ払いながら戦った。

個の戦闘力は圧倒的にイーリアが上だが、数的には不利か。


「うぉぉ!!」

「しま! 抜けた!」


流石のイーリアもこの数を全部まとめて抑えることは出来ず、何人かこっちに来た。

どうやら目標は茜と水希のようだ、予想通り人間を倒しに来た感じだな。


「あわわ!」

「茜、とりあえず俺を降ろせ!」

「あ、はい!」

「てりゃ!」


茜は俺を降ろすために念じ始めた、この危機的状況がプラスに好転したのか

茜の集中力は瞬時に最大になり、すぐに降りることが出来た。


「おし、おら!」

「うわぁ!」


俺は茜の体で一気に襲ってきた山童を吹き飛ばした。

妖怪と悪霊に特効ってだけあって、吹き飛ばされた山童は動けなくなったようだ。

だが、死んでは居ない、ちょっと意識が飛んでいるだけだ、加減も出来るしな。


「俺達は話をしに来ただけだ、戦うつもりはない」

「うるさい! 人間の癖に! うわぁ!」


あぁ、そういえば今は俺は茜の体だな、だから人間か。

しかし、何でここまで人間を嫌っているんだ? よく分からん。


「はぁ、仕方ない、後悔すんなよ!」


俺は茜がいつも懐に入れているお札を取り出した。

普段なら大きな効果を発揮しないこのお札だが、俺が降りた状態なら話は別だ。


「そら!」


俺はそのお札を一斉に山童達の方に投げた、するとお札は若干高く飛び上がり弾けた。

その弾けた光は雨のように山童達を撃ち抜き、動きを封じた。


「うぐぅ・・・か、体が、動かない」

「動きを封じる札だしな、これで動かれたら困る」

「何だ、あの子かなり強いじゃないか・・・それにしても口調が変わったしあの神も居ない」

「ほへぇ、すごいなぁ、あたいは感激したよ茜ちゃん」


そういえば神降ろしは今までこいつらに話してなかったかな。

俺は茜の体から出て、元の場所に立った。


「ふぅ、終わった」

「あ、あの神様が出てきた」

「あの、圭介様、何です? この技は・・・」


茜はかなり不思議そうな顔をして、俺にこの技の説明を求めてきた。


「あぁ、これは動きを封じる技だ、何、ちょっとお札に力を混ぜただけさ」

「はぁ・・・」


最近、茜に降りている状態での動きのコツを覚えてきたしな、こんな荒技も出来るようになった。

神の力は便利な物で、上手く扱えば色んな事が出来る、ただ、茜に降りてないと暴走するんだよな。


「くぅ・・・に、人間めぇ!」


山童達は未だに抵抗の意思がある、動けなくなった体を必死に動かそうとしているのが分かる。


「おい、さっきも言ったが俺達は戦いに来たわけじゃ無い、ちょっと話をしに」

「うるさい! 人間の、人間の話なんて聞くもんか!」


ここまで嫌っているのか・・・何があったらここまで激しく嫌うんだか。


「一応言っておくが、俺は人間じゃない、これでも神なんだ」

「神だと? ぐぐぅ! だとしても! 人間に手を貸す奴なんて信じれない!」


これは聞く耳持たずって感じだな、これは困ったな。


「はぁ、なんでそんなに嫌ってるんだ?」

「に、人間は・・・私達を捨てた! 私が人間だった頃・・・私は親に捨てられたんだ!」

「なに?」

「ずっと、私はずっと待ってたのに、お父さんもお母さんも来なかった!」


山童・・・確か話では河を捨てた河童と言う話だが・・・違うのか?


「だから! 私達は人間は信じない! 人間なんか大っ嫌いだ!」

「そんな事が・・・」

「そうだ! だから幸せそうな奴も大っ嫌いだ! お前らは幸せなんだろ!?

 毎日食べるものにも困らないで、ずっと親と一緒に過ごしてきたんだろ!?」

「お? あたいは食べるものには毎日困ってたし、親なんか居なかったな」

「あ、私もです、圭介様が来てなかったら死んでたきがします」


そういえば、茜も水希も何だかんだで大変な日々を過ごしてたんだっけ

茜はボロボロの神社でギリギリの食料で生きてたし、水希はずっと1人で狩りとかして生きてたし。


「何だと!? じゃあ、お前達もお父さんとお母さんに捨てられて・・・」

「そうですね、私は親なんて顔も見たこともありません」

「あたいも、師匠くらいしか人間を見たことがなかったな」

「そうか、ごめん、私達と同じ境遇の子だったんだ・・・ごめん」


2人の話を聞くと、山童達は明らかに敵意が無くなっていった。

どうやら、似たような境遇の子には敵意を見せないようだな。


「じゃあ、話を聞いてくれるか?」

「うん、そこの2人が似たような境遇なら、私達が敵意を見せる理由はない」


そして、少し経ち動けるようになった山童達が俺達の話を聞いてくれることになった。

どうやら、山童達には長は居ないようで、全員と同時に話す事になった。

まぁ、ある意味で俺達に攻撃してきたのが良かったな、全員でかかってきたし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ