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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
幼少期、第1章、妖怪兎の災難
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初めての依頼

茜が畑を荒らす動物か、妖怪かの退治の依頼を進んで受けた。

仮に妖怪だとしても所詮は人の畑に侵入して荒らすだけの妖怪、茜でもなんとかなるだろう。


「圭介様!依頼受けました、その、知恵を貸してください!」

「いや、大丈夫だろ?」

「その、少し不安もありまして・・・」

「じゃあ何で依頼を受けたんだ?」

「受けたかったからです!」


・・・大丈夫かな、こいつ・・・まぁ、知恵くらいは貸してやるか。


「確か畑を荒らしてるんだよな?」

「はい、畑を動物か妖怪が荒らしてるんです」

「じゃあ、あれだ、罠を設置すれば良い」

「どんな罠ですか?」


俺は茜に罠の構造を軽く説明した。


基本的に罠というのは動物が来るであろう場所に設置する。

ジッとその罠を見てタイミングを見計らい引っ張り、確保する罠もあるがそれは小動物用だ

大きな動物だと入りきらない場合も多い。そこで俺が提案したのは猪用の罠だ。


「鉄格子ですか?」

「あぁ、大きめのな、そこに喰い物を置き、奥まで侵入したら檻が閉まる」


猪の罠なんて詳しいわけじゃないが、構造は奥まで動物が侵入した場合大きい動物だと

上にあるちょっと出てるところに動物の背が引っかかり、食ってる間に檻が閉まる。

もう一つは一日中その場におりタイミングを見計らい維持用の紐を放すと言う古典的な物だ

俺の能力に万里を見通す力もあるし、それと組み合わせれば距離があっても

タイミングを見計らい、紐を放すことも可能だ、その為動物が警戒をすることも少ないと予想した。

正直前者よりも後者の方が確実性は高い、大きな動物でも小さな動物でも対応できるからな。


「2つ目の奴が大変そうですね」

「だがそっちの方が確実だぞ?」

「う~ん、分かりました、やってみますね」


そう言うと茜は里まで下り、道具を集めてきた、俺も移動は出来るようだが。

人間にはその姿は見えないようだ。

とりあえず俺はその道具を使い、簡素な檻を作って、目的の場所に檻を置いた。

本当は茜にやらすつもりだったが、こいつは知識もなく、力もないため全部俺がした。


「これで大丈夫ですかね?」

「大丈夫だろ、あと紐はお前が持てよ?」

「分かってますよ、それ位はします、全部任せるわけにはいきませんし」

「よし」


そうして、俺達はしばらくの間その場に待機した。

長いこと精神を集中させるのは厳しい為、ある程度暗くなってから力を発動させた。


「・・・」

「まだかなぁ」


俺の視点は檻の近くにある、中身の餌が食われた痕跡はない。

1時間、2時間と刻々と時間が過ぎたが犯人は姿を現していない。


「・・・」

「うぅ、腕が疲れてきた・・・」


そして、3時間が経過した頃、近場の林がガサガサと揺れて、1匹の動物が姿を現した。

その動物は檻の方へ近付き、中に侵入した。


「茜、今だ、放せ」

「は、はい!」

「どうだ!?」


俺達は檻の方に近付いた。そこにはかなりの大きさの兎が捕まっていた。


「う、兎ですか?」

「にしては随分大きいよな」


兎は俺達に気付き、逃げだそうとするも柵の中で逃げれず、柵に何度も体をぶつけた。


「柵が倒れそうなんですけど」

「まぁ、とりあえず報告に行くか」

「分かりました」


俺達は後日、依頼をした人物の家に行き、荒らしていた動物を捕獲したと報告した。

まぁ、したのは茜だが、俺の姿は見えないしな。

その後、依頼の人物に兎をどうするかと聞いたようだが

そっちで処理して欲しいと言われたそうだ。


「どうしましょう、この大きな兎」

「そうだな、兎鍋にでもして食うか?」


兎はその会話が聞こえたのかさっきよりも一段と大暴れを始めた。

まさか、俺の言葉が聞こえるとはな、動物には見えてるのか?


「思いっきり嫌がってますね」

「そりゃあ、自分を食おうって会話を聞いて嫌がらない奴なんて居ないだろ」

「ていうかこの兎さん、圭介様の事見えてるんですね」

「動物はすごいな、人間は茜以外、俺の事見えてないのによ」

「私は巫女ですから、神様が見えるのは当然です」

「そうか」


そんな会話の最中でも兎は檻の中を盛大に暴れ回ってる、檻は特に曲がったりはしてないが。


「どうしましょう」

「どうするか」


俺達がこの兎の処理をどうするか考えていたらどこからか声が聞こえてきた。


「なんだ?」

「やめて!食べないで~!まだ死にたくない~!」

「もしかして、兎か?」

「た、多分・・・」


俺達が兎の方を向くと、兎はさっきまで暴れていた筈なのに妙に大人しくなっていた。


「あばば、こんなことになるなら畑なんて荒らすんじゃなかった~!」


普通は会話なんてしようとは思わないが、この世界なら動物が喋っても不思議じゃない。

そんな感じに思っていたから話しかけてみた。


「おい、お前、なんで畑を荒らしたんだ?」

「だって、折角妖怪になったんだし、悪いことしたいなぁって思って」

「へぇ~、妖怪なんだ、だからこんなに大きいんだね」


茜は妖怪だと聞いてこのサイズであると納得したようだ。

しかし、妖怪は大きくなるもんなんだな。


「つうか、畑を荒らした理由はそれだけか?食いもんが無かったとかじゃなくて?」

「うん、食べ物は沢山あるし、仲間が集めてきてくれるから」

「よし、兎鍋にするか」

「賛成です」

「あ~!!やめて!もうしない!もうしなからさぁ~~!!」


妖怪兎は必死に抵抗した。普通ならこんな奴はほっとかないが

その、喋る兎を食うのはちょっと抵抗もあった。


「はぁ、分かった、もう悪さしないな?」

「しない!約束する!」

「じゃあ、今度悪さしたら本当に食うからな?」

「分かった!分かったよ~!」


妖怪兎も納得したようだ。もう悪さをしないというのなら殺す必要も無い。

もし今度悪さをしたら仕留めれば良いだけだからな。


「茜、開けてやれ」

「はい」

「あ~!!ありがとう!」

「もう悪さしたら駄目だからね?」

「分かってるよ・・・もう悪さはしないよ」


妖怪兎は山の中に帰って行った。

しかし、動物と話したには初めてだが、あれだな、動物の言葉が聞こえるってのは不便だな。

そんな能力が無くって良かったと心の底から思った。

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