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神様に転生したので、スローライフを満喫します  作者: オリオン
青年期、第12章、協力体制
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早すぎる来客

時間は結構すんなり過ぎた。

祭は今まで通り盛況で、さほど大きな差も無い。

どん底の神社は今は絶頂期を迎えていると言っても過言では無いだろう。

そんな神社の信仰が回復していくのは非常に早かったのも言うまでも無い。

時江の合流から殆どの時間が経っていないというのに

最後の神社、恵比寿神社が結界内に入ったとしても不思議では無かった。


「っと、ははん、ここが四宮神社やな」

「どうも、恵比寿の神、恵比寿えびす 音時花おとは

「おぉ、これはこれは、お会いできて光栄です、四宮の神。

 しかし失礼ながら、うちはそちらさんのお名前を知りまへん。

 自分と巫女と信者を守ることで手一杯でしてね。

 あ、旧名なら知っとりますよ、四宮しぐう 時那ときなはんやっけ」


四宮 時那、それが俺がこっちに来る前の四宮の神。


「へぇ、覚えてるんですね」

「久し振りやな時雨、元気やったか?」

「私の事も覚えてると?」

「まぁな、叡智の神でも神の名までは完全に覚えらんかったか?」

「いえ、覚えてましたよ…前四宮の神の名前以外は」


音時花の名前も時江の名前も時雨が教えてくれたからな。

しかしだ、四宮の神の名前だけは教えてはくれなかった。

と言うか、知らない様子だった。

俺の名前を聞いて、すぐにその名前を出さなかったからな。


「ま、せやろうな、うちはその性質上名を忘れることはありえんからなぁ

 商売を司る以上、商売相手の名前を忘れるのは致命的やで。

 せやから、うちの記憶力は他の神々の中でもぶっちぎりや」


商売をする以上、相手の名前を忘れてはいけないのは間違いないだろう。

相手の癖とか好きなものとか、そう言うのを把握して

好きな商品を揃え、より高くその商品を売る。

商売人として、これは基本スキルと言えるだろう。

これが出来ないんじゃ、商売は出来ないからな。


「ま、それでも時那はんには敵わんかったが。

 主神、うちらを管理する神やからな。

 ただの商売人でしか無いうちよりも記憶力が高いのは当然やな」

「私は全く記憶が無いけどね」

「時音はんも久し振りやな」

「私は覚えてないわよ、あなたの事」

「せやろうな、あんま交流無かったからなぁ」

「あなたは交流が無い神の名前も覚えていると?」

「勿論や、全ての神々の名は覚えとったで。

 商売相手であり好敵手でもある訳やからな。

 商売人ってのは野心家が多いんやで」


それは分かるな、のし上がろうとしないと商人はやっていけないだろう。

野心の無い商人は結局稼ぐことも出来ないだろうからな。


「でもまぁ、時江が登場して僅か数ヶ月でもう最後の神も登場というのは中々」

「ハイペースですね、相当」


こちらとしては嬉しい限りではあるがな。

短期間で神々がこれだけ揃うというのは楽でいいもんだ。

しかしまぁ、問題は色々とあるわけだけど。

だが、その問題を考えるのはまだ早いだろう。

恐らくまだ時間はあるからな。


「まぁ、うちも無事合流出来て満足やで。

 それじゃぁ、うちは早速商売を始めさせて貰います」

「あぁ、分かったよ」

「よーし、そうと決れば早速情報収集やな!

 圭介はん、早速で悪いんやけど、うちと里に出てくれまへんか?」

「なんでだよ」

「色々と知りたい情報があるんなで、商人は情報が命やし。

 あ、でもその前にうちの巫女も紹介しときましょう、ちょっとお待ちを」


彼女は再び姿を消し、すぐにまた姿を見せた。

茜よりも少し年下くらいの少女が彼女の隣には居た。


「ほれ、うちの巫女や、自己紹介頼むで」

「はい、こんにちは、恵比寿神社の巫女をしております。

 恵比寿えびす 智恵ともえと申します」

「智恵はうちの巫女なんやけど、商売が苦手でなぁ、今は絶賛修行中や」

「はい、音時花様の巫女でありながらお恥ずかしい限りです」


黒く腰まで伸びている長い髪の毛。

瞳は薄らと白く、どうも幸薄い雰囲気を醸し出している。

巫女装束も至ってシンプルであり、上は真っ白で下は真っ赤。

紅白であると言う事は変わりないが、かなり極端に分かれているな。


「まぁ、見た感じ商人って雰囲気では無いわね」

「申し訳ありません、申し訳ありません…」

「おまけにかなり後ろ向きでな、少し困っとるんや」

「神が明るいと大変ね」

「明るさは商人には大事な要素やで、下手すれば記憶よりも。

 常に明るい笑顔で、お客様の心を照らすのも大事な事やで!」


実際、取引ではかなり重要な部分ではあるからな。

暗い表情の奴が来ても取引は上手く行かない。

相手に心を開いていないと思われやすいからな。

で、その印象が全てだと思う。

相手の事を知らないのだから、相手は印象で判断するしか無いからな。

言葉は基本、いくらでも脚色できるからな。

とは言え、印象の方が実は脚色しやすいけど。

なにぶん、仕事をしている時の人間は既に自分を脚色してる。

ありのままの自分で生きてる人間が、社会でやっていけるはずがない。

ありのままでいいのよ、と言う奴は基本無責任とも言えるのかな。


「ほな智恵、ここでしばらく待っておいてくれへんか?」

「え? で、でも音時花様…」

「大丈夫や、同い年くらいの巫女もおるやろ?」

「まぁ、うちの巫女が居るからな」

「でも、知らない人相手は…」

「多分大丈夫だと思うぞ? 会ってみれば分かると思う。

 茜って言うんだけど、巫女服着てるからすぐ分かると思う。

 神社の中にいると思うから探してくるといい」

「は、はいぃ…」


少し不安そうにしながら、彼女は神社の方へ歩いて行く。


「待て! この!」

「ひ!」


しかし、神社へ向ってる最中に叫び声が聞える。

智恵はその叫び声に反応し硬直する。


「いや馬鹿犬よ! 普段はキキが悪い事は多いのは認めるが!

 今回は間違いなくお主が原因じゃぞ!?」

「わっちの何処に原因があるって言うんだよ!」

「キキの方に羊羹を寄せたから!」

「寄せただけだろうが!」

「キキが羊羹を食べ終わった時に寄せられては!

 自分のを食べろと渡したと誤認しても不思議無いじゃろうが!」

「渡して無い!」

「ならば嫌がらせで寄せたというのか!?」

「偶然だっての!」

「あ、あわ、あ、あわわ…」


キキとキャンの大げんかを前に、智恵は完全に固まっていた。

そんな中、神社の奥から足音が聞えてくる。


「ほら、喧嘩しないで2人とも」


足音の正体は茜だった、茜の手元には別の羊羹。


「あ、茜殿!」

「す、済みません…ご足労をおかけして」

「いいよ、それよりも、はいどうぞ」

「あ、ありがとうございます」


2人は茜に差し出された羊羹を見て尻尾を振り喜んだ。

2人はすぐに羊羹に手を伸ばし、半分を口に含む。


「う、美味いぃ…この甘くとろける様な上品な甘みは美味しいなぁ。

 それに、これは栗羊羹ですね」

「キキの方は芋羊羹じゃ、口に入れた瞬間、口全体に広がる

 強めの若干攻撃的な甘み、中々癖になりそうじゃぁ」

「うん、これは昨日2人が作った羊羹だよ」

「え!? じゃあ、この栗羊羹は!」

「こ、この芋羊羹は…」

「狐が作った羊羹!?」

「馬鹿犬が作った羊羹!?」


わぉ、綺麗にハモった…やっぱりあの2人は仲が良いと分かる瞬間でもある。


「そうだよ」

「……で、では」

「う、うん…」


2人が少し考えた後、残り1つの羊羹を串に刺しお互いの口に運ぶ。


「……あむ」


2人とも同時に運ばれた羊羹を口の中に入れる。

両手を使ってる訳では無いから、差し出された物を受け取り

自分で口の中に入れればいいのに、2人ともそのまま食べた。


「ふ、ふん、お主の羊羹も中々美味いではないか、褒めてやるのじゃ」

「お、お前も少しは出来るみたいだな、少しだけ、み、認めてやる」

「もぅ、素直じゃ無いなぁ」


2人の喧嘩をあっさりと仲裁し、仲直りさせ

お互いに照れてる2人を楽しそうに見ている茜はまさにお姉さんだった。

そんな茜の姿は、自分に自信を持てない智恵には輝いて見えたのだろう。


「あ、あの!」

「あ、お客さんですね、新しい巫女、待っててくださいね、すぐにお茶を」

「お、お姉様と呼ばせてください!」

「……ほへ?」


急すぎる言葉に、流石の茜も目を点にして気の抜けた返事を返すことしか出来なかった。

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