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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第12章、協力体制
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応否

唐突な言葉、まさか茜を姉と慕いたいという。

茜は姉という立場ではない。

むしろ、妹という立場だ。

睦月も姉と慕い、葵も姉、藜も姉みたいな物だ。

刀子との関係も、姉妹で例えれば妹の立場となるだろう。

そんな茜が唐突に姉と慕いたいと言われ困惑するのは当然と言える。


「え、えっと…その…ま、待ってください。

 ひ、ひとまずは経緯とか、お名前とか…」

「はい! 恵比寿 智恵と言います!

 え、えっと、え、恵比寿神社のみ、巫女をしてまして…

 そ、その! 私、凄く後ろ向きで、会話も苦手なんです。

 で、ですので、そこのお2人を仲直りさせてあげてる姿を見て

 私もこんな風になりたいなって思いまして、だから

 お姉様と呼んでも良いでしょうか? 師と仰ぐ場合はその方が良いと」

「え? い、いや、私は普通に師匠の事は師匠って呼んでますけど……あはは」


少しの間の後、ちょっとバツが悪そうに頬を指でなぞりながら笑った。

あれは、自分の昔を思い出したと言うことなんだろう。

きっと、睦月の事を姉と呼んでいた時期の事だろうな。

それと、前は葵にお姉様と呼ぶように言われたとか。

藜も葵の事はお姉様と呼んでいるし、そう言うのが普通なのかも知れない。


「お願いします! お姉様と呼ばせてください!」

「えぇ!? い、いや、そ、そう言うのは! そ、それに私達

 お互いを知りませんよ!? 私なんて名前すら名乗ってないんですし。

 あ、申し遅れました、私は四宮 茜です、よろしくお願いしますね、智恵さん」

「よ、呼び捨てで構いません!」

「い、いえ、流石に…初対面でいきなり呼び捨ては」

「お願いします!」

「うぇえ!?」


智恵は茜に対し、必死に頭を下げている。

このまま土下座とかをしてもおかしくないレベルだ。


「音時花、止めないのか?」

「ああなったら、うちにも止めることは出来まへん

 あの子は1度決めたら曲がる子やないからなぁ。

 商人として重要な素質ではあるんやが

 如何せん、後ろ向きで会話が苦手や。

 人と関わること以外は大体出来るんやけど

 商人の命と言える人とのやり取りが苦手なのは致命的やで」

「矯正しようとはしなかったのか?」

「した、でもそう簡単に変るもんやない。

 結局、人と関わるというんは相手が大事やからな。

 自分自身と他人。本気で慕える家族以外の相手が大事や」

「あなたは彼女の家族、という立場って事で良いのね?」

「そう言う事や、うちは智恵の事は娘と思って接しとるで」


大体の神は巫女との接し方は家族なんだろうな。


「私もそうね、親と言うよりはあの子達の事は妹と感じてきてるけど」

「手の掛る妹ってか? まぁ、お前の話を聞いてたらそれは分かる」

「たまに照れるのは妹って感じがするわよね。

 姉妹は大体お互いの事を意識してるからお礼を言いにくい。

 でも、感謝は伝えたいって感じで小さくお礼を言う。

 完全に妹って感じよ。私はそんな水希の事、かなり好きよ」


娘に近いんだけど、そっちよりは妹って感じなのか。

ま、母親よりは姉の方が年齢的に若そうでもあるしな。


「ほぅ、色々な形があるんやな。

 さて、問題はあの子が茜はんと仲良う出来るかやな」

「確かに、現状茜は1歩引いてる感じになってるからな。

 いきなりあんなことを言われたら仕方ないけど」

「悪気は無いんや、会話が苦手なだけで…」

「致命的ですよね、やっぱりそう言うの」

「そうや、商人としては致命的や」


前置き無く本題に入るのは、相手に困惑を与えるからな。

そもそも説明されてないのにどう言うこと? ってなる。

説明されてないのに、なんでこれやってないんだ? とか言われても無理だし。


「うむ、茜殿が姉上の様だというのは確かに分かるのじゃ。

 いつもキキ達の事を気に掛けてくれるし、料理は美味しい。

 怪我をしても、すぐに駆けつけてくれる」

「それでお説教をする事も殆ど無いからなぁ。

 母親では無く、姉というのはわっちも分かる」

「もぅ、恥ずかしいなぁ、照れちゃうよ」


2人の言葉に茜はご満悦の様子だった。

顔を少し赤くして、両手で頬を押さえ嬉しそうに笑ってる。


「しかしじゃ、突然の来客にこんな事を言うのは何じゃが

 茜殿を姉とお主が慕うことは認めぬ!

 茜殿はどちらかと言えば妹の方じゃ!」

「え!? そうなんですか!?」

「姉が3人居るからな、茜様は」

「最近じゃと4人じゃな、ご主人を入れて」

「たまに女になるけど、圭介様は違うだろ。

 どっちかというと、父親って感じだし」

「しかし、たまに女子になるときは姉みたいな感じじゃろ?」

「そうかな? 変らないと思うけど」


これはキャンの意見が正解なんだよなぁ。

俺は性別変えても接し方は一切変えてないから。

そもそも、性別を変えるのは仕方なくが多いんだから

別に性別を変える事を楽しんではいない。

なら、姉のように茜に接する筈が無い。


「で、では、どうすれば認めて貰えますか!?」

「む? いや…それはやはり茜殿に…」

「わ、私は…その、お、お姉様って呼ばれても気にしませんよ?

 呼び方は人それぞれで良いですし…」

「本当ですか!? ではよろしくお願いします! お姉様!」

「よろしくお願いしますね、智恵さん」

「よ、呼び捨てで…私なんかに敬語などは…」

「うぅ…」

「そ、それに、私の方が年下だと思いますし」

「そ、そうかな…? でも、分かったよ」

「ありがとうございます!」


茜が敬語で喋らない相手、最近少しずつ増えてきてる気がする。

キキ、キャン、サラ、四季、水希、で、今回から智恵か。

交流が広いと言うのに、この人数のみと言うのは貴重という事なんだろうな。

その貴重な中にすんなり入ったのは凄いんじゃねーの?


「案外あっさりで安心したで」

「あぁ、もう少し揉めるかと思ったが。

 …茜も、少しは成長してるって事なのかな」


前までなら中々曲げなかっただろうからな。

これも1つの成長の形なんだろうな。

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