ペットを探そう!
四季の性格はサラと比べるとかなり大人しい物だった。
しかし、まさかこの2人?が姉妹だったとは驚きだ。
まぁ、そんな事実は今更良いか。
今日はその日から1週間ほど経った。
住む場所が無いと言うことで、俺は仕方なくあの2人を神社に置くことにした。
妖精の割には色々な物を食う、特にサラは同類の植物まで食べるしな。
彼女曰く、植物は誰かに食べて貰うためにと種を残すために生きている。
誰かに食べられたときに美味しいと思って欲しいしね、と言っていた。
植物にも意思があり、食べて欲しいと思っているのは意外だったな。
そういえば、今日は茜に買い物を任せてたんだ、まぁ、大丈夫か。
「わぁ、可愛い!私もペットが飼いたいなぁ」
「圭介に聞いてみたら?」
「そうだね!」
しばらくして、茜が帰ってきた、ドタドタと足音を立て、こっちに来てるのが分かった。
普段神社では走らない茜が走ってくるとはな、何か良いことでもあったのか?
「圭介様!」
「何だ?」
「ペットが飼いたいです!」
帰ってきてから第一声がそれか、そういえば最近は村でペットはブームだったな。
もしかして、それに影響されたのか?
「ペットか~、良いよね~」
今日はお店が定休日だと言うことで花木とその傘下の兎たちも朝から神社にいる。
何か、休みの日の憩いの場って感じになってるな、家の神社。
「ペットならもういるだろ?」
「へ?」
「ん~、ここってペットなんていたかな~」
「大きいのが6匹ほどいるじゃないか」
「・・・いましたっけ?」
「大きいなら目立つよね~」
「ほら、兎のペット3羽に妖精が3匹と狸が1匹ほど」
「兎~?もしかして私達の事~?」
「そうだ」
こいつらは毎日のように来てるし、世話もしてるし、妖精に至ってはもう家に住んでるし
完全にペットだ。
「私達はペットだったの~!?」
「ほぼな」
「そういえばそうですね、毎日来てますし、お世話もしてますしね」
「酷い!」
「あぁ、何かその台詞久々に聞いたわ」
最近は花木をいじったりしてなかったから、酷い!なんて花木に言われたのは久々だ。
「私達も圭介様のペットだったんですね!やった---!!」
「あ、あぁ、そうだな」
花木の傘下達は俺達のペットだと聞いて、何故か嬉しそうにしていた。
「何であなた達は嬉しそうなの~?」
「だって、考えてみてくださいよ!花木様!私達も圭介様の家族って認めて貰ってるんですよ!」
「あぁ、そう言う考えもあるんだね~」
この3羽は前向きな考えをする奴らだな、まぁ、そうだけどな。
ペットも家族だ、そもそも、家族と認めてないと世話なんてしない。
「圭介様、珍しいですね、あなたが花木さんに優しくするのは」
「普段優しくしてない見たいな言い方だな」
「してないじゃんか~」
「いや、結構優しくしてるじゃないか、そもそも、優しくしてなかったら追い出してる」
「あぁ、そうだね~」
まぁ、こいつとは長い付き合いだ、今更追い出すなんてしないがな。
「うーん、でも、人の形をしているのにペットってのはなんとも言えませんよね・・・」
「まぁ、そうだな」
「私も犬とかのペットが欲しいです・・・」
「・・・分かった、少し待ってろ」
「もしかして!」
「あぁ、ちょっと探してくる」
「はい!」
そして、俺は神社からとりあえず出て、ペット探しを始めた。
しかし、ペットを探すと言っても、意外と難しいんだよな・・・
そもそも、今は犬、猫は珍しい、なんたってちょっと前まではいなかったんだしな。
確か、結界が広がって、少しだけ入ってきた程度、もうそんなにいないだろう・・・
だけど、茜に期待させた以上、帰ってやっぱ駄目でしたなんて言えないしな・・・
俺はしばらくどうするか考えた、そして、1つの妙案を思いつき、それを実行してみた。
そして、神社に戻った。
「今戻ったぞ」
「圭介様!犬!犬はいましたか!?」
「いなかった」
「そんなぁ・・・」
「そうがっかりすんな、代わりに、狼連れてきたし」
「狼?」
狼も犬科だし、問題ないだろう、しかし、躾けるのは苦労したぜ。
まぁ、小さいし、躾けも完璧だ、何の問題も無いだろう。
「ほれ」
「ワゥ」
「狼なんですか?この子、その割には大人しいんですけど・・・」
「しっかり躾けたからな、下手に何かに噛みついたりはしない」
「ちょ、ちょっと、撫でてみます」ス
「クーン、クーン」
「か、可愛い!」
「凄いわね、完全に犬じゃない」
ふむ、ちゃんと大人しいな、いやぁ、神様ってのは凄いもんだ。
少しキツかったが、ここまで躾けられるとはな。
「あわわわ、狼、狼だぁ~」
何か、花木達は神社の奥でガクガクしてる。
そうか、兎だからな、肉食の狼は天敵なのか。
「あと、ついでに近くにいた狐も連れてきた、ちゃんと躾けてるぞ」
「こ、この子も撫でて良いですか?」
「あぁ、大丈夫だろう」
「じゃ、じゃあ」
「きゅぅ・・・」
狐は嬉しそうに目を瞑り、気持ちよさそうに鳴いていた。
いやぁ、狐の鳴き声はコンコンとかじゃないんだな、いや、撫でられたときだけか?
それとも、この子もまだ子どもだからか?まぁ、良いか。
「ひぃ~~~、今度は狐だ~~~!!!」
花木達は狐にもビビっていた。
ふむ、狐と狼を連れてきたのは失敗だったか・・・
いや、まぁ、狐も狼も花木達に噛みつきはしないだろうがな。
「あはは、可愛いですね!狐なのにコンコンって鳴かないんだ!へぇ~知りませんでした!」
「俺も知らなかったな」
「私も知らなかったわ、狐を飼おうなんて思わなかったし」
「俺も撫でてみるか」
「きゅぅ・・・」
「クゥーン」
2匹とも気持ちよさそうにしてくれた。
うん、可愛いな、やっぱ動物は癒やされる・・・
まぁ、癒やされずにガクガクしてる奴は居るがな。
それから、次の日、花木達はビビりながらでも神社に来た。
「おいおい、あんなにビビってたのに、それでも来るんだな」
「神社に来るのは私達の日課だからね~」
「ワン!」
「ひぃ~~~!!!」
「食べないでーー!!」
花木も傘下の兎も同時に頭を抱えてしゃがみ込んだ。
それを見た狼はその4人の頬をペロペロとなめてみた。
「きゃーー!!食べないでーーー!お願いだからーー!!」
「よっと、食べないよ、ちゃんと躾けてる」
俺は狼を抱き上げて、花木達から離した。
その間、狼は俺の腕をペロペロとなめていた。
「うぅ・・・狼や狐は怖いよ~、何度か追いかけられたもん・・・」
「それはお前が兎状態だったからだろ?まぁ、こいつは兎を追わないだろうけどな」
「どうして~」
「狩りの仕方を知らないからだ、狐の方もな」
「へ?」
「この子達は親がいない・・・死んでた、大きな爪か何かに引掻かれてな」
「へ?」
「熊とかじゃない、それ以上に凶悪な奴だろう」
熊の引っ掻き傷にしては大きすぎた、爪の傷跡も1つしか無かった。
刀の可能性が無いわけじゃないが、狼を仕留めて、何もしないなんてあり得ない
そもそも、ただの人間が狼を一撃で斬り殺せるとは思えないしな・・・
「うーん、かわいそうな子なんだね~」
「そうだ、だからまぁ、お前らが食いもんだと知らない」
「わ、私達は食べ物じゃないよ~」
「知ってるよ、少なくとも人の形をしてる奴を食うわけ無い」
「それって、兎の状態だったら食べるの~?」
「初めて会ったときに兎鍋にしようと言っただろ?」
「そういえばそうでした、食べないで~」
「食わん」
そんなこんなで新しい家族も増え、家の神社は更に賑やかになった。
何か、最近になって家族が増えてばっかりだ・・・食費、大丈夫かな・・・
まぁ、依頼も結構来てるし、大丈夫だろう。




