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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第12章、協力体制
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里へ

茜と智恵の間に晴れて義理姉妹の関係が生まれたか。

とりあえずは祝っておいた方が良いのだろう。


「よかったなぁ、ほな、うちらも行こか」

「あぁ、そう言えば里に案内しろとか言ってたな」

「下見は大事やで、1番デカい里やしな!」


あの里は確かに結界内では1番大きい里だ。

色々な里の人間があの里に集まるほどだからな。

しかし、そろそろ里も増えてきたし、名称を考えた方が良いと思えてきた。

このままだと色々と呼びにくいからな…どんな名前にするか…

いや、俺が考えてもあまり意味は無いのか。里の人達次第だな。


「里に行くなら、性別変えないと不味いな…面倒だし誰か代わりに」

「一応、私も有名人だからね。山明神社も人気出て来てるし」

「私もですね、礼奏神社もそれなりに大きいので」

「あたしはまだ大丈夫だけど、そこまで詳しくないんだよね」

「となると、姿を変えることが出来るらしい圭介はんが適役やな」

「……そうみたいだな」


俺以外は姿を変えることが出来ないみたいだしな。

俺は性別を変える事で姿を変えることが出来るが

時音達は性別を変える事が出来ないから容姿を変えられない。

体格は自在みたいだが、顔は変えられないみたいだし。

そこら辺は進行の形とかそう言うの何だろう。


「っと、じゃ、行くか」

「すぐに変えられるんやな、ちょっと光っただで」

「そりゃまぁ…変化を長々する意味も無いし」

「ま、ええわ、ほな色々と教えて貰うで」

「あぁ、任せてくれ」


俺達はそのまま四宮神社を後に里にまで下りた。

茜も一緒に行きたそうにしていたが、この姿で茜と一緒に居るのは

出来れば見られたくは無い。正体がバレると変装が出来なくなるからな。

まぁ、既に茜と何度か一緒に姿を見せてたりするんだけど。


「しっかし、べっぴんさんやなぁ、間違いなく目立つで」

「前も目立って苦労したんだよな…だから、髪の毛を伸ばして顔を見えにくくした。

 服もそこまで目立たない地味な装いだし」


藍色の着物だ。これならあまり目立たないだろう。


「ま、うちの服装は目立ちそうやけどな」


明るめの紫色の衣服。一般人と同じ和装だな。

時音は剣道の胴着に近い服装だけど、やっぱり何か違いがあるのだろう。

やはり商人だし、親しみやすさを第一に考えた服装なのかも知れない。

胴着よりも、自分達が着ている和服の方が馴染みやすいしな。

そう言えば、時雨は武家の娘みたいな高貴な服装だっけ。

時江は町娘って感じで、黄色く前掛けを着てた。

何だか音時花と変装中の俺の服装に似ている。

最初の服装とか、俺の場合滅茶苦茶派手だったけどな。

男の姿は時音よりで胴着だけど…昔はTシャツだったなぁ。

今でもたまに休みとか姿を見せるつもりが無い日はTシャツだけど。


「しかしまぁ、整備された道やなぁ」

「一応、1番力がある神社の参拝道だからな。

 整備はしっかりしてるよ」

「神社はそこまで大きくなかった様に思えるで?」

「場所が悪い」

「ま、ここが1番神聖な土地やったみたいやし、仕方ないんやけどな」

「へぇ、あそこは1番神聖な土地なのか」

「そうやで。それ以外に四宮神社があないな場所に理由はないやろ。

 最も高い山というわけでも無く、土地が広いわけでも無い。

 そうなれば、最も神聖な土地や力がある土地としか考えられへんで」


それもそうだな、山としての大きさは文月山よりも小さめだし。

土地が広いというわけでも無いからな。

そうなるとそう言う、神聖な土地とかの可能性しか無いわけか。


「なる程な、そこら辺詳しくないからよく分からんし」

「ま、圭介はん、大分妙な境遇みたいやししゃーない」


人間から神様に転生したという妙な状態だからな。

しかも、神様から何かしらを貰って転生とかじゃ無くて

神様その物になって、しかも転生した理由は恐らく神様とかじゃ無く

茜の願いの力かも知れないと言う状況…中々に奇妙な状態である事に変わりない。

そもそも転生とか、そう言う地点で相当奇妙な状態だと思うけどな。


「しかし、そうなると案外神様ってどうでもええとか思えへん?」

「ん? どう言うことだ?」

「言い方を変えるわ。意外と人と大差ないって思わへん?」

「……それは確かに」


確かに妙な感覚とかはあるが、根本は人と大差ない気がする。

のんびりと好きな事をして生きているって感じだ。


「神と人の違いは案外力があるかないか程度や。

 これは当然と言えば当然な話でな。

 そもそも神は人の願いや憧れから生まれるんやから

 その根本は他でも無い。人間や。


 ただ力を持ち、確固たる自分の自由に近い物を手にしとるだけ。

 ま、実際は強要された自由ではあるんやが、そんな風には思えんで。

 うちらはその生業を楽しい事として感じる様に生まれてきとる。


 うちなら商売や。商売をする事を楽しむために生まれてきたのがうちや。

 時江はんは料理や。料理を楽しむ為に生まれてきとる。

 時音はんは統率。時雨はんは知識を得ることを楽しむために生まれた。

 うちらは生まれたときから楽しむべき物を強要されてるんや」


「そんなの…」

「辛いと思うか? 自分で楽しみを選択できる圭介半から見れば?

 でも、辛くないんやで。確実に楽しめる物が分かっとって

 その楽しめる物を何処までも楽しめる。こんな最高なことは無いで!

 探す必要が無い、飽きることも無い最高の楽しみ。

 それを生まれたときから知っとるっちゅうんは幸せやで!」


こちらに向けて笑顔でウィンクを見せてくれた。

その表情は心底楽しそうな物に見えた。

相手を少しからかうようなその表情は商業の神として必要な表情なのだろうか?


しかし、一生を楽しめるだけの事を生まれたときから知っている。

最高の趣味を探す必要も無く。最高の趣味を知っている。

最高の趣味なんて必死に探さないと見付からない。

何事にも挑戦して、その上で見付けるしか無い。

でも、神はその最高の趣味や仕事みたいな物を

生まれたときから既に知っていると。

その最高の物を常に一生楽しめると。

……確かに、それはそれで幸せかも知れない。


「そうか…確かにそうかもな。でもその場合、俺は何になるのかな」

「交流やないか? 利害関係も無い交流。

 もしくは全てか。何でも出来る全能の神なんやからな。

 前者だった場合でも後者だった場合でも悪くないやろ?」


手を頭の後ろに回し、ニコニコと笑いながら少しからかうように喋る。

ハッキリと相手に自分の意見を言いながら押し付けと言う感じでも無く

ちょっとした笑い話のように話してくれた。


「…そうだな、確かに一生掛けても全部を楽しめそうに無いな」

「それがええんやで。やりたいことが沢山あるっちゅうんは幸福や。

 お、里が見えて来たっぽいなぁ。ほんなら、案内よろしく」

「あぁ、分かったよ」


一生を楽しめる趣味…果たして見付ける事が出来るか…楽しみだ。

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